2011年10月09日
地震による配管破損あるはず。全原発の調査が必要=連合北海道エネルギー・環境政策委員会
連合北海道第1回エネルギー・環境政策委員会が10月8日13時から、さっぽろ芸文館で開かれ、北海道の原子力エネルギー政策の見直しや防災対策について、連合加盟全産別と全地協での議論がはじまった。
第1部では、自称「中道左派(原発は反対だが、再稼動やむなしの立場)」の九州大学副学長 吉岡斉さんが「日本の原子力政策~未来に向けて~」と題して、講演した。
吉岡副学長は、「発電手段として、原発は劣った技術。再生可能エネルギーのブームは、オイルショックを引き金に1970年代後半からはじまった」としたが、「将来にむけ金を引っ張るための誇大情報や大げさな表現を原発は使ってきたため、現在に至る」と話し、最近は見られないが、プルサーマルやNUMOのCMなどを思い返すと、過剰なほどの広報もあったことも納得される。
また、福島第一原子力発電所事故の調査委員を務めており、「事故調査委員の公表がアンケートされ、全員が非公開を選択、経産省アンケートに“非公開”という項目があることに違和感、国民の信頼を得られるとは思えない」と実態に触れた。さらに、事故原因として、「地震による配管の破損もあると考えられる。全原発の調査が必要。また、福島第一だけが報道されるが、“東海第二・福島第二・女川”も無事ではなかった」と沿岸の原子力発電所も一歩間違えると、福島第一原発と同じようになっていたことにも言及した。
事故収束については「燃料の撤去は、圧力容器が破損しているため不可能、飛散状況も広範に渡っており長期間を要する」とし、政府への対応も「賠償責任が終了するまで、すべての原発にお金をかけるべきではない」と、政府の現在の扱いにも苦言を呈した。
また、電力会社の安全対策についても、「ストレステストも机上の計算で信頼性が薄い。津波の対策は出されているが、あくまでも再稼動させるための手段としか思えない」と指摘した。
ただ、現状の原子炉の使用については、「経済性を考慮すると寿命の原子炉を廃炉にしていき、稼働できる炉は再稼動させる。新規には増設しないで行けば、徐々になくなっていく」と、安全対策を基本に、減価償却後の廃炉を主張した。
脱原発の政策についても触れ、「少子化、密集化、脱工業化、エネルギー高騰により需要は減る。また、原子力の手厚い保護などのすべてやめるべき、電気事業の自由化などにより、脱原発は達成できる」と強調した。
第2部は、エネ・環境委員会を開催、原子力発電の安全確保や防災対策、エネルギー政策の見直しにむけた共通認識の拡大を図ることとし、委員会議論を通じ、政策をまとめることとした。また、当面、泊原発30km圏内を対象に、現地ヒアリング調査を実施すると提起した。
委員からは、「道議会との連携」「核廃棄物の処理」「30kmとした根拠を、誤解のないように」「青森県との連携を」「連合本部とのリンク」「安定供給の議論も」との発言があった。
自治労道本部は、①道の原子力防災計画、省エネ・新エネ行動計画はまとまりつつある、具体的な意見反映をどうするのか、②国のエネルギー政策の転換により地域疲弊が起こった。地域振興策の具体化も、③30km現地調査とするのであれば、道南地域も対象とすべき、④風評被害を想定するならば、あらゆる産業に影響が出る。全北海道的な位置づけと道防災計画への反映を求めた。
連合からは、①委員会途中でも意見反映していく、②経済性や雇用も考慮することとしている、③協議する、④他産別との協議も必要で、整理する、とした。
最後に、次期開催を11月上旬に小委員会、下旬に委員会を開催することを確認した。