7月31日〜8月2日、自治労会館(東京)にて自治労女性労働学校(後期)が開催され、全国から34人の女性が参加した。北海道からは上川地本女性部副部長の多田牧子さん(富良野市労連)が参加。参加報告は次のとおり。

1日目

松澤女性部長の基調提起のあと、「人事評価制度がやってくる」と題し労働大学調査研究所小川研さんから講演を受けた。来年度から全ての自治体で受け入れなければならないこの制度だが、民間企業では「成果主義賃金」として1990年代から導入された。しかし、結果は失敗に終わっている。総人件費が増えることのない地方自治体では一部の人材育成のために賃金の奪い合いとなり、曖昧な「評価」と「目標」により、賃金をあげるための評価、ではなく、達成できない時の賃金を下げるための評価にもなってしまうということだった。また、少しでも良い評価を得ようとするための労働時間の延長や労働強化は、さらなるサービス残業増大につながる。労務管理の視点から「カエルを熱い湯の中に放り込めば、びっくりして飛び出してしまう。しかし水の中に入れて徐々に温めてやれば、カエルは自分が浸かっている水がどうなるかを知らないで、気づいたときには時既に遅く死んでしまう。」と話され、労働者自身が気づかないうちに自ら湯に飛び込まざるを得ない「ゆでガエル」になっていないか?との問いに私たちはどのような職場(湯)であるべきか考えなければならない。

2日目

「安倍政権の女性活躍政策と女性部の課題」と題し中野麻美弁護士から講演を受けた。日本の労働、雇用の二極化、仕事と所得の格差、非正規雇用の7割が女性であることや生涯賃金や労働・生活時間の男女間格差を雇用だけの問題としてではなく、女性の問題として捉えなければならない。そして、現在の生活スタイルの多様化が女性を更なる非正規雇用や派遣労働へと駆り立て、日本の相対的な貧困層は増え続けている。現政権のいう女性の活躍とは、男性並に働く一部の女性のことであり、大多数の女性は死ぬほど働いても生活はとても苦しい、仕事と生活の両立は出来ていないのが現状であり、それを解消する手だてを全く考えていない。そればかりか、今回の労働者派遣法の改悪や無定量労働提供型正社員は、さらに潜在的な雇用差別を助長していくことになる。景気回復の言葉の裏で何が起きているのかをよく考えなければならない。

講演の後は、今回の講演内容や職場での問題をグループで話し合い、その内容をもって教宣紙づくりを行った。

3日目

各グループで作った教宣紙の発表を行ったあと、小柳女性部副部長の講演を受けた。その後、古田典子弁護士から「憲法改正と男女平等の課題」と題し、現憲法の成り立ちと戦後70年間に果たした役割が説明された。憲法第9条の解釈による集団的自衛権の行使がなぜ矛盾しているか、自民党が望む憲法改正の内容とは日本の固有の風土を強調することで「家族」「国家」といったナショナリズムを当然視し、個人の尊重や両性の平等の権利を奪い、貧困は自助努力が足りない(個人責任)とすることで、「戦争へ動員できる体制を築こうとしている」という、まるで70年前に戻るような話がされ、非常に驚いた。

今回の労働学校に参加して、女性が女性らしく家族も仕事も自分も大事にしながら、「定年まで働き続けること」が当たり前のことのようでいかに難しく危うい現状なのか、そしてこれから女性部の活動をどう取り組むべきなのかを考えなければならないと思った。