DSCN49842日目を迎えた自治労第89回定期大会では、議案に対する質疑討論が行われている。議案にかかる質疑では、おもに①人事院勧告、②担い手の育成、③自主福祉活動などの課題を中心に各県が活発な議論を展開した。

道本部は、和田副委員長が本部方針を補強する立場で、①大衆的な運動を強化し、憲法改悪阻止、安倍政治を許さない取り組み、②「行き過ぎた自主規制」を続ける報道に対する取り組み、③2016賃金確定期にむけて、④配偶者にかかる扶養手当の減額措置についての4点にわたって発言し、最後に、昨日、青年部長候補として立候補した全道庁労連の佐藤良太さんを、全国の仲間の皆さんで支えて頂くようお願いした。

☆発言要旨は下記のとおり。

 

【大衆的な運動を強化し、憲法改悪阻止・安倍政治を許さない取り組み】

第24回参議院選挙において、衆参両院で改憲勢力が3分の2を確保する結果となりました。しかし、いまだ多くの国民は憲法改正を肯定しているわけではありません。北海道ではこの間、原発や戦争法をめぐる取り組みなどを通じて、広範な市民や、弁護士をはじめとしたさまざまな団体を巻き込んだ大衆的な運動をつくり上げてきました。さらには、これらの取り組みを足がかりに野党共闘の形をつくり上げ衆議院5区補選では惜しくも敗れたものの、参議院北海道選挙区においては2議席を獲得する大きな力となりました。

引き続き、この間培った大衆的な運動をさらに強化しながら、憲法改悪を阻止し立憲主義・民主主義を守り、安倍政権のさらなる暴走に歯止めをかけるための国内世論の喚起をはかっていかなければなりません。

首相は姑息にも参院選で憲法改正を争点化せず、結果だけを受けて、さっそく秋の臨時国会における憲法審査会で自民党の憲法改正草案をベースに改憲論議を進めたい意向を示しています。

こうした独裁ともいえる安倍政権の暴走を止め、憲法改悪を阻止するためには、より広範な市民と政治勢力を結集し対峙していくことが求められます。本部におかれましては、民進党を中心とした「中道」「リベラル」勢力の結集にむけてしっかりと政党や連合への意見反映をお願いするとともに、今回の参院選において再選を果たしました立憲フォーラム事務局長の「えさきたかし」参議院議員を支え、院内外における大衆的な運動を強化いただきますよう要請します。

 

【「行き過ぎた自主規制」を続ける報道に対する取り組み】

7月22日、辺野古を大きく超える警備を動員して高江のヘリパッド工事が再開されました。この間示された沖縄の民意を無視して強行的に推し進める国の姿勢は許されるものではありません。さらに問題は、この暴挙に対して、大手メディアとりわけテレビについてはほとんど報道されていないことにあります。この間、特定秘密保護法や政権の介入などにより、政権にものを申すことができない「行き過ぎた自主規制」がメディアに蔓延しています。さらに、「官製春闘」とも揶揄されるなど、私たち労働組合の進めてきたこれまでの運動には目を向けずに、それをかすめ取る安倍政権を礼賛するなど、自主規制の結果として報道が大きく偏向している状況です。また、国際社会からも日本の「報道の自由」を危惧する声が相次いでいます。

今後、憲法改悪阻止などあらゆる取り組みにおいて大衆的な運動から国民世論をつくり上げていくうえで、メディア対策は欠かせないと考えます。連合や平和フォーラム、さらには政党と連携した取り組みを要請します。

 

【2016賃金確定期にむけて】

官民較差708円の給与原資の配分が俸給に448円程度、残りが本府省業務調整手当206円という勧告ですが、昨年の地域手当に配分された較差の取り扱いについて、総務省が各自治体に対し、国公を上回る措置は認めないという趣旨で、指導を強力に行ったことで、自治体当局は総務省からの圧力を恐れ、労使交渉は行ったものの、実際には人事院勧告に準拠せざるを得ず、その結果、国公・地公、また地域間での給与水準の賃金格差がさらに拡大しました。

今後、各都道府県の人事委員会における公民較差がどの程度まで出るかにもよりますが、人事院勧告による俸給表の引き上げだけでは較差は解消できず、昨年と同様に総務省が自治体に対する強力な指導を行えば、労使交渉自体が形骸化することは、労働組合の存在意義が問われる重大な問題にもなりかねません。

昨年は、賃金決定の時期も総務省の強力な圧力と強引な国会運営によって越年した経過があり、このことも大きな問題です。

こうしたことから中央本部においては、賃金決定に関して労使交渉による自主的・主体的な判断が基本となるよう、総務省からの圧力を抑える対策を要請します。

 

【配偶者にかかる扶養手当の減額措置について】

人事院での民間給与実態調査では、76.8%の事業所が家族手当制度を有し、そのうち87.0%の事業所が配偶者に家族手当を支給している状況にあるとしていることから、現在の配偶者手当については民間に準拠した手当であると言えます。

しかし今回の勧告で問題なのは、中立かつ独立した第三者機関である人事院が、政府の要請を受け、配偶者手当の支給が女性の就労を制限しているとした政府の考えに同調し民間の支給実態とかい離している点にあります。

2点目として、人事院の報告によると、女性の就労をとりまく情勢の変化と同時に、配偶者に係る手当をめぐる状況も変化しているとして、ことさら配偶者手当を取り巻く状況変化を理由として挙げているが、その理由は漠然としており、具体的な根拠はなく、雇用環境や子育て支援の環境等の社会情勢には一切触れていないことも考えると給与決定の「情勢適用の原則」にも反する問題と言えます。

国公においては扶養手当の配分の課題として捉えているようですが、地公において扶養手当は生活給そのものであり、単なる配分の問題では済まされないと考えます。さらに厚生労働省では6月より企業や団体等に対し配偶者手当の見直しについて、リーフレット等で周知している現状からも、安倍政権による女性活躍推進を理由とした配偶者手当の廃止は、単に税財源確保のための就労に、女性が利用されていると言っても過言ではありません。

扶養手当は生活給であることから、雇用状況や子育て環境の整備、育児や介護など地域事情と組合員・家族の生活実態に基づき、民間企業の支給実態を踏まえ、労使による協議ができるよう、公民較差の取り扱いと同様に総務省対策を要請します。

最後に、昨日、青年部長候補として立候補いたしました全道庁労連の佐藤良太さん、皆様の信任を頂きました際には、全国の仲間の皆様で支えて頂きますよう、お願い申し上げます。