2015年11月14~16日、青森市・青森市文化会館他で「憲法理念の実現をめざす第52回大会」が「不戦と民主主義-戦後の誓いを忘れない-」をテーマに開催され、1,800人(北海道から123人)が参加した。

DSCN17211日目の開会総会では、主催者あいさつで平和フォーラム代表の福山真劫実行委員長が「私たちは今、戦後最大の平和と民主主義の危機、生活の危機を迎えている。当面の課題は、①戦争法廃止・発動阻止・立憲主義確立、②沖縄・辺野古への米軍新基地建設阻止、③原発再稼働阻止、④参議院議員選挙だ。安倍自公政権を退陣に追い込む戦略の一躍を担うべく全力でたたかおう」とあいさつした。

続いてあいさつに立った金澤茂青森県実行委員長は「私は長い間、『戦争をしない国・日本』が私の祖国だと言ってきた。その国民であることが名誉であり誇りだった。戦争法成立により、亡国の民となった。憲法違反で無効の戦争法に基づく『戦争する国・日本』は文字どおり偽物の国だ。一日も早く本物の私たちの国『戦争しない国』をこの手に取り戻さなければならない。憲法を大切に思う人々が、全国で繰り広げた今回の戦争法案阻止のたたかいの総括と、戦争法廃止にむけてこれからのたたかいの展望を切り開くことがこの大会の使命だ」と訴えた。

鹿内博青森市長、近藤昭一民主党衆議院議員、吉田忠智社民党党首、南部美智代連合副事務局長から連帯のあいさつがあった。

DSCN1748 その後、藤本泰成青森県実行委員会事務局長から「日本国憲法9条は、日本軍による戦争被害を受けたアジア諸国への、日本人自身が選択した約束としての存在だ。そして、その約束は将来にわたって守り続ける。そのことこそが日本人としての責任だ。しかし、戦後70年を迎えた今年、憲法を持つ意味が大きく問われることになった。安倍政権は多くの反対を押し切り、集団的自衛権行使を容認した戦争法を去る9月19日、強行成立させた。

本年5月3日の憲法集会は、「平和と命と人権」をもとに、「戦争・原発・貧困・差別」を許さない大きな声をあげた。私たちの危機感はそこにある。沖縄、福島、そして日本中で命を粗末に扱う、人間の尊厳を奪う政策が進んでいる。日本の市民社会がそのことに気づかないわけがない。しかし、気づいていながらも、なお何かに期待しないではいられない現状に市民の多くが追い込まれているのだ。来夏に予定されている参議院議員選挙にむけて、野党一致してそれらの市民の思いに寄り添うことが求められているのではないか。市民社会に寄り添わない政治は、市民社会を更なる悲劇に追い込むことになる。戦争と貧困は社会の表裏であり、貧困が戦争を戦争が貧困を生み出すことは明らか。そしてその時、失われていくのは市民のささやかな喜びであり、穏やかな生活でありそして一人ひとりの命だ。戦前の70年戦後の70年、私たちの選択肢は明らかではないか。今日から3日間、真摯な議論をお願いする」と基調提起があった。

DSCN1750「戦争法廃止、立憲主義確立、憲法擁護のため私たちは今後どうたたかうのか」をテーマにしたシンポジウムには、コーディネーターとして平和フォーラム代表の福山真劫実行委員長、パネリストとして、ルポライターの鎌田慧氏、日本体育大学の清水雅彦教授、上智大学の中野晃一教授、戦争をさせない1000人委員会・信州事務局の喜多英之氏が戦争法の問題点やこれまでのたたかいについて、それぞれ報告した。

中野晃一教授は、「戦争法は、立憲主義の問題、民主主義から見てもおかしい、安全保障の問題がある。本質は、憲法破壊であり、クーデターと言っても過言ではない」と述べた。喜多英之氏は、「長野県で取り組む中で、運動の盛り上がりが従来とは違った。一般市民が私たちの運動に自主的に参加してくれている。今後につながる成果だと感じた。今までの運動は敗北すると波が引くように運動が縮小していったが、今長野県では1000人委員会の県組織が指示を出さなくても各地域の1000人委員会が継続してたたかってきている。そういう運動の成果を大切にしながら今後も取り組みを進めていきたい。戦争法案反対運動は、労働組合にとって試金石の課題だったのではないか」と強調した。

2日目は、①非核・平和・安全保障、②地球環境-脱原発に向けて-、③歴史認識と戦後補償、④教育と子どもの権利、⑤人権確立、⑥地方の自立・市民政治、⑦憲法の7つの分科会とフィールドワークに分かれて憲法や安全保障、地球環境などの問題について学習した。

DSCN18003日目の閉会総会では、特別提起として「辺野古新基地建設を阻止する取り組み」について沖縄平和運動センターが、「六ヶ所再処理工場の現状と今後」について青森県実行委員会が、「川内原発再稼働に反対する取り組み」について鹿児島県平和運動センターが、「高レベル放射性廃棄物地層処分反対の取り組み」について北海道平和運動フォーラムの長田秀樹事務局長がそれぞれ取り組みを紹介し、「私たちの未来を、命の尊重を、そして憲法を、安倍政権から奪い返そう」とした大会アピールを採択した。