マイケル・ムーア監督のキャピタリズムを観た。映画のエンディングロール、とても懐かしい、どこかで聴いたことのある唄が2曲続けて流れてきた。
最初の曲は♪あーあ、インターナショナル、我らがもの・・・。そう、あの「インターナショナル」その昔集会の始まりや終わりには必ずといっていいほど唄ったものだ。ジャズ風にアレンジしていたようなので、厳格さは薄れやや違った印象はあったが、この映画の締めくくりにはもってこいの挿入歌かもしれない。
この唄に続いて今度はアメリカンフォークが流れた。特有の語り調で、ボブディランや日本では今は亡き高田渡などがカバーしていた。この歌手が思い出せなかった。帰って検索してわかった。「我が祖国」のウッディ・ガスリーだった。
イエス・キリストという曲名で「富めるものはその富を貧しい人々に分け与えよ」というような詩。映画のエンディングにぴったりだ。ムーア監督の想いが伝わる。
さて、映画はサブプライムローンで自宅を追い出される労働者家族の取材映像から始まる。その背後にある労働者の解雇、リストラ。一方では莫大な儲けを蓄える金融資本。やがて、労働者は、生きるための立ち上がる。そんな行き過ぎた資本主義に疑問を感じた人々は変化を求めオバマ大統領の誕生に喚起をあげる。
思わず、熱いものが頬をつたわる。ハンカチを忘れてきた。手でぬぐった。労働者が団結して資本家とたたかう、現実はそう単純には進まないが、労働運動の原型をみるような映画だった。最後に流れる唄を聴くためにも、もう一度劇場に足を運びたい。
ただ、映画はドキュメンタリータッチで、ドラマ仕立てではないので、ムーアの作品をはじめてみる人には少々退屈かもしれない。シッコなどを見ている人には違和感なく監督の想いを肌で感じ取ることができるはずだ。
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