人事院は本日(8月6日)、内閣総理大臣および衆・参両院議長に、2015年の給与改定、給与制度の総合的見直し等に係る勧告を行った。
○ 報告のポイント
月例給、一時金ともに2年連続引き上げ① 民間給与との較差(0.36%)を埋めるため、俸給表の水準を引き上げるとともに、給与制度の総合的見直しにおける地域手当の支給割合を引き上げ ② 一時金を引き上げ(0.1月分)、民間の支給状況等を踏まえ勤勉手当に配分
給与制度の総合的見直し平成28年度において実施する措置 ① 地域手当の支給割合の引き上げ ② 単身赴任手当の支給額の引き上げ |
●今年の人事院勧告は、2015年4月より給与制度の総合的見直しが導入された直後の勧告であったため、①官民比較対象企業規模等の変更を行わずに民間給与の調査が行われてきたこと、②特に6月末に出された骨太方針において、公務員人件費のさらなる圧縮が示されていること等から、どのような勧告となるか当初より注目された勧告であった。
●結果としては、24年ぶりとなる2年連続の俸給月額・一時金の引き上げ改定となったことは、この間の民間給与の動向を見ても至極当然のことといえる。しかも、2007年勧告における改定と大きく異なり、改定の効果が若年層だけでなく、この間、厳しい措置がとられ続けられてきた高年齢層職員や再任用職員に対して給与改定が勧告されている。多くの職員が経過措置期間であるため、成果は見えづらくなっているが、2006年の給与構造改革以降初めて、再任用職員や高年齢層職員を対象に俸給表の改定を行ったことは、重要な転機と位置づける必要がある。
●また、公務員連絡会は、2年連続の俸給月額・一時金の引き上げ改定について「民間の賃上げ動向を踏まえた当然の結果」としながらも、「原資の多くが地域手当の4月遡及にあてられたことは不満が残る」とした。また、一時金の引き上げ分が昨年に引き続き勤勉手当へ配分されたことに対して、「育児休業者や非常勤職員に支給されない勤勉手当にすべてを配分したことは課題が残った」と指摘し、フレックスタイム制の拡充は「女性職員の活躍やワークライフバランス確保の推進に資するよう具体化すべき」、再任用について「フルタイム勤務重視は当然だが、それを保障する具体策を提案しなかったこと、段階的な定年延長の早期実施にむけ踏み込まなかったことは残念」とした声明を発表した。そして、「本年の給与改定に関する勧告については勧告通り実施することを求めていく」との決意を明らかにした。
●さらに、自治労は「人事委員会対策を強化し、要請・交渉に直ちに取り組むとともに、公民較差プラス分は給料表引き上げに確実かつ広範に配分すること」「総合的見直しによる賃金引き下げに抗し、水準の維持・改善を最重要課題と位置づけて、首長との早期の協議の開始と交渉体制の確立などをはかる」と今後のたたかいにむけた基本的な考え方を示した。また、「組合活動の基本である『自らの賃金・労働条件は、労使交渉によって決定する』という原則を徹底し、産別統一闘争の再構築にむけ、単組・県本部・本部が一体となった取り組みを全力で展開する」との決意を示した。
●今後はこの人事院勧告を受けて、北海道・札幌市における人事委員会勧告期にむけた対応を強化し、さらに、安全保障関連法案をめぐる不透明な国会情勢を受けて、早期の完全実施を閣議決定させる取り組みに全力をあげなければならない。安倍政権が閣議決定した骨太方針には公務員総人件費の抑制方針が堅持されており、今年の人勧の取り扱いは決して予断を許さない情勢と受け止める必要がある。
自治労北海道本部、地方本部、単組・総支部は、最大の山場である賃金確定期にむけ、組織の総力をあげて、人事院勧告の完全実施を勝ち取る方針を確立していく。
全単組・総支部は明日(8月7日)の第3次全国統一行動日においては2015人事院勧告の概要や公務員連絡会・自治労見解などを時間外職場集会や教宣紙などで全組合員へ周知すること。
定発情報NO.57 2015人事院勧告、24年ぶりの2年連続月例給・一時金引上げ改定勧告
●報告・勧告資料
●勧告本文・総裁談話
●俸給表
05_05_公安職俸給表(一) 05_06_公安職俸給表(二)
05_07_海事職俸給表(一) 05_08_海事職俸給表(二)
05_09_教育職俸給表(一) 05_10_教育職俸給表(二)