2008年07月23日
介護が元気でなければ、日本に「晴れ」はない
福祉・介護人材確保が深刻化する中、自治労道本部は福祉系職能団体や市民団体、障害当事者団体と連携し、7月19日、自治労会館に220人が参加し、「福祉はひとが支えています。福祉・介護人材確保を!公開シンポジウム」を開催した。
はじめに、作家・介護ジャーナリスト 沖藤典子さんが、「介護元気で日本あっ晴(ぱ)れ」と題して講演した。
沖藤さんは「高齢社会が進む中、介護福祉の重要性が高まっている。これまで、「老老介護」の実態が問題になってきたが、今は、認知症同士が介護する「認認介護」まで登場している。介護保険は、介護の社会化を目指して設立された介護保険制度だが、前回の改定でその趣旨が損なわれている。特に介護労働者の人材確保は困難を極めている。賃金水準が低いことに加え、将来に対する展望が見えないことが深刻。更に来年の報酬改定に向けて、大きな課題となっているのが、軽度者の扱い。国は、この部分を介護保険から切り離すとしているが、一般財源化されれば、サービスの低下は明らか。介護が元気でなければ、日本に「晴れ」はない」と力強く訴えました。
続いて、沖藤さんをコーディネーターにパネルディスカッションを行った。
パネラーの介護労働者、事業者、サービス利用者から発言があり、「介護労働者の賃金の低さと将来展望がないことは大きな問題。介護労働に魅力があるから、仕事を続けられる。文書事務が年々増大しているにもかかわらず、介護報酬に反映されないがため、サービス残業をしている」「せっかくの地域包括支援センターの機能が、現状では充分発揮していない。」「介護士に余裕が無いように見える。利用者として安心できる介護を」「障害者は、介助者が居なければ生きられない。障害者自立支援法では、すでに事業者が撤退を始めている」などの発言があった。
さらに、会場から介護労働の展望、外国人労働者、要介護認定の問題、障害者と要介護者が同居する家族の問題、次期介護保険制度改定に向けた課題について発言があった。
自治労道本部としては、この集会を契機に、更に福祉・介護人材の枯渇が、福祉制度の崩壊招いていることを、関係団体と連携して世論に訴えていくこととしている。
なお、シンポジウム終了後、自治労介護集会参加者有志によって、札幌駅西口前でチラシ配布と街頭宣伝行動を実施した。
また、前段には2008自治労道本部介護集会を開催し、分科会などを通じて、介護保険・障害者自立支援法の課題について議論している。