2009年01月13日
【峰崎参議のニュースレター】1月13日号
■天下の愚策、定額給付金の中止を
通常国会は1月5日、開会した。直ちに第2次補正予算案の
審議が始まり、予算委員会も衆議院では8~9日の午前中まで
NHK・TV入りの総括審議が行われ、民主党の菅代表代行をは
じめ各委員が、2兆円の定額給付金がいかに愚策であるのか、
また、閣僚は受け取るのかどうかなど、与党内や内閣としての
右往左往振りについても厳しく批判を展開してきた。与党側は、
定額給付金が当初は石油や食料品価格の高騰に対する生活支援
対策だ、としていたのに、最近では景気刺激策としても効果が
ある、などと強弁しはじめ、挙句の果てには、民主党が税制改
革案として「所得税の所得控除が、限界税率の高い高額所得者
に有利になっていることから、所得控除を廃止して税額控除に
し、高額所得者の税負担を増やすと共に、税金を払っていない
定額所得者に対してもその税額控除分を支給する『給付金付の
税額控除』を打ち出した」事に対して、民主党ですら定額給付
金を認めているではないか、という言いがかりとしか思えない
反論をしてきた。自分達の提起した政策が、高額所得者であれ
低額所得者であれ、所得再分配の発想が全くもたないなかで、
一時は、高額所得者は遠慮してもらおう、などと言っていた事
を忘れて、とんでもない批判を民主党に対して展開しているこ
とにはあきれて物が言えない。
■麻生内閣支持率、危険水準の20%を切る
その事を、国民の皆さんが良く理解しておられることは、1
月10~11日にかけて実施された朝日新聞や共同通信の世論調
査によって明確になっている。朝日では「給付金中止を」が63%、
共同では「給付金、評価せず」70%と、いずれも過半数を大き
く上回っている事を見ても明らかであろう。国民は健全なのだ。
ちなみに、内閣支持率は、朝日も共同も同じで、19%にまで下
落している。2兆円ものお金を、もっと有効に使えないのか、
という批判でもあろう。選挙対策しか考えていない「天下の愚
策」以外の何物でもあるまい。一刻も早く2兆円の定額給付金
の補正予算から切り離し、国民が批判している使い方について
どうすれば良いのか、十分に協議する事が一番必要になってい
るのだ。
ところが政府与党側は、とにかく早く補正予算や関連法案を
衆議院で通過させることが必要だ、として委員長職権で衆議院
の予算委員会や財政金融委員会などを開催し、13日中には衆議
院本会議の採決まで一気呵成に強行しようとしている。先週開
催された予算委員会での質疑でも明らかなように、雇用問題は
まことに深刻であり、キャノンの御手洗会長の偽装請負問題や、
その後の雇用対策など是非とも参考人として集中審議に応じて
もらう必要があるし、高速道路料金引き下げ問題や今後の金融
危機問題の行方など、経済財政問題などの集中審議が是非とも
必要である事はいうまでもあるまい。それらをまったく無視し
て、とにかく3分の2を確保しているうちに、予算は30日で
自然成立、関連法案は60日で、力づくでもって成立させてい
こうとしており、まさに問答無用の状態になりつつある。
当然予算の審議は、衆議院で議決されれば参議院にかかって
くるのだが、衆議院を平穏無事に通過してくれば審議にはいる
ことになる。ただ、今の状況では「荷崩れ状態」でくることが
必至とされている。となれば、参議院での審議にも支障が出て
くることはまちがいない。あまり審議拒否という戦術は取るべ
きではない、と考えているのだが、今回の第2次補整予算の衆
議院段階での審議のあり方は、あまりにも異常である。国会は
言論の府として重視されなければなるまい。いずれにせよ、13
日にどのような衆議院の決着がつけられるのか、参議院の予算
委員会の筆頭理事としても十分目を凝らして注目して行きたい。
■「年越し派遣村」運動の与えた衝撃は大きい
それにしても、年末から年始にかけての「年越し派遣村」の
運動の与えた影響は大きかったと思う。日曜日のサンデープロ
ジェクトで各政党の責任者が、こぞって派遣労働者の派遣元と
派遣先の責任を明確にする必要性で一致したのだ。派遣労働者
問題が、ここまで大きな社会問題にならなければ、こうした合
意が成立していなかっただろう。「年越し派遣村」を実行したの
は、貧困問題を扱っているさまざまなNPOや連合など労働組
合の力があったし、全国の心配された方たちのカンパ活動など
があったのだ。これからも、日本の国民の底力を信頼したい。
かつてのような国会を取り巻く10万人単位のデモだとか大集
会は実現できなくても、このような「異議申し立て運動」こそ
が、政治や政権を大きく動かすことに繋がるのだ。