北海学園大学との連携講座は、学生に地方自治と公共サービスの現状とその意義をアピールし、地方自治体や公共サービスで働くことの意味・意義について考えてもらうとともに、労働組合の積極的な役割を認識してもらうことを目的に実施し、今年で2年目を迎えます。
14回目は7月15日に開催し、大出彰良自治労北海道本部執行委員長が「地方自治体と労働組合」について講演しました。
冒頭、大出委員長は「ネットなどのニュースを観ていて、解らないことがあったらすぐに調べるのが良い。例えば憲法の話。9条で平和とか戦争とか言われてもピンとこないとは思う。しかし、学生の皆さんにも深く係る部分もある。憲法24条では、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて」となっているが、自民党の改憲草案の中では“のみ”が削除されている。両性の合意の他に、何か必要なものがあるのだろうか。この草案の他の部分では“自助”“家長制度”“愛国心”などが強調されていることも良く解る。このように、解らないことも調べることで色々なことに興味が広がる」と、学生にアドバイスを送りました。
また、地方公務員について「全ての仕事が住民と関わる。住民の生命と財産、生活を守るのが我々の仕事だが、住民と接するが故に『税金泥棒』とか『働かない』などと攻撃されることもある。皆さんは率直に公務員というものについてどのようなイメージを持っているか」と質問し、学生から「給料が安定していて、休みも取りやすい」「公務員は年功序列で民間は実力主義」「民間企業はブラックなどもあり、実際に入ってみないと解らないが、公務員ならその心配はない」「公務員は地元と直接係れるので、地元に愛情が深ければやりがいもあるのでは」などの意見が出されました。
これに対して大出委員長は「公務員の仕事も中々“しんどい”もので、不眠不休で働かなければならない場面も多い。しかし、皆さんのイメージ通り、制度は整っており、ある程度は安定していると思う。是非とも皆さん、公務員になって頂きたい。しかし、そうした制度や賃金を守っているのが労働組合である。有給休暇や夏期休暇、産休・育休なども、労働組合が頑張ってきたから制度がある。また、政策提言も労働組合の役割。私たちは“自治研”と呼んでいるが、住民との最前線で働いている職員は『この方が住民のためになる』などの意識を持っているが、中々、一人では声に出すことが憚られる。しかし、組合で皆で議論して、組合として意見を出すことが可能」と、労働組合の必要性を強調しました。また、川村教授からの「なぜ労働組合は民進党を応援しているのか」という質問に対しては「経営者を儲けさせるための政策の多くは労働者を切り捨てる。それが自民党の政策。民進党も良いところばかりではないが、労働者のための政策により近い。だから労働組合は民進党を応援しているし、労働者のための政策を打ち出すよう意見もしている」と応じました。
最後に大出委員長は「公務員になるための試験勉強なども大変だと思う。なので、最近は公務員になることがゴールと思い、採用試験で燃え尽きてしまっている若い人がいる。しかし実は、採用はスタート。大変な仕事ではあるが、住民から頼られる充実感もある。是非とも公務員になって頂きたい」と訴えました。