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2008年05月20日

自民党の本音=峰崎参議のニュースレター

■会期延長せず、36計逃げるが勝ち、か

道路特定財源問題が一件落着したため、次の対決課題は後期高齢者医療制度の見直し問題に移りつつある。来年は、基礎年金の国庫負担について現行の3分の1から2分の1へと引き上げをすることになっているし、介護保険の改悪も画策されている。

まさに、社会保障制度の改悪の弊害が、誰の目にも明らかになりつつある。もともと、家族や企業に依存した小さな社会保障政府しか持たなかった日本が、さらに社会保障予算を削減しようとした小泉・竹中路線によって、限界に直面しつつある。

自民党内の有力議員ですら、このまま2011年まで毎年2200億円もの社会保障財源の削減を続けることには反対だ、と主張する状況である。経済財政諮問会議で今年の「骨太方針」にどのような内容が盛り込まれるのか、道路特定財源の一般財源化だけでなく、社会保障分野も大いに注目しなければならない。

国会は6月15日に会期末を迎える。政府与党側からは、会期延長はしない、という声が聞こえてくる。国会を延長しても、福田内閣の支持率を挽回することは難しく、ここでサミットを挟んで秋の臨時国会に向けて態勢を立て直そう、ということなのだろう。

報道によれば、60日ルールを定着させて重要法案を通していくため、秋の臨時国会を早ければ8月末にも開始したいとの事、その前に内閣改造でも進めるのかもしれない。

なかなか解散総選挙には打って出ようとしない。それもそのはず、内閣支持率は10%台に落ち込み、政党支持率でも、最近ではNHKの政党支持率調査でも民主党が自民党を上回ったと報道されている。

まさに、政府自民党側からすれば、今解散・総選挙を実施すれば「大敗北」を喫するだけでしかない。おそらく、来年秋の任期満了まで何とか持ちこたえたいというのが、本音のところだろう。

■難問を解決できる政権が確立できるのか

さて、それで今後の福田政権、いや自民党政権はどのようになっていくのだろうか。人気の出ない福田総理に替えて、あっと驚く人材を総理大臣に選出するという奇手ももちろんあるのだが、何せ抱えている難問を実現できる可能性があるのだろうか。

というのもは後期高齢者医療制度や基礎年金の税金投入を2分の1に引き上げることや、道路特定財源の一般財源化に向けての道路族議員の抵抗を排除したり、消費税の引き上げを含めた抜本的税制改革を実現しうる力を持ちうるだろうか。

今の与野党の状況からすれば、その展望はまことに暗いといわざるを得ない。誰がなっても、国民に大きな負担を求めざるを得ない課題だけに、先送りを決め込む可能性が大きい。

■「民主党への共同提言」、所詮「大連立」への期待だけか

そうしたなか、『文芸春秋』6月号に自民党内で総理大臣候補としてわさされている麻生太郎氏と与謝野馨氏が「日本よ、『大きな政治』にかえれ」と題する対談を掲載され、そのなかで『民主党よ、現実に帰ろう』と「共同提言」が掲載されている。

今をときめく御両名であり、与謝野氏は、最近出された『堂々たる政治』のなかで堅実な提言を出されており、自民党の中では最も信頼できる政治家の一人と思っていただけに、期待をして読ませていただいた。

結果は残念ながらまことにお粗末なものでしかない、といわざるを得ない。というのも、提言の中で冒
頭「政党政治は今瀕死の危機にある」という現状認識をなさっておられるのだが、何が問題なのか、という点になると、衆参のねじれの中で、合意を形成しようとしない民主党に対して、国民生活に密着した諸課題を中心に、政党協議の場に立ち戻れ、と呼びかけているのだ。

与野党の政党協議の枠組みとして、政権の担当相と次の内閣の大臣との間で与野党が責任を持って協議してはどうか、という提言となり、国民生活に密着した課題としては、消費税を10%にして社会保障目的税とし、国民が不安感を持たないよう未来の投資とすることを提案している。

要するに、昨年10月末の大連立の提案を、形を変えて与野党間を協議して進め、誰もが嫌がる消費税の引き上げを一緒にすすめようというものとしか受け止められないのだ。

問題は、何故ねじれ状況の中で国会がうまく機能しないのか、55年体制の下で続けられてきた国体政治の延長線の下で、官僚内閣制と批判されてきた立法府と行政府のあり方に対する深刻な反省や、その反省に立った議会制度の民主的制度改革の必要性をなんら痛感されておらず、長年与党として進めてきた責任感がまったく無く、いまやマニフェストを軸とした政権交代を通じて真の議院内閣制を確立することによって、国会が国権の最高機関としての機能を回復できるし、しなければならないときにきていることへの思いもまったく欠如しているのだ。


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