北海学園大学との連携講座は、学生に地方自治と公共サービスの現状とその意義をアピールし、地方自治体や公共サービスで働くことの意味・意義について考えてもらうとともに、労働組合の積極的な役割を認識してもらうことを目的に実施し、今年で2年目を迎えます。
全15回の講座を予定しており、4月8日に第1回目(ガイダンス/川村雅則北海学園大学教授)、4月15日に第2回目(これからの地方自治/森啓自治体政策学者)を開催してきました。
4月22日には第3回目を開催し、正木浩司北海道地方自治研究所研究員に「地方自治体の歴史と現状」について講演して頂きました。
正木研究員は日本国憲法施行以降の地方自治と自治体合併の歴史について述べ、平成の大合併について「合併後の旧町村は支所として残っているが、行革などで人員が減り、職員の負担が増加している。また、本庁と支所が遠距離であるための非効率も見られる。結論として、財政面や産業の集積という点では一定の成果が見られるものの、広域行政という非効率と住民の不安、地域での自己決定の欠如というデメリットもある」と分析しました。
その上で3.11東日本大震災に触れ「合併しなかった町村では避難用のバスを独自手配し、住民を避難させたのに対し、合併後の旧町村では住民避難にリーダーシップを発揮できず、住民は独自、バラバラに避難せざるを得なかった。高齢者や障害者などは避難できなかったのではないだろうか」と自治体であることの重要性について述べました。また、空知の市町村では公共施設を相互利用することによって行政効率と住民サービスを維持している例から「独立した自治体であることは重要だが、必ずしも一町一セットである必要はない」と財政面での効率化の必要性にも触れた上で、十勝の広域消防については「指令センターを一本化することで財政面での効率化は意味があるが、広い十勝を一つの指令センターで統括するならば、職員が地域の事情について熟知していない可能性が高まる。住民の安全を守るという点では疑問点も残る」と述べた上で「行政を財政や効率の面だけで考えると必ず弊害が出る」と結論しました。