2010年06月12日
拉致問題の解決にむけて蓮池さんが語る=いのちとくらしを守る全道女性集会
6月12日、札幌市・TKP共済サロンで自治労道本部の他4団体が共催する第38回いのちとくらしを守る全道女性集会が開かれた。
みつめよう社会とくらし=くらしの中の平和・平等・人権をテーマに、蓮池透さんに聞く!アシアの平和と日本、~拉致問題の解決へ向けて~と題して講演が行われた。
蓮池透さんは、拉致被害者・蓮池薫さんの兄で、1997年~2005年まで「北朝鮮による拉致被害者家族会連絡会」の事務局長、その後、副代表を勤め、2010年3月家族会除名となる。
冒頭、主催者を代表して、山根実行委員長が、「38回目になる集会。いのち、人権、平等、平和など、その時にあった課題にせまり学習してきた。今日は、日朝間に横たわる問題を共有しよう」とあいさつした。
講演では、弟の薫さんの近況や拉致当時のようす、拉致問題について語った。
拉致被害者への国からの援助については、「5年間の援助があるが、収入が発生したら段階的に減収してしまう。要するに5年間で一本立ちしなければらならいということだ」と述べ、24年間放置していたわりに冷たいと内容だと指摘した。また、支援を受けていることで、外食や旅行もままならなく、『税金で』といった回りの視線があると話した。
これらのことから、今年3月に5年が経過し延長の話があったが本人が辞退したという。蓮池さんは「本来、支援ではなく国として責任を持つべき」だと指摘した。
また、薫さんがようやく拉致当時のことを話すようになり、「佑木子さん(妻)と一緒に拉致され、体中をグルグル巻きの状態で袋に入れられた。ゴムボートーで母船へ移された際、袋の隙間から故郷の明かりがどんどん小さくなった。チョンジンの港町に連れて行かれ、故郷の明かりに比べとても冷たく感じた」と話したことを紹介した。また、2人が、それぞれ日本に返されたと聞かされていたが、2年後に再会し結婚したと打ち明けたという。
蓮池さんは、2002年9月17日に小泉首相が訪朝し、北朝鮮による日本人拉致が白日のもとにさらされてからの7年9カ月が経過し未だに何の進展がないことを指摘した。
「5人の被害者とその家族が帰国・来日して以降、日本政府が執った政策は経済制裁であった。当時それも一つの手段と考えていたが、経済制裁は平和的解決と武力行使の間にある手段だ。経済制裁を行う前に、拉致被害者を救うための、きちんとした話し合いが最も必要なことだ」と述べ「対話と交渉なくして和解はない」と強調した。
最後に、「一昨年前に立ち返り、調査委員会を立ち上げ、制裁の一部を解除して、それを解決の糸口にするべき」と述べ、「調査委員会が軌道に乗ったら、日朝平壌宣言の履行につなげて、過去の清算を具体化してほしい。実際に外交するのは政府。多様な意見の中から斟酌して対応することを願う」と訴えた。



