自治労北海道本部は11月12日10時から北海道市町村課長交渉を行った。
冒頭、藤盛副執行委員長が2013人事院報告の取り扱いや、国公の臨時特例法に関わる情勢についてふれ、10月28日に提出した「2013年度自治体労働者の賃金・労働条件等の改善に関する要求書」について北海道としての考え方を明らかにするよう求めた。
道市町村課は「基本的には、法令や国の通知等の趣旨を踏まえ、各自治体において判断のうえ、対応すべきもの。今後とも市町村に対する情報提供や必要に応じた助言を行ってまいりたい」と回答した。
詳細が不明確のため、櫛部賃金労働部長から下記の通り具体的な指摘を行い、北海道としての見解・考え方を求めた。
1.地公の給与決定の基本的な考え方
具体的な給与制度等は、各自治体の実態や運用の経過を踏まえ、労使で十分に話し合って決定すべきであるという指摘に対し、道市町村課は「地方公務員の給与は地公法24条の『均衡の原則』にもとづき、生計費や国・他の地方公共団体、民間の給与などを考慮して定められるべきものとされており、実際に決定されていく過程においては、職員団体とよく協議をし、双方が納得して進めることが重要である」との考え方を示した。
2.国からの要請に基づく地公給与削減問題について
道本部は「政府が国公の削減に準じて地公に給与削減を要請した行為は地方自治の本旨を逸脱するもので断じて認めることはできない」とし、政府が交付税を減額して給与削減を要請した今回の措置に対する見解を求めた。
道市町村課は「地公給与決定の自主性や、地方固有の財源である交付税の性格が損なわれる地方自治の根幹に関わる問題であり、地方との十分な協議を経ないまま交付税を一方的に削減するような措置は二度と行うべきではない」という見解を示した。
要請に応じない場合のペナルティについて、中央段階の交渉や総務大臣記者会見で「ペナルティは無いとしながらも、削減をしない場合は財源に余力があるのではないかという観点からの検討も必要との発言もされていること」に対し、どのように自治体に対して助言を行っているのか、説明を求めた。これに対し道市町村課は「ペナルティについて現時点では承知していない」と回答したことから、道本部は「次年度以降の交付税算定に反映させるとなれば、それがペナルティでなく何なのか。国会答弁で『ペナルティはない』と発言した事実は各自治体へしっかりと伝えてほしい」と指摘したところ道市町村課は理解を示すとともに「引き続き市町村からの相談に応じて必要な助言や情報提供を行う」と回答した。
3.ラスパイレス指数について
4月時点と7月時点のラスパイレス指数を公表するような動きがあることから総務省の動向や今年の指数の速報値の傾向を明らかにするよう求めた。これに対し道市町村課は「今年が5年に一度の『給与実態調査の基幹統計』の年に当たり、例年に比べて全体的な事務スケジュールが遅れている。先般総務省から4月1日現在の国家公務員の平均俸給額が示されたことから今後、算出できるもの」と回答した。
道本部は「7月時点での数値の公表は、人事院が4月時点での給与しか調査しておらず、国の4月と地方の7月を比較するのなら問題」「ラスパイレス指数は算出上の扱いから指数を上昇させる要素を持った職員が一人いるだけで2から3上下するようなものであり、精確に自治体給与水準を出していると言えるのか疑問である」と指摘し、ラスパイレス指数に基づく比較方法はやめるよう総務省への働きかけを求めた。
これに対し、道市町村課は「基本的な指標として広く一般的に定着しているものであり市町村が適正な制度運営を行う際の一つの材料として活用いただくことが大切と考えている」と回答したため、全国知事会が国公にのみ支給されている広域異動手当等が反映されていないことを問題視していることもあるので、道市町村課として重く受け止め、引き続き議論せよと強く申し入れた。また、道内市町村の指数の状況について総務省の公表等にあわせて情報提供することを確認した。
4.雇用と年金の接続について
雇用と年金の接続に対する道としての基本見解を求めたのに対し、道市町村課は「閣議決定の趣旨を踏まえ、国公同様に再任用によることとされていることから、地域の実情を踏まえ再任用制度が適切に運用される必要がある」との考えを示した。また、道内市町村の取り組み状況は「条例未制定自治体が18自治体、平成24年度中の再任用実施自治体が29団体」とし、「未制定の自治体は今年度中に条例を制定する予定である」と回答した。道本部は「多くの自治体で運用が進んでないが、国公は報酬比例部分が支給されるまで基本的に希望者はフルタイム再任用されるのに地方では雇用と年金の接続がされないのは問題である」と指摘し、今後の対応や現時点での考えを明らかにするよう求めた。
道市町村課は「通知の趣旨を踏まえ地域の実情に応じた必要な措置を講じられるよう様々な機会を通じて助言してきており、今後とも適切な運用が図られるよう助言していく」と回答したため、道本部は、各自治体では前向きに取り組めていない実態にあり、議会や住民説明に苦慮している。民間では継続雇用施策が9割以上終わっている状況であり、もう一歩進めるために市町村への更なる助言を行うよう強く申し入れた。
5.労働安全衛生体制の確立にむけて
道内には安全・衛生委員会の未設置自治体があることを指摘したうえで、この一年の進捗状況、具体的な指導・助言方法を示すこととメンタルヘルス等の職員の健康管理のため相談体制の充実をはかるよう求めた。また、公務災害の発生状況や原因究明と対策について実態把握と適切な指導を求めた。
安全・衛生委員会の設置状況(設置すべきとされる295事業場のうち268カ所(90.8%昨年比1.3%増)(2013年3月末現在調査))について明らかにし、法律等に基づき全事業場において所要の委員会が設置されるよう助言する考えを示した。また、昨年8月1日に各総合振興局・振興局に市町村相談窓口を設置したこと、道職員を対象としたメンタルヘルス研修に昨年度から市町村職員も参加対象としたことや11月1日にはメンタルヘルス対策に関する実践的な研修セミナーを開催し市町村への支援を行っていると回答したことから、メンタルヘルス対策は労働側も使用者側も重要だという共通認識を確認し、引き続きの情報交換を申し入れた。
最後に藤盛副執行委員長が各課題について総括的に指摘をしたうえで、特に市町村合併特例法に基づく算定替えについて、地域の事情・地域振興等を考えれば支所機能は無くせない実態もあり、道として国・政府へ働きかけること、また、引き続き地方財政確立にむけて取り組むことを強く要請し、今後も適宜情報交換を行うこととを確認して交渉を終了した。