2009年01月26日
【峰崎参議のニュースレター】708号
■補正予算の採決に至る評価、国民の判断にゆだねたい国会は参議院予算委員会の採決に向けて、ようやく1月26日総理大臣が入っての締めくくり総括質疑を経て、採決となる。
当然参議院では、補正予算案は民主党など野党が多数を占めており、国民から評判の悪い2兆円の「定額給付金」を削除した修正案が可決され、衆議院に送付される予定である。そこで、衆議院と参議院の議決が異なるために両院の協議会が開催され、そこでの攻防に焦点は移る。もちろん、これまでは衆議院の議決が優先されたのだが、果たしてそれは現行法体系の下で妥当性があるのか、どうか、議論の余地があるという考え方が浮上している。じっくりと検討してみたい。
それにしても、補正予算は通過したとしても、肝心の補正予算関連法案のほうは一度も参議院では関連委員会が開催されていない。とくに、一番の焦点である歳入の根幹を成す財政融資特別会計からのいわゆる埋蔵金2兆円を取り崩す法案は、財政金融委員会で一度も審議されることなく、予算委員会は終わろうとしている。従来であれば、衆議院と同様に、予算と関連法案は同時に本会議に上程されるのが通例であるにもかかわらず、今回は予算だけを決着するわけで、実に異例である。この背景には、言うまでもなく参議院の与野党逆転という重い事実があるわけで、衆議院だけ予算も予算関連法案も通しておけば、後は30日たてば予算は自然成立、60日たてば法案は3分の2で再議決してしまえば良い、という数の論理だけがまかり通っている。熟議の民主主義というものから程遠いやり方が継続され
れば、日本の議会制民主主義は崩壊してしまうだろう。今回の参議院の予算委員会での審議にあたっては、まさに国会とは論戦の場であり、しっかりとした論議を展開する事こそが重要である事を示したかったのであり、ましてや、参議院で予算委員会を審議しているにもかかわらず、同時並行的に衆議院での審議が実施されることは断じて許すことはできない、と言う決意を持ちつつ審議にあたってきた。
■財政制度等調査会での真っ当な意見に感服
審議の過程で一番印象的だったのは、政府の財政制度等審議会の場で、定額給付金に対する厳しい意見が出されたということであり、すでに衆議院で通過しているにもかかわらず、参議院で民主党など野党が提起している2兆円削減の修正案を採択すべきだ、と言う意見すら出たとのことである。もはや、生活対策だとか経済刺激策だとか、政府の屁理屈をいくら述べたとしても、国民へのメッセージはまったく届いていない。審議の過程でその点が強く浮き彫りにされた事は、一つの成果だといえよう。26日の採決について、マスコミが事前に予測記事が、一斉に26日に採決を報道した事により、何とか27日以降に延期できないか、と言う声も出されていたが、当初23日には採決か、ということが報じられた事を何とか阻止すると共に、26日の政府4演説を阻止することができたことは、一矢を報いたと言えないだろうか。もちろん、いろいろとその後の展開についてのさまざまな意見はありうる。政局を大きく展開させていくことの必要性についても、十分理解しているつもりである。評価については、国民世論の判断にゆだねたい。
■いよいよ来年度予算案の審議、本格的な論戦に力を入れよう
いよいよ今週からは所信表明演説など4大臣演説に対する代表質問から予算委員会へと舞台は展開し始める。100年に1度と言われるほどの金融・経済危機の進展はとどまる所を知らない。一説には2兆円とも言われ、世界のGDPの4倍にも達するバブル崩壊の影響(アメリ・カワシントン発行『インターナショナル・エコノミー』誌の最新号より)が及んだ金額を考えるとき、とても麻生内閣の今回の対策では、国民を救うことはできないことを明確に打ち出していかなければなるまい。論客も民主党にはそろっており、予算委員会を中心に日本の危機、世界の危機を救うべくがんばって行きたい。
アメリカ第44代大統領にオバマ氏が就任した。就任式の模様について、運良く朝早く起きたために直接テレビで見聞きすることができた。簡潔ながらも力強い就任演説だったのだが、アメリカが抱える経済・社会・政治の難問を考えたとき、希望はかなえられるのか、暗澹たる想いと同時に、かすかな希望を見出すことができたように思える。オバマ大統領はリンカーン大統領に強いシンパシーを感じておられるようだが、世代的なものだろうか、ついついケネディ大統領に近い存在と思ってしまいがちである。又、ケネディ大統領のような悲劇が繰り返されないよう、職責を全うされ成果を挙げられる事を祈るばかりである。