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2009年03月02日

【峰崎参議のニュースレター】713号

■予算の順調な仕上がりは「話し合い解散」と裏腹なのか
今週は、参議院では、衆議院から送られてきた、来年度予算案の審議に入る。衆議院では、先週にはいって、とんとん拍子に審議が進み、27日の衆議院本会議で混乱なく議決された。なぜこんなにとんとん拍子に審議が順調に進んだのか、裏では解散・総選挙の実施とバーターがあったのではないか、という噂も出るほどであったが、何故だかよくわからない。報道されているように、支持率が10%前後で、死に体となった麻生内閣であり、予算が成立するや否や、自民党内で麻生おろしが始まる事を見越しての、予算審議の進展だと見てよいのだろうか。

■予算が生命維持装置の麻生内閣
当の麻生総理といえば、来年度予算が成立の見通しが立ったと同時に、大型の補正予算案の策定を指示したという。まだ確定的なものではないが、なにせ先週発表されたGDPの昨年10~12月速報値が、年率で12.7%の落ち込みとなったことを受けての対応なのだろうが、政権を持続させるために予算を人質にしているのではないか、という疑いがもたれている。昨日のNHKテレビで民主党は、予算の成立直後に、内閣不信任決議を提出して、早期の総辞職か解散を迫って行く事を検討していると明らかにしており、いよいよ麻生内閣が解散総選挙に打って出るのか、それとも総辞職するのか、厳しく問うていくことになろう。それだけに、これから始まる参議院での予算案の審議も、解散・総選挙を強く意識したものにならざるを得ない。
景気対策はもちろん、雇用問題や社会保障問題、さらには天下りや簡保の宿売却問題など重要課題が山積している。さらに、かねてから問題を提起している「政治と宗教」問題がある。矢野絢也元公明党委員長の参考人招致問題について、早急に決着をつけなければならなくなってきており、やや緊張する場面も出てきそうである。

■問題は格差拡大、貧困の増大だけでなく、「社会的排除」なのだ
問題は、政権獲得に向けて国民に対して何を強く打ち出していくことが必要なのか、ということであり、民主党が考えている国のかたちを前面に打ち出していくことだと思う。その際、「国民生活が第一」というスローガンは浸透している中で、どのような中味を打ち出すかなのだ。医療や介護、さらには教育
や子育て、そして雇用などを充実させていく必要がある事は言うまでもなかろう。そうした中で、最近の「年越し派遣村」に象徴される、失業者が職場だけ出なく住宅さえも確保できなくなって、路上生活を余儀なくされてしまう状況が出ていることである。不安定雇用労働者の多くが、雇用保険のセーフティネ
ットでは救えなくなっており、どのようにすれば、このような人たちを救っていく事ができるのか、真剣に考えなくてはならない。そうした中で、単なる格差の拡大や貧困の増大と言う視点だけでなく、「社会的な排除」という捉え方が生まれてきている。そこでは、物質的な欠乏だけでなく、家族や職場はもちろ
ん、地域社会の人間関係からも「排除」されているが故に、簡単に失業者がホームレスになってしまう状況が生まれてきているのだ。

■社会的排除から包摂へ、ベーシックインカムを検討すべきでは
この「社会的排除」の反対が「社会的包摂」であり、どのようにして様々な関係を取り戻していけるのか、現在の福祉国家の抱えている問題として捉えなおさなければならなくなっていることを痛感させられる。その際、社会保険で救えなくなっている人にとって、直ちに生活保護による救済という道しかない
ことに対して、生活保護のようにミーンズテストによるスティグマ(屈辱)を経験しなくてもよい仕組みである、「ベーシックインカム」という考え方が最近提起されている。失業者も家事労働や子育て、さらには老親介護に従事している女性たちのシャドウワークに対しても、さらには障害者に対しても、基本的な
生活費用を国が支出するという考え方である。最近の年金の消費税化や、所得税の所得控除から税額控除へ転換すると共に、税金を払っていない低所得者にも税額控除分を支給するという「給付付税額控除」の考え方も、このベーシックインカムの一部と捉える事も可能である。また、民主党が主張している子ども手当て一人月額28,000円というのも、もちろんその中に入れることができる。発達した高度経済社会の下で、失業したらホームレスか、良くてスティグマのある生活保護だけ、というのもいかがなものかと思うだけに、ベーシックインカムの考え方をマニフェストに打ち出すことを検討してみる価値はある。


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