―総務省自治財政局 内藤財政課長の講演が行われる―

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公務員連絡会・地公部会は、9月18日、地方財政の確立に向けた取組みの充実をはかるため、地方財政をめぐる現状について理解を深めることを目的に、「今後の地方財政に関わる学習会」を開催した。13時30分から東京・日本教育会館一ツ橋ホールで行われた学習会には、全国から約400人が参加した。

総務省自治財政局財政課長の内藤尚志さんを招き、「来年度の地方財政をめぐる情勢と課題」についての講演が行われた。その主な内容は以下の通りであった。

 1.地方交付税の役割について

総務省として常に念頭においていることは、わが国の内政を担い、国民生活に直結する行政の実施主体は地方公共団体だ。そのため、自治体の財源を確保することは非常に重要と考えている。しかし、地方の自主財源の基本である地方税は地域間の財源偏在が大きい。財源を確保し、財源の不均衡を調整する地方交付税の果たす役割も大きい。

 2.国と地方の財源不足について

2011年度の国と地方の税財源配分は、租税総額78.7兆円に対して、国民へのサービス還元は164.7兆円とギャップが大きい。このギャップは、国と地方の巨額の長期債務残高として顕在化している。こうした状況を解消するため、社会保障と税の一体改革が必要で、消費税引上げの検討がされているところ。国と地方の税財源配分は、三位一体改革による税源移譲によると同時に、国の税収落ち込みも要因となり、かつての2:1から、現在は55:45となっている。財源不足は、リーマンショック後に一挙に高水準となり現在も高止まりの状態だ。一方で、国の一般会計予算はマクロでみると限界にきていると言え、とくに、2007~13年度に大きく増加している社会保障費と、それに次いで大きな割合を占める地方交付税交付金はどうしても注目されがちとなる。

 3.今年度の地方財政計画について

今年度の地方財政計画のポイントは、地公給与の国に準じた削減を地方に要請することで、給与関係経費を削減したことだ。これに関しては、地方団体からもたくさんのご意見をいただいた。ただし、総務省としては、給与関係経費の削減がそのまま地方財政計画の歳出に反映されると、すなわち地公給与削減が国の財政健全化のために使用されることになってしまうことから、交付税総額を確保するため、新たに防災・減災事業費と地域の元気づくり事業費を特別枠として計上したところ。

6月に閣議決定された骨太方針では、国・地方のプライマリーバランスについて赤字の対GDP比を半減させるとしている。そのためには消費増税が不可欠で、国・地方合わせた基礎的財政収支の17兆円程度の改善が必要となる。この実現のために財務省が意図するものは、歳出特別枠の廃止または縮小、国の一般会計の入口ベースにおける交付税の別枠加算1兆円の廃止である。一般会計の歳出減、すなわち社会保障費と地方交付税交付金の減をめざすこととなる。

 4.2014年度の地方財政の課題について

8月8日に閣議了解された中期財政計画では「交付団体をはじめとする地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額については平成25年度地方財政計画を下回らないよう実質的に同水準を確保する」との記述となった。

2014年度の地方財政の課題は、①地方の一般財源総額の確保と地方財政の健全化、②地域の元気づくり、③合併後の市町村の姿に対応した地方交付税の算定、④地方税の実質確保である。①については、マクロの財源確保に加え、個々の自治体の財政改善というミクロの観点からも、地方財政を健全化し、自立を促進する必要がある。そのため、歳入・歳出の改革と頑張る地方の支援を行いながら、地域で税収を増やす取組みに対する地方交付税支援や、消費増税による地方の安定財源の確保をめざす。③については、10年間の算定替特例が終了する自治体が急増することから、これがそのまま地方交付税の減少とならぬよう、合併市町村の財政需要を的確に把握し、交付税算定に反映させていきたい。

 5.地方交付税の概算要求について

2014年度地方交付税の概算要求は、骨太方針及び中期財政計画を踏まえ行うこととなる。年末に向け数字は動くが、仮試算によれば入口・出口ベース(地財計画ベース)とも厳しいものの、地方交付税の本来の役割が適切に発揮されるよう総額を確保することとし、16.8兆円を要求することとしている。とくに国公給与の来年4月以降の取扱いが決まっていないこと、地公についてはさらに議論が必要であることなどから、給与関係経費は復元させている。また、給与の臨時特例分として計上した防災・減災事業費などについても、地域にニーズが高いことから、予算編成過程で検討する中で、何らかの財源として確保していきたい。