1月26日に開会した自治労第152回中央委員会は2日目を迎え、引き続き方針にかかる質疑・討論が行われている。
北海道本部からは、和田中央委員(道本部副委員長)が、本部方針を補強する立場で発言した。発言の要旨は以下のとおり。
2016秋期確定闘争における北海道の単組の交渉状況について、交渉を実施しなかった、また公民較差の解消方策について当局と協議しなかった単組は4それぞれ全体の約3割にも及ぶ結果となった。参考材料の一部であるはずの人事院勧告に準拠した賃金決定が行われており、また総務省の通知(技術的助言)を必要以上に懸念し、他律的に賃金決定されている状況にある。
また、ここ数年の単組での交渉力の低下も賃金決定に大きな影響を与えている。自治体での職員採用抑制、管理職登用の若年化などにともない、単組での担い手が不足し、給与構造改革以降複雑に変化している賃金制度に対応すべく人材が育っていないのが現状であり、冒頭申しあげたとおり、具体的な交渉が行われないまま人勧準拠での賃金決定している状況にある。
このことから北海道本部では組織強化の一環として、2年前より活動家育成講座をスタートし、賃金労働条件のエキスパートの育成について取り組みを行っている。本部においても、単組の交渉力の全体の底上げをはかるべく、賃金労働条件のエキスパート育成についての取り組みの強化をお願いしたい。
【地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書に伴う意見反映について】
総務省は、「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」報告を、昨年12月27日に公表した。報告書では、地方公務員の臨時・非常勤職員の任用の在り方等について、立法的措置または通知等による運用改善によって行うことなどを提言している。
このうち一般非常勤職員については、新たに「常勤職員と同様に給料及び手当の支給対象とするよう立法措置を検討すべき」との内容であり、総務省の地公法改正案の概要において、給料・手当の支給対象に一般職非常勤を追加し、期末手当を支給可能にすると記されている。
このことは、この間、相原参議院議員をはじめとする自治労組織内議員による、改善に向けた努力が実を結んだ結果であるとも言える。しかし、報告書の中で「任期が最長1年であること」や、「任用更新」についての改善が見られなかったこと、さらに「特別職の一般職非常勤職員への移行」についても、雇用されている者にとって、不安が残る結果となった。
本部においては、昨年本部内に設置された「臨時・非常勤等職員の任用・処遇に関する研究会」での協議をしっかり進め、総務省に対し、立法化前に複数年の任用更新への改善と、立法化後を見据え自治体への条例化の指導および雇用の安定化として、さらなる要請をお願いしたい。
【より良い地域医療・福祉にむけた取り組み】
北海道では町立松前病院の院長退職により他の医師も退職し、今年4月以降の医療体制を維持することが難しく、病院で働く医師の労働環境の悪化や医療従事者の雇用不安となっていたことから、昨年11月に、「町立松前病院の医療機能の充実と医師が働きやすい環境を求める署名」行動を地域の連合とも連携し取り組み、2日間で約150人の組合員が結集し、町内全戸をまわり、人口の半分を超える4,059筆を集約した。集約した署名は北海道へ提出し、道議会民進党をはじめすべての会派を回り、要請書を提出した。
取り組みの結果、12月中旬には現状の医療体制を維持できる医師4名も残ることが確認された。署名は一つのきっかけにすぎないが、地域住民と一つになった証として医師の皆さんも判断されたと思う。
また、市立旭川病院では旭川医科大学との連携協定が結ばれた。北海道には3つの医育大学があり、道内の多くの病院は3つの大学から派遣されている医師のバランスにより運営されている実態にある。医育大学の1つである旭川医大との連携には、北大や札幌医大からの医師の引き揚げなど不透明な課題や賃金削減も想定されることもあり、今後の取り組みの強化が求められる。
さらに、建て替えを予定している病院も3病院あり、今後の病院運営や自治体の財政など大きな課題となっている。
自治体立病院の課題は、職員の身分、賃金・労働条件と今後の住民サービスや自治体のあり方など政策課題が一体となっていることから、北海道本部としても、評議会だけの課題ではなく、組織担当・政策担当により、対策委員会を設置して取り組みを進めているが、まだまだ厳しい状況が続くことが想定される。
また、社会福祉職場では、子ども・子育て支援新制度を進める中で、老朽化した保育施設等を認定こども園に移行するにあたり、施設の統廃合や民間委託などの動きが報告されており、高齢者施設においても労使協議や労使合意がないがしろにされたなかでの一方的な民間移譲への強行提案に繋がっている実態もあることから、自治体病院課題同様に道本部として組織横断的に対応を進めている。
2017春闘方針で重点項目に位置づけされている「よりよい地域医療・福祉にむけた要求書」を活用し、当局の考えを質すとともに、状況を本部に集中し、本部・県本部・単組が一体となった取り組みを展開することが重要と考える。また、地域医療・福祉の課題は自治労だけではなく地域住民の生活に直結する地域課題であることから、連合や地域住民を巻き込んだ取り組みとすることが重要であり、引き続き、連合本部への意見反映を要請する。
また、当局の一方的な提案を許さないためにも労使関係ルールに関する基本要求書および協定書締結の取り組みを含め、要求-交渉-妥結-書面協定の基本的な取り組みを春闘期からスタートさせる。
【夕張市の財政再生に向けた取り組み】
最後に、夕張市の財政再生に向けたこの間の本部さらには全国からの支援にあらためて感謝するとともに、引き続きの支援をお願いする。