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2012年05月26日

震災で『災後』ではなく『災間』を生きている=シンポジウム福島の声、私たちのこれから

5月25日、自治労第144回中央委員会終了後、福島公会堂で「福島の声、私たちのこれから」と題してシンポジュウムが開かれ、中央委員会の参加者の多くが引き続き参加した。

昨年3月に発生した東日本大震災と福島原発事故により、福島の経済は深刻な打撃を受け、福島の人々は苦難な暮らしを余儀なくされてきた。あれから1年余りが経過した福島の今とこれからについて、自治体首長、地元経済関係者、そして復興問題に取り組む専門家と意見を交わし、『今踏みだすべき一歩は何なのか』を全員参加で考えようという趣旨で開かれた。

開会にあたり川本書記次長が、シンポジウムの趣旨を説明し、パネリストを紹介した。

コーディネーターに、辛 淑玉(しん すご・人材育成コンサルタント)さん。
パネリストには、赤坂 憲雄さん(学習院大学教授 福島県立博物館館長)、菅野 孝志さん(新ふくしま農業協同組合代表理事専務)立谷 秀清さん(相馬市長)、畠 ひで子さん(第21回全国旅館おかみの集い運営委員長「匠のこころ吉川屋」女将)が、次の3つのテーマで意見を述べた。

①福島の現実を共有する
②福島から問われているものは何か
③これから私たちはどうするのか

はじめに、コーディネーターの辛 淑玉さんが、今回、原発事故の政府対応を見ていて、自分は『ああ、国は福島を見捨てたんだな』と強烈に感じた。福島にいるみなさんから見て、こうした政府の対応はどのように感じたのかとディスカッションがはじまった。

特徴的な発言

①現状について畠さんは、「震災後お客様が変わった。お客さ客に放射能という言葉が定着し、食の安全を気にする人は産地の問い合わせふえた。層も変わり、絆を大切にする人が増え、観光客減った」と述べた。

立谷さんは、「職員も市民も弱音を吐かず頑張ってきた。仕事のスピードが速まった。
今何をすべきか皆で冷静に考えている」と話した。

菅野さんは、「作物にセシウムが残るかどうかはわからない。作付けをやめると、元に戻すのに相当時間がかかる。だから生産を続ける決断した」と述べた。


②問われているものについて立谷さんは、「基礎自治体としてやるべきことがあり、国の批判ばかりでは前に進まない。相馬市民はこれからも相馬で生きていかなければならない。国に頼るばかりでなく、自分たちの地域は自分たちで作っていかなければならないという思いがある。子どもの被爆量は継続的に監視していく必要を感じている。この点だけは文科省が責任をもってやってもらう必要がある」と述べた。
赤坂さんは、「政府を信用していないのに、政府が何か基準を出せば安心する傾向がある」と話した。

③これからどうするのか、のテーマでは、畠さんは、「福島の観光は平均して5~6割しか回復していない。国の主導で東北観光MICEの誘致による交流人口の拡大を図ってほしい」と訴えた。
赤坂さんは、「私たちはこの震災で『災後』ではなく『災間』を生きているという意識を持たねばならない。神戸の経験が生かされている部分も有るが、そのときと同様の議論をしていることも多い。地域の自立を草の根から組み立てなおしていきたい」と強調した。



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