北海学園大学との連携講座は、学生に地方自治と公共サービスの現状とその意義をアピールし、地方自治体や公共サービスで働くことの意味・意義について考えてもらうとともに、労働組合の積極的な役割を認識してもらうことを目的に実施し、今年で2年目を迎えます。

12回目(7月1日)および13回目(7月8日)は川村教授が「官制ワーキングプア問題」について講演しました。

12回目の講座の冒頭、川村教授は「これまでの講義で自治体の仕事やその重要性が解ってきたと思うが、その担い手は正規の公務員であるとは限らない。多様化する担い手に低賃金・不安定雇用が広がっているが、これが官制ワーキングプアである。今回は特に自治体の中に広がる非正規職員について考えてみたい」と述べ、『非正規公務員問題』について講演しました。

川村教授から「そもそも、非正規職員の問題として低賃金・雇用不安があるが、非正規公務員の場合は身分的に法律の狭間にあり、保護される規定がない。仕事の内容は“補助的”と言われているが、家計においても“補助的”な収入の位置付けなのか」という問題提起に、学生から「正規と非正規の賃金格差を無くすべき」「非正規公務員についても法制化すべき」「非正規の仕事を民間委託すれば、法の適用範囲内になるのではないか」と意見が出されました。これに対し川村教授は「非正規労働の全てが悪いという訳ではないが、実際にワーキングプアを生み出していることは事実。これをどのように解消するのか、また、自治体から民間に委託した先でもワーキングプアが発生している。次回はこのことについて考えてみたい」と結びました。

13回目の講座の冒頭、川村教授は「公務員をめざしている皆さんは、公務員としてアウトソーシングによる官制ワーキングプアについて考えて頂きたい」と学生に問題提起し、「自治体は業務を民間に発注する際、なるべくその価格を抑えなければならないが、それが過ぎると、受注業者は労働者の賃金労働条件を維持できなくなる。それは貧困を招き、税収の低下や生活保護受給につながり、結果的には自治体財政に負担をかけることになる。また、低賃金はサービスの質の低下をまねき、住民サービスが充分ではなくなる」と、『公共民間労働者』の官制ワーキングプアについて解説しました。学生からは「民間委託する際に雇用や労働条件が継続される仕組みが必要」「組合や労働基準監督署など、第3者がバックアップできる体制が必要」などの意見が出されました。

最後に川村教授は、自身が今取り組んでいる公契約条例の必要性について訴えた上で、「単純に投票に行くことも大事だが、それだけでは政治参加しているとは言えない。現実社会で起きていること、それを改善するために何をすればよいのかを考え、実行することが求められている」と結びました。

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