【人勧情報】公務員連絡会人勧期7.23中央行動
第2次中央行動で職員福祉局長、給与局長と交渉
両局長とも「作業中」として具体的回答を示さなかったことから、月末に再交渉へ
昨日(7月23日)公務員連絡会は、2008人勧期の第2次中央行動を実施した。
午後13時30分から、日比谷大音楽堂で行われた中央集会には、炎天の下、3000人の仲間が参加し、要求を実現する勧告を求めて最後までたたかう決意を固めあった。
詳細は、下記FAX情報をご覧下さい。
第2次中央行動で職員福祉局長、給与局長と交渉
両局長とも「作業中」として具体的回答を示さなかったことから、月末に再交渉へ
昨日(7月23日)公務員連絡会は、2008人勧期の第2次中央行動を実施した。
午後13時30分から、日比谷大音楽堂で行われた中央集会には、炎天の下、3000人の仲間が参加し、要求を実現する勧告を求めて最後までたたかう決意を固めあった。
詳細は、下記FAX情報をご覧下さい。
7月23日に実施した第2次中央行動、人事院給与局長交渉において、「一時金の支給月数はマイナスの調査結果も出ており最終段階まで予断を許さない情勢」になっている。
さらに、自宅所有者の住居手当については、「今年の勧告で(廃止を)措置すべき事項」「諸般の情勢も見た上で最終的に判断」との回答が出されている。
また、23日段階では、勧告期の重点的な課題に対して、明確な前進姿勢が示されなかったため、再度、31日に交渉を配置することとなった。
このままでは、一時金や住居手当(持家)を中心に非常に厳しい勧告となることが一層現実味を帯び、公務員労働者の生活改善とはほど遠い勧告とならざるを得ないと考えられる。
道本部は、このような情勢を打開すべく、30日までの期間、各単組・総支部において、人事院総裁に対する緊急要請打電(レタックス)の取り組みを提起している。
〔勧告は8月上旬、官民較差はほぼ均衡、一時金は昨年民調結果を若干下回る結果、住宅手当見直しは来年へ見送り〕
公務員連絡会は、7月31日、人事院の職員福祉局長、給与局長と二度目の交渉を実施した。この交渉は、23日に実施した2008人勧期の第2次中央行動の際の両局長との交渉で明確な回答が示されなかったことから行ったもので、人事院側は、①勧告日は8月上旬で調整中、②月例給の官民較差はほぼ均衡、③一時金は昨年の民調結果を若干下回る見通し、④本府省業務調整手当創設を勧告、⑤住居手当の見直しと通勤手当の改定は見送る方向、⑥所定勤務時間の短縮については準備等の最終的確認の段階、などの回答を示した。このため、公務員連絡会側は「厳しい状況の中、組合員は懸命に頑張っている。残された期間は少ないが、総裁回答の中ではわれわれの要求の実現に向けて最大限努力していただきたい」として、最後の努力を求めた。
公務員連絡会は、交渉終了後、幹事会でこの内容を分析し、①官民較差が均衡していることから月例給の改定勧告はない見通しであること、②一時金については、まだ結論が出ていないこと、③所定勤務時間の短縮勧告については最終調整を行っている段階であること、など勧告をめぐる認識を確認した。公務員連絡会は、勧告日前には委員長クラス交渉委員による人事院総裁との交渉を行い、最終的に勧告内容を確定することとしている。
この日行われた人事院職員福祉局長、給与局長との交渉経過は次の通り。
<人事院職員福祉局長交渉の経過>
人事院川村職員福祉局長との交渉は、午後2時から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
冒頭、吉澤事務局長が現時点での局長の見解を求めたのに対して、川村局長は、以下の通り回答した。
1.所定勤務時間の見直しについて
本年の民調結果の集計はほぼ終了し、最終段階の精査をしているところであるが、概ね昨年並みの数字がでる見込みである。現在、各府省における業務の合理化・効率化の検討状況、勤務時間の短縮を行った場合に窓口業務や交替制勤務の職場において行政サービス水準を低下させない勤務体制が準備されているか等に関して最終的な確認を行っているところである。
2.超過勤務の縮減について
現在、政府全体として取り組んでいる在庁時間削減の取組状況については、勧告を目途としてとりまとめ、情報提供を行うこととしたい。
他律的業務に係る超過勤務の縮減に関しては、法令協議、予算関係、国会関係など業務ごとの縮減の必要性等について言及するとともに、他律的な業務の比重の高い部署における超過勤務の上限目安の設定などの検討や早出遅出勤務の活用促進のための取組を進める旨を報告する予定である。
これらの回答に対して、公務員連絡会側は、次のとおり局長の見解を質した。
(1) 所定勤務時間の見直しについては、民間調査結果の内容はほぼ固まったと考えてよいか。3月段階から「各府省の準備状況を踏まえて」との回答を受けており、本日は、その準備状況の最終確認を行っているとの回答であるが、「短縮勧告を行う」と明確に回答してもらいたい。加えて「来年4月から実施する」ということを勧告に明記し、早急に実施すべきだ。
(2) 超勤の縮減は、実効性の問題につきる。他律的業務、とくに国会関係などにおける超勤の縮減は重要な問題であり、人事院として強い決意を持った主体的な問題提起が必要である。本日の回答の「上限目安」とはどのようなものなのか。施策を特定するのではなく、われわれの意見も含め幅広い視点で検討していくことを求める。
これらを受けて、川村局長は次のとおり考えを述べた。
(1) 民調結果に基づき勧告をするという基本的スタンスは変わらない。しかし、各方面の見直しに対する関心が高く、現在は、問題が生じないように最終段階での精査と確認を行っており、その上で最終判断する。実施時期についての皆さんの要望は重く受け止め検討したい。
(2) 「上限目安」というのは、それを念頭において縮減に努めるものであるが、縮減のための施策はこれにとどまるものではない。超勤縮減は重要かつ喫緊の課題であるとの認識の下、さまざまな取組を組み合わせることによって、効果が上がるよう対応を進めていきたい。
これらのやり取りを踏まえ、吉澤事務局長は「いまの局長回答は、本年勧告する方向で最終調整しているという回答があったものとして受け止める」と連絡会としての認識を示した上で、「本日申し上げた要求を踏まえ、総裁回答に向けて最大限努力していただきたい」と強く求め、交渉を終えた。
<人事院給与局長交渉の経過>
人事院吉田給与局長との交渉は、午後2時25分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
冒頭、公務員連絡会吉澤事務局長が局長の回答を求めたのに対し、吉田局長は、以下の通り回答した。
1.勧告日について
8月上旬を目処に調整中である。
2.月例給の官民較差について
官民較差はほぼ均衡している状況である。
3.特別給について
特別給については最終的な結果を言える段階にないが、昨年の民調結果を若干下回るのではないかとの見通しである。
4.その他の手当について
(1) 本府省業務調整手当については、職員団体を含め関係者のご意見を聴きつつ検討を進めてきたが、先日お示しした措置案の内容で、平成21年度からの実施を勧告することとしている。
(2) 住居手当については、その見直しについて昨年の報告で言及したところであるが、本年は官民較差もほとんどない状況であることから、見直しを見送る方向で検討している。報告において、来年の勧告に向けて自宅に係る住居手当の廃止の検討を進めるとともに、借家・借間に係る住居手当については、高額家賃負担者の実情を踏まえた手当の在り方について引き続き検討を進める旨を言及することとしている。
(3) 交通用具使用者に係る通勤手当については、民間の支給状況と現行の手当額が改定を要するほどには離れてはいないこと、過去においてもガソリン価格の上下動に直接連動した改定は行っていないことなどから、本年は手当額の改定は見送る方向で検討している。
5.医師の給与改善について
国の医療施設に勤務する医師の給与が民間病院や国立病院機構に勤務する医師の給与を大きく下回っていることから、国の施設における勤務医確保の必要性を考慮し、初任給調整手当について特別の改善を行うこととしている。
以上が勧告に関する事項である。次に報告事項について申し上げる。
6.給与構造改革期間終了後の取組について
給与構造改革期間終了時点において、これまでの改革の効果を検証し、引き続き地域間での配分の在り方や能力・実績主義の推進の観点からの見直しを検討することに加え、60歳代前半における雇用を前提とした給与水準・体系の在り方について検討を進める旨を言及する予定である。
7.地域手当の支給割合の改定について
平成21年度における地域手当の暫定支給割合について、支給地域における職員の在職状況を踏まえて改定を行うこととしている。
8.非常勤職員の給与等について
非常勤職員の給与決定に関するガイドラインについては、先日お示しした案を、勧告後速やかに事務総長通知の指針として発出することとしている。さらに、非常勤職員の在り方に関して、政府全体で幅広く検討する必要性について言及することについては最終的に検討している。
9.人事評価結果の給与への反映について
既にお示ししている措置案の概要を報告において示し、試行の結果も踏まえ、人事評価制度の施行までに最終的な結論を得て必要な制度整備を図る旨を言及することとしている。
回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質し、要求実現を迫った。
(1) 勧告日については、「8月上旬」との不明確な回答だが、いつ頃確定するのか。
(2) 「官民較差はほぼ均衡」との回答だが、それは月例給については改定勧告を行わないということか。また、較差が伸びなかった理由は何か。また、
(3) 一時金は民間実態は昨年より若干下がるということだが、月数の引下げには至らないと受け止めていいか。諸物価高騰の下の生活実態から、組合員は重大な関心をもっており、維持することを強く求める。
(4) 本府省業務調整手当を勧告することは極めて遺憾である。地方の原資を使うことになるので、地方の職員が納得できる説明が必要だ。本府省の問題は何よりも実効性のある超勤縮減が先ではないか。総裁交渉でも遺憾の意を表明せざるを得ない。
(5) 住居手当について本年の見直しを見送ることにしたことについては歓迎したい。来年は見直すということを報告するとのことであるが、今後とも十分な交渉・協議を行い、合意に基づいた検討を強く求めておきたい。
(6) 通勤手当については必要経費の実費弁償である。これまでガソリン価格の上下動に合わせてこなかったと言うが、今回の上げ幅は大きい。地方の組合員の要求には極めて強いものがあり、ギリギリまで努力してもらいたい。
(7) 地域間配分、能力・実績主義の推進の観点からの見直しや60歳代前半層の雇用を前提とした検討については、人件費を下げることが目的であってはならない。検討に当たっては十分な交渉・協議をさせていただきたい。
(8) 非常勤職員の問題については、解決に向けてスタートを切ったことは評価する。しかしこれは一歩に過ぎない。雇用確保策など、次のステップに踏み出せるよう、報告では人事院として強いメッセージを出していただきたい。
これに対し吉田局長は、次の通り、見解を示した。
(1) 勧告は8月上旬からお盆までの間に行われてきており、その範囲になると思うがいつ確定するかは現時点ではわからない。
(2) 較差が伸びなかったのは、中小や地場企業の伸びが弱かったことと、公務の方で高齢層の退職者が減り、採用抑制で若い人も減っているので、それが較差に影響しているかどうかはわからないが、公務の平均給与額を引き上げたことが考えられる。また、「ほぼ均衡」ということからは、論理的には改定勧告はないということになるが、最終回答は総裁交渉で申し上げる。
(3) 一時金がどうなるかは、現段階では申し上げられない。数値が確定した段階で二捨三入七捨八入というルールにしたがって措置することになる。
(4) 本府省手当の原資は本府省以外で働いている人の原資をその分削ることになるが、本府省の業務の困難性、特殊性に対してできるところから措置しておきたいということであり、ご理解いただきたい。
(5) 住居手当について協議は行うが、去年から今年の流れを考えれば、持ち家に対する手当の役目は終えているという認識であり、来年廃止する準備に入っていることから、どう終わらせるかについて論議をさせていただきたい。
(6) 官民較差が均衡している中で、通勤手当だけ上げることはバランスを失し、適当でないと考えている。民間との均衡という、対外的に説明できるデータとしては改正を必要とするほどの差はない。引き続き、この問題については注目していきたい。
(7) 地域間配分については見直しから5年経つことになるので、再度地域間較差を算出し検証する必要がある。加えて評価制度も2〜3年やってみて、能力・実績主義との関係で問題があれば、評価制度に問題があるのか、給与制度に問題があるのかを検証し、虚心坦懐に見直していくということだ。さらに新たに定年を延長し60歳を超えて雇用していくとき、総人件費を増やさないという要請の下で職員の生活不安に繋がらないようにしていくためには給与制度をどうしたらよいかの検討も必要だ。公務員の給与に対しては各方面からいろいろ批判が行われるので、国民の理解を得ながら対応できるかどうかが大事であり、そのための条件整備を行いたいということである。引き続き、皆さんとは話し合っていきたい。
(8) 非常勤職員の問題については、人事院としてしっかり対応していきたい。
最後に、吉澤事務局長が「厳しい状況の中、組合員は懸命に頑張っている。人事院勧告は唯一の労働条件改善のための手段であり、総裁回答の中ではわれわれの要求の実現に向けて最大限努力していただきたい」と強く求め、交渉を締めくくった。
自宅に係る住居については、自治労・公務員連絡会は、春闘段階から人事院交渉において、国と自治体との住宅政策の違いなどを根拠に、廃止反対を強く主張してきた。さらに、人事院勧告期において個人要請はがき、7・23中央行動などの取組を重ねてきたが、「見直しを見送る方向で検討している」という本日の回答は、これら取組の成果である。しかし、人事院は自宅に係る住居手当について来年度は廃止の検討を進めるとしているため、今年以上に厳しい状況にあると判断せざるを得ないことから、いっそうの取り組み強化が求められている。
本日(7日)、予定されていた人事院勧告は、官邸側の都合で延期されることになりました。
これにともない、明日(8日)の第4次全国統一行動については、延期となります。
機関紙などを準備をしている単組におきましては、改めて、勧告日以後に対応するよう準備をお願いします。
なお、勧告日については、現時点で明確になっていません。新たな日程については情報が入り次第、お知らせします。
本日(8月11日)、人事院は、国家公務員の給与について政府と国会に今年度の給与勧告行った。
2年ぶりに例月給与・一時金改訂は行われない。
住宅手当については現状を維持し、勤務時間短縮の勧告となった。詳細は下記の通り。
明日12日は、第4次全国統一行動を改めて配置しますので、取り組みを要請します。
人事院は、8月11日午後3時30分、内閣と国会に対して、①月例給・一時金の改定を見送ることや来年度から医師の初任給調整手当を引き上げるとともに、本府省業務調整手当を新設するなどの給与に関する報告・勧告、②勤務時間について来年4月から1日当たり7時間45分とすることや超過勤務の縮減方策の検討を行うことなどの勤務時間に関する報告・勧告、③新たな人事評価制度の導入や高齢期の雇用問題など公務員人事管理に関する報告を行った。政府はこれを受けて15日に第1回目の給与関係閣僚会議を開いて取扱い方針を協議する予定。
公務員連絡会は、人事院勧告・報告が内閣・国会に提出されたことを受けて、①月例給・一時金と交通用具使用者の通勤手当の改善が見送られたことは不満、②本府省業務調整手当を一方的に勧告したことは遺憾、③所定勤務時間の見直しは取組みの成果であり、勧告通り実施する閣議決定を行い、法案を国会に提出すること、などを内容とする声明を発した。
委員長クラス交渉委員が、8月11日には総務大臣、8月15日には官房長官、厚生労働大臣に対して、①勤務時間見直し勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、早期に勤務時間法改正法案を国会に提出すること、②新たな人事評価制度について、納得性の高いシステムとなるよう、十分交渉・協議し、合意すること、③非常勤職員について、位置づけや雇用確保について検討する場を設けること、④公務員制度改革について、十分交渉・協議を行い、抜本的改革を実現することとし、直ちに公務の労使関係の検討に着手すること、などを求める要求提出を行うことにしている。
また、公務員連絡会は、8月11日の人事院勧告を踏まえ、8月12日に職場集会を中心とした第4次全国統一行動を実施し、意思統一を図り、秋の取組みに結びつけていくことにしている。
本年の勧告に至る経過の中では、人事院総裁が8月5日の委員長クラスとの交渉の中で「勧告は8月7日の予定」と回答したあと、8月6日夕刻になって突如それが変更されるという事態となった。総理の日程調整の関係とはいえ、勧告の予定が直前になって変更となったことはこれまでにないことであり、結果として組織混乱を生じたことは遺憾といわざるを得ない。
公務員連絡会は、すでにお知らせしたように、8月8日午後、事務局長等が給与局長と交渉を持ち、遺憾の意を表明するとともに、経緯の説明を求めた。これに対して人事院は、総理の日程の関係で急な変更となったと経緯を説明し、「現場で混乱が生じたことは重く受け止めている」との見解を示した。公務員連絡会は、この交渉を受けて8日夕刻、代表者会議を開いてこの間の経過を確認し、11日の勧告に臨む対応方針を決定した。
あわせて代表者会議は、こうしたことが「無駄ゼロ」等の総人件費削減の動向や政治的思惑と結びついたものであっては絶対にならないことから、勧告の取扱いをめぐる秋の情勢がとりわけ厳しいことを踏まえ、不退転の決意で秋季闘争を進める決意を全体で確認し、8月19日の企画・幹事合同会議で秋闘方針を具体化することとした。また、各構成組織は12日の第4次全国統一行動の中で、こうした経緯を含め厳しい情勢を全体で共有することとした。
公務員連絡会地方公務員部会は、8月12日午前10時から、2008年人事院勧告を受けて全国人事委員会連合会(全人連)に対する申入れを行った。公務員連絡会側は、地公部会の佐藤議長(全水道委員長)、金田企画調整委員(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長、江﨑次長と地公部会幹事が出席、全人連側は、内田会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表及び政令市人事委員会の代表者が対応した。
冒頭、佐藤地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、「勧告内容は、月例給と一時金据え置きというもので、組合員の生活実態から見て極めて不満である。地方公務員にとっての最大の関心事であった住宅手当の持ち家廃止について、本年は見送ることになったが、住宅手当は生活関連手当であり、国と地方では職員の住宅政策は根本的に異なる現状を引き続き訴えていく。一方で、地方公務員給与引き下げの政治圧力と財政難による給与の独自削減が行われており、賃金水準の改善、標準的給与確立、臨時・非常勤職員の処遇改善の取り組みなど、課題は山積している。全人連におかれては、十分に協議する場を継続して頂くと同時に、各人事委員会におかれても各組合と率直な交渉・協議が保障されるような取り扱いをお願いする」と申入れの趣旨を述べた。
引き続き、藤川地公部会事務局長が要請書の内容を説明し、全人連の努力を求めた。
また、日教組から、国の財源削減は給料・手当の削減の理由とはならず、見直しをするならば、十分、納得のいく説明を果たすことを要請した。
こうした地公部会の要請に対し、内田会長は以下の通り回答した。
<全人連会長回答>
○ 全人連会長の内田です。私から全国の人事委員会を代表してお答えいたします。
○ ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、役員県を通じて、全国の人事委員会にお伝えいたします。
〇 まず、最近の経済状況ですが、政府の8月の月例経済報告では、「景気は、このところ弱含んでいる。」とし、先月の報告まであった「回復」という表現を削除しております。2002年2月から始まった戦後最長の景気回復が終わり、景気が後退局面に転じている可能性を示唆しております。また、先行きにつきましても、「アメリカ経済や原油価格の動向などによっては、さらに下振れするリスクがある。」と警戒感を示しております。
〇 このようなアメリカをはじめとする世界経済の減速に加え、原油や原材料の価格高騰により、企業収益が悪化するとともに、食料品やガソリンの相次ぐ値上げが家計を圧迫し、国民生活を取り巻く環境は厳しいものとなってきております。
○ さて、本年の人事院勧告ですが、既にご承知のとおり、昨日、国会及び内閣に対して、勧告が行われました。
○ 人事院勧告によると、民間給与との較差は、136円(0.04%)と極めて小さく、俸給表の適切な改定には不十分であるなどの理由から、俸給表及び諸手当の改定を見送り、昨年、見直しに着手するとしていた住居手当については、引き続き検討を進めるとしております。
○ また、特別給につきましても、民間の支給割合と概ね均衡しており、支給月数の増減を行わな いとしております。
〇 その一方で、医師の人材を確保するため、来年4月から、年間給与を平均で約11%引き上げることが適当であるとして、医師の初任給調整手当の大幅な改善を行うこととしました。
○ 職員の勤務時間につきましても、過去5年間の調査結果を踏まえ、来年4月から、1日あたりの勤務時間を7時間45分とするよう勧告しました。
○ 詳細につきましては、これから人事院の説明を受けるところです。各人事委員会にとりまして、人事院の勧告は、必ずしも、直ちに、これに従うべきものではありませんが、今後の各人事委員会の勧告作業に影響を及ぼすものと考えられます。
○ 現在、各人事委員会では、秋の勧告に向けて、鋭意、作業を進めているところです。今後は、皆様からの要請の趣旨も十分考慮しながら、それぞれの人事委員会が、各自治体の実情を踏まえ、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
○ 全人連としても、各人事委員会の主体的な取組を支援し、人事院や各人事委員会と、十分な意見交換や連携を行えるよう、努めてまいります。
○ 公務員の給与を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況ですが、各人事委員会におきましては、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしてまいる所存でございます。
(別紙) 全人連への要請書
2008年8月12日
全国人事委員会連合会
会 長 内 田 公 三 様
公務員連絡会地方公務員部会
議 長 佐 藤 幸 雄
2008年度地方公務員の給与勧告等に関する要請書
各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
人事院は8月11日、政府と国会に対して給与勧告を行いましたが、月例給、一時金とも2008年度の国家公務員給与を改定しないとしました。
地方公務員の給与について、地域の民間給与を反映すべきだとする引下げ圧力が一層強まっている状況にありますが、地方公務員の給与は職務給の原則を踏まえ地公法24条の趣旨に基づいて決められるべきものです。また、地方公務員においては、厳しい財政事情のもとで特例条例等による給与減額が行われており、生活水準の低下を余儀なくされています。
各人事委員会におかれましては、これから本年の地方公務員の給与勧告に向けた作業を本格化されることと思いますが、地方公務員の生活を守るという人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。
記
1.民間給与実態を精確に把握し、地方公務員の生活を改善するための賃金水準を確保すること。
(1) 人事院勧告を踏まえ、当該職員団体との十分な交渉・協議のもと対応を行うこと。
(2) 配分については職員団体と十分交渉・協議すること。
(3) 燃料費等が高騰している状況を踏まえ、較差外手当としての交通用具使用者の通勤手当を引き上げることなど、地方公務員の実情を踏まえた勧告を行うこと。
(4) すべての在職者が定年まで昇給が可能となるよう、号給を延長すること。
(5) 一般職員の勤務実績の給与への反映の基準については、十分な交渉・協議、合意を前提にすること。
2.地方公務員の標準的給与の確立に向けた取組みを行うこと。
(1) 全国人事委員会連合会の体制・機能の強化や人事委員会相互の連携方策などについて、組合との意見交換を進めること。
(2) 「人事委員会の機能強化及び連携方策等に関する検討会報告書」にとらわれることなく、人事委員会が第三者機関として十分な機能を発揮すること。
3.独自の給与削減措置が行われている自治体は、減額措置後の給与に基づく公民較差を基本とすること。
4.教育職員の給料表・諸手当の勧告にあたっては、当該組合との交渉・協議を通じて理解と合意を得るよう努めること。
5.非常勤・臨時採用職員の処遇改善に関する指針を示すこと。
6.人事院勧告において示されたように所定勤務時間を週38時間45分、一日7時間45分、実施時期は2009年4月1日と明示した勧告を行うこと。
7.「不払い残業」の一掃、変則・交替制勤務職場における労働時間短縮、在庁時間の削減目標の策定など超過勤務縮減の具体策を示すこと。
人勧取扱いで総務大臣、官房長官、厚生労働大臣に要求提出
公務員連絡会は8月11日に人事院勧告が行われたことを踏まえ、同日、総務大臣に、8月15日に官房長官と厚生労働大臣にそれぞれ要求書(資料参照)を提出した。
政府は15日午前中に第1回目の給与関係閣僚会議を開催したが、結論を得るには至らず、今後、各府省間でさらに検討を進め、改めて閣僚会議を開くことにした模様である。
町村官房長官は、閣議後、「今日の会議でもいろいろなご意見が出たところでありまして慎重に且つ幅広く、この問題については閣僚ベースでも議論を重ねていく必要があるテーマであると、そのように受け止めている」との記者発表を行っている。また、公務員連絡会の要請に対し、官房長官は「都道府県の半分以上が給与カットをしているが、国も地方なみに下げるべきという話が出てきたとき、太刀打ちするのが大変だ。まして勤務時間を短縮するということをどうしたらいいのか」と答え、勤務時間見直し勧告の取扱いについて、慎重な姿勢を示している。
今後、給与や勤務時間見直し勧告の取扱いをめぐっては、予断を許さない厳しい情勢となることは間違いなく、組織の総力を挙げた取組みが求められることになる。
各大臣との交渉経過は次のとおり。
<総務大臣への要求書提出の経過>
総務省への要求提出は、増田総務大臣に対して、8月11日18時30分から、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席して行われた。
冒頭福田議長は、次の通り、要求書の趣旨を説明し、大臣の見解を求めた。
(1) 本日行われた人事院の報告・勧告のうち、月例給や一時金の改善が見送られたことについては、民間賃金の実勢を反映したものとはいえ、諸物価高騰の下で生活改善を求める公務員労働者の期待に応えておらず、不満と言わざるを得ない。
(2) 勤務時間見直し勧告は、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであること、政府がワークライフバランスの実現という政策を積極的に進めているという観点からも、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、臨時国会の早い段階に勤務時間法改正法案を提出するよう求めておきたい。
(3) また、人事院の報告では、①非常勤職員の雇用問題の検討②超過勤務縮減の必要性③高齢者雇用の一層の促進、などについて提言しているが、これらはすべて公務員の使用者としての政府自らが取組むべき課題でもあり、政府としても積極的な対応をお願いしたい。
(4) その他、本格実施が目前に迫った新たな人事評価制度を納得性のあるものとしていくことや、公務員制度改革基本法に基づいて検討が本格化する労使関係制度を含む公務員制度の抜本改革など、まさに課題が山積している。これらについても、人事管理全般を所管する総務大臣の特段の努力をこの際要請しておきたい。
(5) この秋の段階においても、公務員を巡る情勢には引き続き厳しいものがあると認識している。公務員の労使関係制度が改革されるまでは労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度が唯一の決定システムであることは言うまでもない。本年の労働時間短縮勧告を実施することは使用者としての政府の最低の責任であり、人勧制度を無視するような議論には毅然として対応してもらいたい。
大臣には、本日提出したわれわれの要求が実現するよう、最大限の努力をお願いするとともに、政府方針決定前には、要求に対する回答を頂くようお願いする。
(6) ところで、増田大臣は地方分権担当大臣でもあるので、この際、地方分権改革に関わる国の出先機関の見直しについて要請しておきたい。
地方分権改革については、国と地方の役割、権限を精査して進めていただきたい。われわれは地方分権の流れに反対しているわけではないが、地方分権改革委員会の議論を見ると、はじめに国の出先機関の統廃合ありきの検討姿勢である。400にわたる国の業務について仕分けを行っているが残る業務がない感じだ。国と地方の業務について十分検討して対応していただきたい。
公務員は、定員削減などの厳しい職場実態の下で業務遂行に励んでいる。加えて仕事そのものを否定されたのではモチベーションが上がらない。
大臣には、①まず地方分権の全体像を示してもらって、国と地方自治体の役割分担を明確にし、国民生活の観点から事務・事業の精査を十分行った上で国の出先機関のあり方を検討すること②見直しに当たっては、政府が雇用と労働条件の確保を明確に保障すること、などについて特段の努力を要請しておきたい。
これに対して増田大臣は、次の通り見解を述べた。
(1) 政府は、本日、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
(2) 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢を堅持してきたところである。
国の財政事情をはじめ国家公務員給与等を取り巻く環境には極めて厳しいものがあるが、総務省としては、従来からの基本姿勢の下、国民の理解を得られるような結論を得るべく国政全般との関連を考慮し、誠意をもって検討を進めてまいりたい。
(3) 当然のことながら、皆様方の意見も十分にお聞きしながら、検討を進めてまいりたい。
(4) 地方分権については、地方分権改革推進委員会でも議論がされており、勧告がなされることになるが、皆さんの意見はご要望として承っておきたい。
これらの見解を受けて、福田議長は、「今示された立場で、勤務時間見直し勧告通り実施できるよう、対応していただきたい」と、勤務時間見直しを勧告通り実施することを強く求め、交渉を終えた。
<官房長官への要求書提出の経過>
村官房長官への要求提出は、8月15日15時40分から総理大臣官邸で行い、福田議長、岡部・井津井副議長、吉澤事務局長が臨んだ。
冒頭、福田議長は、次の通り要求書の趣旨を説明した。
(1) 人事院の報告・勧告のうち、月例給や一時金の改善が見送られたことについては、民間賃金の実勢を反映したものとはいえ、諸物価高騰の下で生活改善を求める公務員労働者の期待に応えておらず、不満である。
(2) 勤務時間見直し勧告は、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであり、政府が進めるワークライフバランス実現の観点からも、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、臨時国会の早い段階に勤務時間法改正法案を提出するよう求めておきたい。
(3) また、公務員制度改革基本法に基づく公務員制度改革の検討が本格化するが、労使関係制度検討委員会において検討される労使関係の抜本改革の課題を含め、十分われわれと意見交換しながら進めていただくよう要請する。
(4) いま、公務員労働者は、総人件費削減政策や公務員バッシングの中でも、懸命に良質な公共サービスを提供すべく、それぞれの職場で奮闘している。これに応えることは、使用者としての政府の責務である。公務員をめぐる情勢はこの秋においても引き続き厳しいものがあると認識しているが、給与関係閣僚会議の座長でもある官房長官には、人勧制度が労働基本権制約の代償措置であり、それを政府として維持・尊重するとの基本姿勢に立って、要求実現に向けて特段のご努力をお願いしたい。
また、岡部・井津井両副議長も、勤務時間見直し勧告の実施を重ねて要請した。
これに対して官房長官は、次の通り答えた。
(1) 公務員制度改革の検討委員会については、皆さんからも委員を出していただいて、三者構成でたち立ち上げたらいいのではないかと思っている。まず、顧問会議を立ち上げて、検討委員会は来週あたりから人選の検討に入っていくことになるのではないか。
(2) 都道府県の半分以上が給与カットをしており、それを国民が支持している状況がある。国も地方以上に赤字財政になっており、国は努力しなくていいのかという声が出てくる。その時、政府としてどう考えたらいいのか。今回の勧告は給与を上げるという話はないが、国も地方なみに下げるべきという話が出てきたとき、太刀打ちするのが大変だ。まして勤務時間を短縮するということをどうしたらいいのか。悩ましい問題と認識しており、一生懸命検討していく。
以上のように、官房長官が、勤務時間見直しについて慎重な姿勢を示したことから、公務員連絡会側は「勧告どおり実施されなければ、人事院勧告制度が立ちゆかなくなる。勧告どおり実施するよう強く要請する」と、重ねて勤務時間見直し勧告通りの実施を要請して、申入れを締めくくった。
<厚生労働大臣への要求書提出の経過>
舛添厚生労働大臣への要求提出は、8月15日の午後2時30分から行い、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、福田議長が「人事院勧告は、労働基本権制約の下で唯一の代償措置であることを踏まえ、勧告通りの閣議決定を行い、勤務時間法改正法案を国会に提出すること」など要求の趣旨を説明し、厚生労働大臣の尽力を求めた。
これに対して舛添大臣は、「きょう、給与関係閣僚会議が開かれたが、人事院勧告は代償措置の砦であるので、勧告をきちんと守ってくださいということを申し上げた。きょうの段階では結論を得るに至っておらず、協議していくことで終わっている。これまで同様、勧告を守っていくよう対応していきたい」として、勧告の実施に向け、努力していく考えを示した。
資料-要求書
2008年8月11日
総務大臣
増 田 寛 也 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 福 田 精 一
本年の人事院報告・勧告に関わる要求書
常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力頂いていることに心から感謝申し上げます。
さて、人事院は11日、月例給及び一時金の改定を据え置く一方、1日の所定勤務時間を7時間45分とすることなどを中心とする本年の報告・勧告を行いました。
本年勧告で、月例給と一時金の改善が見送られたことについては、民間賃金の実勢を反映したものとは言え、諸物価高騰の下で生活改善を求める公務員労働者の期待に応えなかったものとして不満と言わざるを得ません。
また、勤務時間見直し勧告は、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであり、人事院勧告が労働基本権制約の代償機能であること、政府が進めるワークライフバランス確保の観点からも、直ちに勧告通り、実施に移されなければなりません。
いま、公務員をめぐっては、府省間配置転換など雇用確保の課題、来年度からの人事評価の本格実施とその活用、国家公務員制度改革基本法に基づく労働基本権の確立を含む労使関係の改革など、極めて重要な課題への対応が迫られています。
総人件費削減政策の実施や公務員バッシングの中においても、公務員労働者は、日々、国民に良質な公共サービスを提供すべく懸命の努力を続けています。貴職におかれては、以上の点を十分認識し、下記事項の実現に向けて最大限努力されるよう要請します。
記
1、本年の勤務時間見直し勧告については、直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、早期に勤務時間法改正法案を臨時国会に提出すること。
2、新たな人事評価制度については、リハーサル試行を踏まえ、納得性の高いシステムとなるよう、十分交渉・協議を行い、合意すること。
3、非常勤職員については、人事院の報告を踏まえ、その位置付けや雇用確保について、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組みを開始すること。
4、国家公務員制度改革基本法に基づく公務員制度の検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、抜本的な改革を実現すること。
また、国家公務員制度改革推進本部に設置される労使関係制度検討委員会において、直ちに公務の労使関係の抜本改革に向けた検討に着手すること。