-公務労協対策本部は「極めて遺憾であり、撤回を求める」との見解を公表-
政府の国家公務員制度改革推進本部は、3日朝、第3回会議を開催し、人事院谷総裁の反対意見を押し切って「公務員制度改革に係る「工程表」について」を本部決定した。
この間、公務労協は政府の「誠心誠意話し合う」との約束に基づき、交渉・協議を重ねてきたが、われわれの意見を一切受け入れず、一方的に決定したものであり、極めて遺憾である。公務労協は、工程表の決定に対し、【別紙】の対策本部見解を公表するとともに、対策本部会議の確認に基づき、今後、取組みを強化することにしている。
【別紙】
公務員制度改革に係る「工程表」の決定についての見解
1.政府は、2月3日朝、第3回国家公務員制度改革推進本部(以下、「推進本部」という。)会議を開催し、連合、公務労協や人事院の反対を押し切って、「公務員制度改革に係る「工程表」について」(以下、「工程表」という。)を本部決定した。
その内容は、幹部職員の任用弾力化を行うとともに、内閣人事・行政管理局(仮称。以下、「人事・行政管理局」という。)を設置し、級別定数管理や任用、研修、試験の企画立案などの人事院の権限を大幅に移管するというものである。そのため、国家公務員法等の改正法案を今次通常国会に提出することを明記する一方、労働協約締結権の付与については明確な方向性を示していない。
2.工程表は、国家公務員制度改革基本法(以下、「基本法」という。)及び推進本部顧問会議の報告を踏まえたものとされているが、報告が顧問である連合高木会長の意見書を無視し一方的に確認されたものであることに加え、総人件費管理に言及するなど明らかに基本法の求める措置を逸脱している。また、工程表の検討にあたり、政府は勤務条件に関わる事項については「公務労協と誠心誠意話し合う」と約束したにもかかわらず、連合古賀事務局長、公務労協対策本部正副本部長による甘利公務員制度改革担当大臣に対する「最低限要求」に一切応えなかったものであり、極めて遺憾であり、撤回を求める。
3.工程表に基づいて人事・行政管理局の設置などの制度改正作業が進められることとなれば、公務員人事行政の中立公正性を損ねるとともに、労働基本権を制約したままで使用者権限を一方的に強化することは憲法問題になるものである。
さらに、使用者である推進本部が勤務条件等についての企画立案を行い、当事者であるわれわれの意見を反映せず、人事院に勧告要請を行うこととなれば、労働基本権制約の代償機能は形骸化することになる。
したがって、われわれは工程表に基づく人事・行政管理局設置法案提出には反対であり、法案提出が行われた場合には、連合、民主党とも連携し、廃案に向け、全力で取り組むものである。
また、推進本部による今後の作業に対しては、改めて交渉・協議、合意に基づく対応を求めるとともに、人事院には推進本部の勧告要請に対して第三者機関として毅然と対応することを強く要請するものである。
労働協約締結権の付与など「自律的労使関係制度」の確立は、労使関係制度検討委員会の場で本年中に結論を得ることとされており、連合と連携しながら、労働者側委員と一体となって取組みを強化していくこととする。
4.経済が低迷し、格差の拡大・固定化が進みつつある社会経済情勢のもと、行政に求められる役割は高まっており、いま、その基盤となる公務員制度を抜本的に改革していくことは喫緊の課題である。にもかかわらず、工程表に示された公務員制度改革がこうした課題に応える改革となっていないことは遺憾である。
公務労協は連合とともに、行政や公務員に対する信頼を回復し、国民の期待に応えられるよう、改革に全力で取り組む。ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に向けて引き続き奮闘するものである。
2009年2月3日
公務公共サービス労働組合協議会
労働基本権確立・公務員制度改革対策本部
以上