8月19日(金)に岩見沢市・ホテルサンプラザで、北海道「農」ネットワーク2016年度第19回定期総会・研修会を開き、全道から65人が参加した。

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 はじめに、定期総会で長谷川豊代表があいさつし、その後、2015年度活動報告・決算報告・監査報告及び2016年度活動方針・会計予算を提案し、全体で確認、承認された。

長谷川・代表

      長谷川・代表

森下 浩さん

総会終了後、研修会で「北海道農業の実態と今後の未来」と題し、税理士法人アンビシャス・パートナーズ代表社員・森下浩さんが講演した。森下さんは「今の課題として、人手不足が出てきている」と述べ、北海道農業・農村の概要について説明し、「売り上げの向上を通じて農林漁業経営の安定に一定の寄与はしているものの、収益性を見ると、農林漁業経営の改善という効果を十分に実現させるには、なお時間を要する状況となっている」と述べた。また、「総合化事業計画において売上高が減少した認定事業者は、生産、加工、販売の各分野にまたがって課題が存在していることが確認された」と述べた。「総合化事業計画において利益が減少した認定事業者からは、売り上げの低下よりも経費の増加が多く挙げられ、新たな事業の開始に伴う人件費や減価償却費等の増加、畜産業における素畜費や飼料費をはじめとする各種資材費の高騰等が収益を圧迫した。事業を拡大させ、経営情勢の変化にも対応しながら持続的に収益を上げていくことができる経営体質の実現が必要であり、コスト構造の不断の見直し、魅力ある新商品の開発や新たな需要の開拓、販売方法の工夫等に引き続き積極的に取り組んでいくことが不可欠である」と述べ、「これからの取り組みを進めるに当たっては、各事業者が必要となる知識やノウハウの習得に努めるほか、単一の事業者によるもののみならず、他の事業者との必要な連携、地域ぐるみの取組等も、併せて展開していく必要がある」と訴えた。最後に、「顧客満足は従業員満足から生まれる。従業員満足をつくっていかないと、辞めたり、満足する仕事ができなくなる。安心・安全な農職業を続けることが必要だ」と述べた。

その後、「国政報告徳永DSCN4760」を民進党北海道代表代行・徳永 エリ参議院議員が報告した。徳永さんは「参議院議員選挙で、農民連盟・自治労のみなさんにご支援をいただき、ありがとうございます。6年間道内をしっかり回ってきた。安倍政権は4年間問題のある法律や制度を数の力で可決した。国民の力で変えなければならない」と述べた。また、「安倍総理の目指す農業改革はについて、ダボス会議の演説で「民間企業が障壁なく農業に参入する」、米国議会の演説で「この20年で日本の農業は衰退した。日本の農業はだめになる」と国際社会に発言している。安倍政権は、農業者戸別所得補償制度の廃止。米から野菜への転作の提唱。補助金の削減。農協、農業委員会の弱体化。農地法の改正。全農改正。指定生乳生産者団体制度の廃止。農業者の共同の否定。家族経営農業の破壊など農協がきびしい対応となっている。経済財政諮問会議、日本経済再生本部、産業競争力会議に連携する規制改革会議は自民党の農政の失敗だ。規制改革会議を注視していかなければならない」と述べた。最後に、「安倍政権の目指す農業とは、生産コストを削減し、ICTなどのイノベーションを進め、補助金に頼らない、先進的な経営力のある強い農家と、企業がこれからの農業を担っていくということだ。北海道農業を守るためTPPを阻止するため、国会で流れを変えるためがんばる。安保法制とTPP阻止にむけがんばりましょう」と述べた。

 

最後に、「自治体『農』ネッ塚本DSCN4798トワークの活動報告」を自治体「農」ネットワーク代表世話人・塚本清音さんが報告した。塚本さんは「全国『農』ネットでは政策提言を発表してきた。農業に関しては、日本の自然環境に与えているお金に換算して、仕事がどのくらいの金額になっているのか一つの目安として示した。それをもとに農業を続けていく上でどのくらいの金額が必要になるのか試算の資料を作った。全国的にはいろいろな見解がある。それをベースにしながら地域では目安として合うか、合わないか議論をしてもらう」と述べ、「全国『農』ネットの活動は停滞している。全国「農」ネットの体制を創っていかなければならない。2月に京都で全国集会を行い都市農業、新規産業の導入環境を創ることに取り組んでいる。今年は11月に神戸で総会をする。また、今年はミヤンマーで農業講習会を行い、2週間活動をしてきた」と述べた。また、「『農』ネットの活動としていく。地元地域で作ったものを地域で食べることを基本としていく。国内で作ったものを食べるという意識を国民運動として取り上げていかなければ、食糧自給率という問題は解決しない」と述べた。