3月7日、政府は「水道法の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。

 本法律案は、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等、水道事業が直面する課題に対応し、水道基盤の強化をはかるため、①国、都道府県、市町村、水道事業者等の責務の明確化、②広域連携の推進、③適切な資産管理の推進、④官民連携の推進、⑤指定給水装置工業事業者制度の改善等に関して改正することを趣旨としています。

これにより、①都道府県による水道の基盤強化に関する計画の策定、②水道事業者等による水道施設台帳の作成、③地方自治体が水道事業者として、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定する場合の許可制の導入、④指定給水工事事業者の指定についての更新制の導入、などの措置が講じられることになります。

 

この間、自治労公営企業評議会は、水道事業を担う労働者として、集会や部会幹事会などで、水道事業の基盤の強化について検討し、とりわけ相次ぐ自然災害に対応し、施設の耐震化や老朽管の更新を進めることが重要と考え、そのための人材の確保や技術継承を訴えるとともに、広域連携や官民連携について、政府予算要請行動等で厚生労働省へ意見反映を行っています。今回の法案改正についても、専門委員会報告書案の取りまとめや骨子案策定の機会に厚生労働省と意見交換を行ってきました。

 

官民連携によるコンセッション方式の導入が、必ずしも老朽管の更新や耐震化対策を推進する方策とならないことや、長期的な運営権の設定により、更新事業や事業運営をモニタリングする人材の確保や災害時に対応する技術者の確保など、コンセッション方式導入による課題が山積するなか、水道法の本来の趣旨である「公共の福祉」が脅かされることが危惧されます。地方自治体が水道事業者としての位置づけを維持し、最終の責任を担うことを考えれば、技術の低下や人材の枯渇を招かぬような施策を講じる必要があります。

今後、政府による強引な導入誘導に、地方自治体・水道事業体が安易に便乗することのないよう、職場から、各水道事業の動向を注視する必要があります。

自治体労働者として、水道事業の運営を民間事業者に託すことは、自らの責任と仕事を手放すことです。住民の生活に不可欠なライフラインとしての水道サービスの将来あるべき姿を展望し、事業の基盤強化を目指し取り組むことは責務であると考えます。

 

公営企業評議会は、4月14~15日に岐阜市で開催する第6回合同政策集会で、今回の水道法改正をはじめ、PFI/コンセッション方式など公営企業の官民連携の動向と課題について情報を共有化し、検討する機会を設けます。生活に必要不可欠なライフラインを担う労働者として、地方公営企業が安全で信頼される質の高い公共サービスを安定的に提供し、健全な経営を通して責務を果たすために、取り組みを強めます。

 

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