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【本部情報】大阪府本部・枚方市非常勤職員手当住民訴訟

2008年10月31日、大阪地方裁判所は、枚方(ひらかた)市「非常勤職員」手当住民訴訟において、枚方市長に対し,元枚方市長個人へ損害賠償を,さらに期末手当・退職手当を受給した非常勤職員へ不当利得返還をそれぞれさせるよう命じる不当な判決を下した。

この裁判は、住民である原告が,枚方市が一般職「非常勤職員」に対し特別報酬として期末手当・退職手当を支給したことについて、第1に地方自治法上,非常勤職員には手当は支給できない。第2に手当支給は給与条例主義に違反するなどとして、枚方市長が元市長個人に損害賠償請求をすべきことを命じるとともに手当を受領した非常勤職員への不当利得返還請求をも命じるべきとして提起した住民訴訟である。

判決は,原告の第1の主張について,手当を受給した「非常勤職員」は地方自治法上の非常勤職員ではなく常勤職員にあたるとして否定した。

すなわち,判決は,当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段と評価し得るような職務に従事する職員は,地方自治法上は非常勤ではなく常勤だとし,「人事院規則の規定の趣旨に加えて,常勤職員の週勤務時間数の4分の3を超えるような態様の勤務に従事する職員は,社会通念に照らしても,当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段となっているのが通常であると考えられることを併せ考えると,地方公務員についても,1週間当たりの勤務時間数が常勤の職員の1週間当たりの勤務時間の4分の3を超えるような態様の勤務に従事する職員は,地自法204条1項にいう常勤の職員に該当するものと推定されるというべきである。」とした。この点は「非常勤職員」の処遇改善の取り組みにおいて大きな前進と評価できる。

しかし,判決は、原告の第2の主張についてはその主張を認めた。「条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて普通地方公共団体の長又は規則に委任するようなことは,長の恣意的な給与の支給を許すことにつながりかねず,職員に法定の給与を保障するという観点からも,給与の額及びその支給方法に対する民主的統制を図るという観点からも,給与条例主義の趣旨に反し,許されないものというべきである。」とし,枚方市の条例は,期末手当・退職手当の額の算定の基礎とされた月額報酬に関する規定がその上限額のみを規定し,当該上限額の範囲内での具体的な金額の決定を任命権者にゆだねたものであるなどとし,給与条例主義に反するとしたのである。

そして「非常勤職員」が期末手当も退職手当も勤務の対価であるから枚方市には損害はないと主張したことに対して,判決は「当該非常勤職員の勤務に対する対価は、月額報酬等として支給される普通報酬(本給)によって評価し尽されているというべきであり、退職時等特別報酬も定期特別報酬も、職員の勤務に対する対価であるとみることはできない。」とした。更には枚方市が非常勤職員に対し、支給相当額の不当利得返還請求をすることは権利の濫用あるいは信義則に反するということはできないとして、枚方市長に対し「非常勤職員」への不当利得返還請求をするよう命じた。

この判決を受け、枚方市共闘労組は11月4日に報告集会を開き、本判決の内容を確認した。集会では、北本弁護士が「376人に対する全額返還は前代未聞であり、労働者の権利を否定し,自治体行政の矛盾を全て労働者に皺寄せし、犠牲にする法解釈は問題である」と指摘した。

枚方市長は、判決を不服として11月12日に控訴し、これを受けて市共闘労組は控訴審における補助参加を決めた。自治労本部は、引き続き大阪府本部および枚方市共闘労組と一体となって、控訴審での闘いを支援することとする。

判決概要をダウンロード

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2009年01月06日 10:32に投稿されたエントリーのページです。

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