北海学園大学との連携講座は、学生に地方自治と公共サービスの現状とその意義をアピールし、地方自治体や公共サービスで働くことの意味・意義について考えてもらうとともに、労働組合の積極的な役割を認識してもらうことを目的に実施し、今年で2年目を迎えます。

5回目は5月20日に開催し、今野泰自治労福島県本部中央執行委員長から「『原発崩壊』の混乱と恐怖~たたかい続ける職員~」をご講演頂きました。

今野委員長は、震災当時、原発の状態などについて国や東電から一切情報が無く、避難は各自治体の判断だった状況を説明しました。その中で、「ビックパレットという民間委託された施設が福島県で最大の避難所として取り上げられたが、当初、施設側は『災害時の避難所になるということは契約には含まれていないので、避難者を受け入れることはできない』という理由で断られた。それを、半ば占拠する形で避難所にした」と、公営施設の民間委託について、災害時に起こる問題点について指摘しました。また、役場の機能を移転しながら、職員自らも避難者であり、それでも行政として住民の対応を続けなければならない職場について、「ボランティアや消防、自衛隊の皆さんは派遣の期間が終われば帰るし感謝もされる。しかし、自治体の職員はそうではない。ずっとそこに居て、住民から感謝されることもほとんどない。福島でボランティアをしていたという学生が、住民に感謝され、『こんなにも感謝されるならばここで働きたい』と、思い、自治体職員として採用されて福島にやってきた。しかし、住民からのクレームなどに耐え切れず、1カ月で辞めてしまった。」と、過酷な現状を訴え、最後に「5年が経過して、県内でも風化してきており、職員も当時の純粋な気持ちは薄くなっている。しかし、そしてそこに住む人が居る限り、働いている自治体職員が居る。頑張っても住民の苦情は減らず、成果も上がらない現状がある。職員の早期退職や精神疾患が未だに後を絶たない。風化はしてきているが、原発事故は終わっていない。」と結びました。

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