自治労北海道本部は7月16日に人事評価制度の実施に関する全道交流集会を開催し、60単組、102人が参加した。
冒頭、藤盛副執行委員長があいさつし、安保法案についての国会審議の経過に触れたうえで「参議院での法案成立阻止、それ以降の裁判闘争も視野に入れながら今後の取り組みを展開していく」とし、集会参加者へ各地域での取り組みへの結集を求めた。
人事評価制度については「なかなか各自治体での労使交渉が進んでいない」現状を指摘し「協議のないまま時間が推移し、本格実施の時期を迎え、総務省の指導に基づいて導入されるのが最もよくないパターンであり、本日の集会で課題を共有するほか各地方本部段階でも学習会等設定しながら意見交換し認識を深めたい」と述べた。
続いて、前浦労働政策研究・研修機構研究員から「人事評価制度の導入と労使の取り組み」と題して講演を受けた。
まず、人事評価制度について「民間では儲かるために経営成果をあげる道具」とし、自治体の場合は「住民満足度の向上につながるようにするのが人事評価制度」としたうえで、制度を設計するうえで「何のために、何を評価するのかを経営者が明確に伝える必要がある。人事評価の制度と内容は組織によって違う」と説明した。また「人事評価で一番重要なものは『納得性』」と述べ「職員一人ひとりが職場の実態に合う結果だと思える制度であれば納得性は高い」とした。さらに公務職場では「マーケットメカニズムがはたらかないため、質・量が決定できず業務量と無関係に要員配置がされる大きな制度上の欠陥があり、身分と一定水準の賃金が保障されるため怠けることができるので、民間以上に人事管理で個人を律せざるをえない」とした。
次に、2003年からの公務への人事評価制度導入に関わる政府や人事院の議論について時系列で説明した。
民間企業の動向について、統計データを用いながら、人事評価制度を導入している企業は減少傾向にはあるものの、年功的な給与決定を抑制しながら、能力を重視しかつ職務や業績を反映するという実態が報告された。また、導入している企業では評価する側の問題も多く抱えていることも報告された。
最後に川崎市役所における人事評価制度について労使双方へのヒアリングに基づき、導入の経過や制度内容、労働組合側の取り組みを紹介した。
次に、多田自治労本部総合労働局副部長から講演を受けた。今後のスケジュールを説明したあと、2015年4月1日基準日の「人事評価制度に関する調査結果」を用いて、北海道が全国に比して導入が遅れていること等が報告された。
続いて、全道庁労連・洞爺湖町労連・滝川市職労からそれぞれ、制度の内容や労使協議の経過について説明を受けた。
最後に櫛部賃金労働部長より、道本部提起として、地公法改正に関わる人事評価制度の導入と、等級別基準職務表の条例化・公表への単組・地方本部対応について提起した。