9月14日、札幌市・北農健保会館で、「2013年度自治労北海道本部労働安全衛生講座」が開かれ、19単組・総支部35人が参加した。

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主催者を代表して藤盛道本部労働安全衛生・職業病対策委員長(道本部副執行委員長)が、「労働者が働くうえで基本となる労働安全衛生の確立や運動の強化は、残念ながら拡大がはかられていない。かつては労働安全衛生運動、自治労の運動の中心的役割を果たしていた。厳しい労働環境や施設の状況、労働災害が頻発をすることなどを踏まえ、運動の中心に据えて各種の要求活動、職場改善運動、人員要求、自治体における業務のあり方まで含めて取り組んできた。今は十分ではないが当時と比較して改善されてきた中でこの運動が停滞気味になっている。しかし今日においても特にメンタルヘルスにかかわる精神疾患などで長期的に休業を余儀なくされている公務員の数は年々増えており、どこの自治体でも一定数の方々がいる状況になっている。質は変わってきているが労働安全衛生の体制確立はまさに労働組合運動の中心にしなければならない。今日の講座の中でしっかりと学習し、それぞれの地域に持ち帰っていただくのはもとより、道本部も労働安全衛生体制の充実拡大さらには講座の持ち方などについても検討しながら進めていく。みなさんの声を聞かせてほしい」とあいさつした。

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藤盛道本部労働安全衛生・職業病対策委員長

その後、道本部提起を大西事務局長が行い、「職場安全衛生の活性化」と題し、上野満雄自治労中央本部顧問医師が講演した。

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上野満雄自治労中央本部顧問医師

上野医師は「労安活動については全国的にもなかなか活性化していないのが現状。賃金など重要な課題に隠れて取り組みがされていない。自治労は労安活動について『職場を快適にし、事故が起きないよう予防する』という考えのもと、いち早く参加型の改善運動を取り組んできた。病気やけがをしないようマネージメント型の職場改善運動を行ってきたが、そのためには人材育成が必要。自治労としてもさまざまな取り組みを行ってきたが、団塊の世代が大量に抜け、人員が十分に補充されていない中で運動が継承されていない。労安についても人材の育成、単組の力量を高めていく必要がある。職場の安全・健康に関することは何でも労安活動につながり、労働条件のベースになるものすべてがかかわってくる非常に大切なものである」と述べたうえで、「公務災害は年々減っているが、その原因は全体の職員数が減っているだけであり、割合は減っていない。また、地方公務員は民間と比較すると1000人中8~9人となっており、民間の2人と比較すると4倍の数字になる。民間と比較すると労働基準監督署がほとんど入らず野放しになっている背景があるのではないか。また、「うつ」は労働者全体で100万人を超えている。男女の比率は1対2で女性の割合が高い。1カ月の長期病休者は100人に1人で1%と言われ、地公全体で3万人、自殺は500人となる。うつは自殺に向きやすく組合にとっての課題、大事なことは一次予防である。また自殺は規模の大きな自治体よりも小規模の自治体の方が、一人の職員が多くの業務を抱え、休めないことから自殺率は高い」と自治体の状況について話した。

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その後、4つの班に分かれ①危険予知トレーニング②メンタルヘルス事例③職場の安全衛生活動についてグループワークを実施し、相互討論により労安活動の重要性やそれぞれの自治体における課題について共通認識を深め、その後グループ報告。最後に上野医師がまとめた。

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グループ報告をする参加者