「沖縄から問う『平和、人権、いのち』核も基地も戦争もない世界を」をテーマに「憲法理念の実現をめざす第50回大会・沖縄大会」が11月3日から5日まで開かれ、2,000人以上が参加した。

開会総会(福山実行委員長)

3日に沖縄市民会館で開かれた開会総会では、主催者あいさつで平和フォーラム代表の福山真劫実行委員長が「安倍政権の誕生は、今まで私たちが運動で守ってきた最後の歯止めを壊すもの。憲法は危機にさらされており、平和や憲法9条を守る勢力が最大限結集しなければならない。自衛隊を米軍の弾よけにさせない、辺野古に米軍の基地を造らせない、格差社会、原発再稼働を許さないよう、何をすべきか見定めよう」とあいさつした。

続いてあいさつに立った高良鉄美沖縄県実行委員長は「今回のテーマ『平和、人権、いのち』は、まさにこの間沖縄の求めてきたもの。この『平和的生存権』を求めて沖縄は日本に復帰した。しかし現在、この平和憲法が危なくなってきている。このままでは、いったい何のために私たちは復帰したのか。憲法を生かす・よみがえらせる、そういったエネルギーとなるような大会にしていただきたい」と訴えた。

事務局からの基調提案では「平和憲法への復帰を求めた沖縄は、復帰から40年以上たっても基地の重圧の下に置かれている。憲法理念の実現に向けて切実な取り組みをしてきた沖縄から市民革命を実現しよう」と改憲阻止を呼び掛けた。

吉田忠智社民党党首や近藤昭一民主党衆議院議員、超党派議員連盟「立憲フォーラム」幹事長の辻元清美衆議院議員、糸数慶子沖縄社会大衆党参議院議員らも次々登壇。集団的自衛権行使の問題とともに、特定秘密保護法案についても相次いで批判し、「憲法の精神をないがしろにする動きを止めよう」と訴えた。

「沖縄から問う『平和、人権、いのち』―憲法と沖縄」をテーマにしたシンポジウムには、琉球大の島袋純教授、琉球新報社の与那嶺路代記者、報道カメラマンの國吉和夫氏が登壇。憲法や米軍基地の問題について、それぞれ報告した。

島袋純教授は、復帰について「日本は戦後一貫して米軍の特権が上にあり、憲法が下に置かれている。沖縄は、1972年の返還により天賦人権に基づいた憲法の支配が行われると思っていたが、復帰前と変わらず米軍の基地使用を国が保証してきた」とし、憲法や立憲主義が否定されている状況を批判。「人民の自己決定権を確立し、安全保障や外交も地元が拒否できる権限を主張してもいいのではないか」と提起した。國吉氏は沖縄の復帰前から現在までの様子を写真で紹介し「40年余り基地取材を続けているが、基地機能や日米同盟はかえって強化されている。米軍による沖縄の占領は今も続いている」と指摘した。与那嶺記者は2010年から約1年間、特派員として米ワシントンで取材を重ねた経験を振り返り「米国にも沖縄の基地問題に強い関心を寄せる多くの識者や市民がいることを知った」と強調した。

分科会(前泊教授)

分科会のようす

4日は7つの分科会とフィールドワークに分かれて平和や人権、沖縄の基地などについて学習を行った。「地方の自立・市民政治」の分科会では、公益社団法人東京自治研究センターの藤岡一昭研究員と沖縄国際大学の前泊博盛教授から提起を受けた。

藤岡研究員は『日米地位協定の歴史的背景と自治体(沖縄)の自己決定・分権について』として「基地や原発が地域の人々の命と暮らしを脅かし続けている現実に、NOという当然の声を発する自治体。しかし、命と暮らしを守る自治が国策によって交付金や補助金で懐柔されてきた。これを地域から自治を守る運動として対抗していかなければならない」と説明。前泊教授は『日米地位協定の問題点』として「日米地位協定が不平等条約と呼ばれる理由は、①法の下の不平等、②環境条項など法の空白、③米軍優位、④免法特権、⑤治外法権、⑥密約―であるからで、外交機密文書の『日米地位協定の考え方』からはアメリカにより主権を譲歩させられた背景が見て取れる。この不平等な日米地位協定を結べたことから、アメリカの一番成功した占領地は日本と言われている。イランは日本を反面教師にしっかりとした地位協定を結んだ。対等な日米関係構築は、戦後日本がなかなか達成できない宿願と言える。戦後日本人が見失ってきた自主独立・真の主権国家確立の気概が今こそ試され、求められている」と問題提起した。

閉会総会(長田氏)5日には、会場を琉球新報ホールに移して閉会総会を開いた。特別提起として「震災・原発事故被災地からの訴えととりくみ」について福島県平和フォーラム代表の五十嵐史郎さん、「憲法をめぐるとりくみ」について北海道平和運動フォーラム事務局長の長田秀樹さん、「オスプレイ低空飛行訓練に対するとりくみ」について高知県平和運動センター議長の山崎秀一さん、「オスプレイ阻止をはじめとした沖縄のとりくみ」について沖縄平和運動センター議長の山城博治さんがそれぞれ取り組みを紹介し、「憲法改悪を断じて阻止する」とした大会アピールを採択した。

(写真)長田事務局長は憲法問題連続講座の取り組みなどを報告した。

アピールでは「私たちは侵略と支配の歴史から、平和国家をめざし、68年にわたって他国民に銃を向けることなく、平和を愛する諸国民の信頼を醸成してきた」と強調し、安倍政権が進める憲法改正や集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法制定などの動きについて「物言えぬ戦前社会の再現を狙っており、決して許してはならない。『命の尊厳』を基本に、心豊かな社会の創造へ邁進することを誓う」と訴えた。