8月23日(金)14:00~24日(土)11:30まで赤井川村(総会:キロロリゾート ホテルピアノ フィールド;(有)滝本農場、日の出直売所通り)で開かれた。
※北海道「農」ネットワークとは:1998年12月10日に、全道庁農業改良普及センター連絡会議の有志が中心となり、自治労道本部、全道庁並びに北海道農民連盟の賛同を得て、旭川市で設立しました。自治労(自治体農政=現場)、農連(生産者)をつなぐ「農政研究ネットワーク」として、政策提言を行っています。また、みんなが北海道で生きていくための地域づくりも含めて、担当する部門を超えた自治労組合員等の参加を希求し、北海道農業の確立に向けた政策研究、農村地域問題や環境保全型農業の実践など道民運動に取り組んでいる。
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初日は、北海道「農」ネットワーク第16回定期総会で、はじめて作る野菜教室など活動状況と今後の方針を確認した。
講演は、「異常な契約・TPP」―交渉からの脱却・批准阻止・「流会」のために―と題して、アジア太平洋資料センター (PARC)事務局長 内田 聖子 さん http://uchidashoko.blogspot.jp/ が、次の点について述べた。
9/11から札幌国際映画祭(北方領土の映像を流すことになった)。海外では有名。地元にお金がまわるしくみ。(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭は報道するが)東京・マスコミには、旨味がまったくないため、報道されない。TPPも同様の構図。大事なことは報道されない。TPPについて、2年前から、反対の立場で取り組んできた。今回で6回くらい北海道に講演に来ている(札幌中心)。大変厳しい状況。ブルネイ交渉は、閣僚レベルの交渉設定が注目点。米国は今すぐ(年内)にでも決着させ、すぐにやりたい。少しでも交渉を伸ばす戦術が大事。自民党の国会議員も情報をもらえていない。(これまで決まった内容。日本が何を主張しているのか)交渉担当官だけが知っている(守秘義務により、交渉決着後にしか公表しない)。
・交渉自体は、うまくいっていない。米国としては、TPPは相手国を誘き出すための手段、平行協議(2国間協定 FTA)が主目的。実際には米国政府ではなく、米国大企業が交渉内容を牛耳っている。
・Q&A
Q(木村道議)「日本にとって何が大事か、が議論されないまま進んでいる。立て直すにしても何ができるのか。どういう決着になるか、どう見えていますか?」
A「基本的には、農業(関税)に矮小化された報道。大事なものは報道しない。保険・医療。」「運動の展開としては、交渉を長引かせるのは参加してしまうと難しい。政府が地元の声を聞かなくなる」「専門的な分野でのステイクホルダー(利害関係者:供給者・企業、需要者・消費者・NGO)のロビー活動が重要になっている」
Q(釧路 長船さん)「2国間協定(平行協議)では、どうなっていくのか?」
A「業界の動きとして、例えば、アフラックと日本郵政の業務提携。突然の報道。いきなり結果だけが報道され、実行される事態になる」「アベノミクスの目玉として、国家戦略特区(対象:東京・大阪・名古屋。羽田空港で申請)。TPP先取りの規制緩和・自由化。自民党としては企業にとって都合のいい状態をTPP論議をきっかけに作りたい」
Q(宗谷 渡辺さん)「TPPはなぜ米国が牛耳るようになったのか。」
A「最初は太平洋の小さな国4カ国のささやかな連携。米国政府の主張(グローバルスタンダード)がWTOでうまくいかなく(米国の言うことを聞かなくなった国が増加)なってきたので、2国間自由貿易FTAを進める戦術に転換。そのための道具として、TPPを使っている」
「国会情勢報告」 では、徳永 エリ参議院議員が、「TPPは、大事なところはマスコミは報道しない。民主党の状況:国民のイメージ的な嫌悪感は大きい。名称・中身変更も考えないといけない状態。女性の力は大きいが、マスコミの宣伝で、TPP・農家・民主党の実態を女性(すべての年齢層)がよく知らない」と述べた。
「自治体『農』ネットワーク活動報告」では、自治体「農」ネットワーク 代表 塚本 清音さんが、下記について報告した。
・ミャンマー(ダゴン、パゴー)農業状況。乾期は一面が豆類の畑(機械化されていない。牛を使って収穫)。雨期は水田。中国からの機械が少数導入。(すぐ壊れる) 花き(菊)栽培も行っている。
・ダゴンでは農民60名。しかし、本当の農業従事者は1名。その他は農地を収奪され無業に。ミャンマーでは、農地の私的所有が開始された途端、中国、韓国の大企業が土地を買占めた。ミャンマー人でない、低賃金労働者が農作業に従事。生産物は中国・韓国に輸出、余剰が出れば他の国にも売るという計画。“ 新植民地主義的”海外進出の典型。今後、農業指導よりもまず、土地を取り戻す運動が重要になってくる。
2日目は、フィールドワークで ① (有)滝本農場 「有機農業への取り組み」と ② 日の出直売所通り見学を行った。
① (有)滝本農場 http://www.asupara.jp/ 「有機農業への取り組み」
アスパラ。有機農業のノウハウは、すべて自前。栽培技術が確立するまでは、農業改良普及センターにも相談していない(ノウハウを盗まれたくなかった)。堆肥は、木材加工の廃材でも安いものを選び、発酵させ、毎回適当に施肥。今のところ、通常栽培なら連作障害になるが、連作障害も起きず、商品として出荷できる状況。販路は、農協を介さないで、自前で全国営業をおこなって開拓。いいものを作っても販路がないと意味がない。そのころ、ここの農協では、有機栽培アスパラは今まで取り扱いがないので取り扱ってもらえなかったのもあった。
今後の悩み
後継者。農業をやりたがる者はいるが、行政・農協の投資の仕方に不備がある。行政・農協は融資はするが、単年度で成果を求める。アスパラのような農作物は、商品化できるまで何年かかかる。また、冬期はスキー場のアルバイトではなく、海外でいろいろな栽培方法を研修できる仕組み(研修のための融資)の構築も必要。そうでなければTPPに対抗できない。
②日の出直売所通りの見学 http://hinodechokubai.web.fc2.com/
「直売所通り」は通常の店舗型直売所ではありません。庭先での選果中の対応や収穫体験型、無人販売などそれぞれの農場が各自のスタイルで営業している。安全安心な野菜がどんな環境で生産されてるのか見て、触れてほしいとのおもい「直売所通り」をはじめた。