2009年02月04日
国際的な平和・人権のたたかいに学ぶ
第45回護憲大会は、1月31日から2月2日まで香川県高松市で開かれた。
開会総会には県内外から2,500人、北海道から12人、自治労道本部から小檜山政治部長が参加した。
主催者を代表して江橋平和フォーラム代表が「非正規労働者の首切りのなか、生存権・人権の問題を考えなければならない。今年は世界人権宣言60年、国際的な平和・人権のたたかいの歴史に学び、新しいオバマ米政権がイラク、アフガン、ソマリアに対してどのような対応をとるのか注視したい」とあいさつした。
地元の根本県実行委員長は、「ブッシュ政権の8年間は武力による単独行動主義、新自由主義、競争至上主義であった。オバマは国際協調主義をめざそうとしている。日本はどこに軸をおいていくのか。憲法の理念として人類共生の論理に立つべきである」と述べた。
連帯あいさつの内容は次のとおり
連合の龍井非正規労働センター長
「貧困が社会問題になるとは考えていなかった、生存権がおびやかされている。オバマ政権はアフガンに増兵しようとしている。武力で問題は解決しないという運動をつくっていかなければならない」
民主党を代表して近藤衆議
「派遣・期間労働者の首切りによるホームレス状態は人間の尊厳を否定する問題である。麻生政権の目的がはつきりしない給付金、企業のセーフティネットの不備、ソマリアへの自衛隊派遣でなく憲法による国際貢献こそが問われる」
社民党の福島党首
「国会の関与なしにソマリアに自衛隊を派遣、田母神発言は自衛隊内に浸透、シビリアンがきかない、オバマ大統領の社会連帯は評価するが、テロとのたたかいとしてアフガン増兵は問題解決にならない、貧困、派遣切りなど憲法の25条の生存権が問われている、歴史的には恐慌の後に戦争が引き起こされている、そのさせてはならない」
基調提案は福山平和フォーラム事務局長が行った。
平和だけでなく失業、生活苦など人間の生存権が危機
シンポジウムは「カジノ資本主義の崩壊と平和・人権・環境の確立」をテーマに、パネリストとして森田実政治経済評論家、龍井葉二連合非正規労働センター長、司会は江橋崇フォーラム代表で行なわれた。
シンポウムは、特に派遣切りの横行で失業、生活苦など貧困の増大という憲法が保障する生存権の危機が焦点となつた。
このなかで龍井さんは、「今日ではパート問題は20年前とはまったく違う。派遣村で活動してそう感じた。非正規労働者は1960年10%→1992年20%→2002年30%。正規労働者は、規制緩和や経済システムがかわり金融が前面に出てメインバンクのもとで経営も短期バランスシートによりコスト・人件費削減と変化し、1997年をピークに減り続けている」「非正規は昔、主婦、学生、高齢者が主であったが、今は男性が多く担っている。家計を支え、子どもを育てるという厳しい環境におかれている。セーフティネットもない。解雇により寮も出され住む場所がない、雇用保険もなく生活保護を申請するしかない。相談相手や友人もなく居場所がなく『自己責任論』に陥り、労働や人格が認められず評価されない。労働の質の変化に対応した労働の尊厳をとりもどす労働運動をつくっていく必要がある」と提起した。
江橋さんは、「世界人権宣言が60年を経て、第22~24条、特に23条『1項すべての人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。2項すべての人は、いかなる差別を受けることもなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。3項勤労する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。4項すべての人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権利を有する』は今の日本の厳しい現実に対して新鮮な問題提起である」と指摘した。
森田さんは、「東京は知的水準の質が低下している。マスコミも企業広告に占められ支配されている、ジャーナリズムも同様。政治の水準も自民党内には麻生を支えるためとして批判がなく低下の一途である。民主党も建設的な相互批判は必要。国民はちゃんと見ている。」と提起した。
「平和基本法」とは、日朝国交正常化を進めるために
翌日は分科会等が開催された。
第1分科会は「非核・平和・安全保障」がテーマ。問題提起として「なぜ、『平和基本法』が必要なのか?」について前田哲男(軍事評論家)さん、「朝鮮半島情勢と日朝国交正常化」について石坂浩一(立教大学准教授)さんから講演を受けた。
平和基本法について、「平和待機隊の中身は」「自衛隊は違憲であることを明確して解散させるべき」「最小限防御力とは何か」などの質問が出され、「非武力の部隊」「自衛隊は法的には国会で成立・予算化もされてきた。議会制民主主義を通じて自衛隊を縮小させていく。当面やること→中間→究極的へと新政権の安定度に応じて進める」と前田講師が答弁した。日朝問題では「拉致問題の解決の方向は」「6者協議での北朝鮮の意向は」などが出され「拉致問題も含めてピョンヤン宣言にそって必要な課題について並行的に討議すべき」「北も開放政策をめざすが安保体制が優先される」と石坂講師が答えた。