食・みどり・水を守る道民の会は、12月13日に札幌市・ホテルガーデンパレス札幌「食・みどり・水を守る道民の会」2014年度総会を開いた。
総会の冒頭、安田会長(連合北海道副会長)は「この道民の会は、TPP反対・植樹・アジアアフリカ支援米などの活動をしてきた。福島原発事故について、安倍首相はコントロールされていると述べたが、特に海洋汚染について海外メディアから厳しい指摘もされており、安全が確保されているとはいいがたい状況にある。TPPについて、私たちは問題点を指摘してきており、慎重な判断をするよう国会議員要請などを行ってきた。将来的に予想される食糧や飲料水不足に対して、私たちは今後ともこの食・みどり・水を守る運動を継続しなければならない。」と述べた。
その後、事務局から活動報告、決算報告を受け、全体の拍手で確認した。続いて2014年度活動方針案について、「食料・農業をめぐる情勢と課題」は向田事務局次長(全農林)、「森林・林業・木材産業の情勢と課題」は外山事務局次長(森林労連)、「漁業・水産業をめぐる情勢と課題」は澤井事務局次長(海員組合)、「水・環境をめぐる情勢と課題」は柳田事務局次長(自治労)から、それぞれ提起を受けた。 その後、予算案および2014年度役員体制を全体で確認し、総会を終了した。
総会後は、「TPP問題と北海道への影響」の演題で、北海道新聞 久田 徳二 編集員から講演を受けた。
久田氏は「TPPについては判らないことが多い。見えないTPPと言える。2年前からほとんど何の情報も公開されていない。これは交渉の中身が4年間秘密にされなければならず、文書の提供も限定的でオブザーザーが存在しないことによる。そのため、国民は、何が問題であるのか知り得ることができず、議論が進んでいない。」と、TPPの現状について述べた。
また、TPPの影響について1.食、2.医療、3.地域経済、4.地域の暮らしの4点に言及し、特に食について「遺伝子組み換え(GM)の流入と、世界で一番厳しいと言われる日本の農薬基準が守れなくなる。また、現在40%前後の食料自給率は10%程度まで低下し、200%の北海道は80%以下になる。」と、述べた。
また、地域経済に関しては「今、日本のGDPに占める輸出産業の割合は10%程度であり、80%以上は内需である。従って、輸出産業によるGDPの伸びは限定的である。また、安い労働力も流入し、国内ではデフレが深刻化し、内需が減退、結果的に経済は大きく衰退する。」と述べ、更に北海道への影響については「TPP交渉参加により一次産業および関連業種で▲54%の影響が出ると言われ、その1/7は北海道がこうむる打撃となる。」と、深刻さを訴えた。
さらに地域の暮らしについては「ISDS条項により、各自治体で取り組んでいる、水源保持、GM防止、地産地消などは、全て無効化させられる。」と、地域生活が根底から覆されることが指摘された。
最後に今後の見通しについて「今後予想される展開は、①原則のみの早期妥結、②難航・長期化:ドーハ化、のどちらかである。情報公開と国民議論がされるような取り組みが必要であり、特に、アメリカはTPPについて、『米韓FTAが近い』と言っており、これについての草の根的学習が必要である。」と、締めくくった。