第7回研究会は、12月11日(木)10:10〜12:00、総務省8階会議室で行われた。今回は「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」(素案)を全体を通じて議論された。なお、同報告書(素案)は議論途中のものであるから、非公開の扱いとされた。
自治労委員から主張した主な点は、次の通りである。
1.総務省が調査した臨時・非常勤職員の報酬額の実態水準を、国の非常勤職員の「高卒初任給」の額(時給780円)と単純に比較して「均 衡を逸した低いものとは言えない」と結論するのは客観的な比較になっていないので適切でない。国の非常勤職員の場合は、「職務内容」の他に、「在勤する地域」、「職務経験等」の要素を考慮して支給することとなっており、職務経験「等」の等は「学歴・資格」を指している。また、6ヶ月以上勤務の非常勤職員には期末手当を支給できることになっている。この比較の例示は削除するか、誤解ないように修文すべきである。
2.人事院指針について、「直接、地方公共団体にあてはまるものとはいえない」としているが、このように結論づけるのは、拙速ではないか。指針は、「参考」にできるところがあると考える。本研究会でも、よく議論すべき課題と考えるので、このような断定的な言い回しはすべきでない。
3.非常勤職員の任期を「原則1年以内」とすることについては、①非常勤職員の任期について法律上の規定がないこと、②任期はその職の 性格や期間によって異なるため、任用期間のルールは自治体が判断すべき事項であること、③職が存続する期間と予算サイクルは一致しないことなどのため、これをここで確認すべきではない。
4.使用者側の裁判対策のための報告書であると受け止められるような文章は、改めるべきである。
5.任期付短時間勤務職員の給与について、2004年通知の繰り返しを述べているだけである。任期付短時間勤務制度の積極活用を提言しようとしている研究会の立場からすれば、給与についても新たな制度拡充を何か述べるべきである。
例えば、3年から5年の範囲で任期の弾力化を今後はかっていくとすれば、4年、5年の例も増加することが想定できる。そうしたとき、能力の伸長や経験の蓄積等の要素も考慮する必要性も高まることから、常勤職員と同様に「昇給」のような制度も「可」とすることも、今後の検討課題とすべきではないか。
また、他の委員からは、主に次の点が意見として述べられた。
1.現在、深刻な経済情勢、雇用情勢にあり、非正規社員の雇用の打ち切りが拡大している。この研究会報告書が、各自治体に雇い止めを進めているということのないよう、文章表現を見直し、補強すべきである。
2.非常勤職員の任期については、安易に延ばすより、「原則」を示すべき。
3.当方の自治体では、非常勤職員の任期は、「原則1年」としており、後に続く記載は、再度の任用を妨げない記載になっているので、支障はない。
4.長期に任用されている臨時・非常勤職員については、中途採用で常勤職員にしていくという考え方もあるのではないか。
5.勤務条件は国との権衡と述べているが、給与は国との均衡なのか、自治体の常勤職員との均衡なのか、この素案は明確でなく、自治体側もよく理解できていないのではないか。
6.民間では、短時間勤務者は、当該企業の正社員との比較で待遇を考える。
7.臨時・非常勤職員の再度の任用の手続きにおいては、更新基準について、民間の有期雇用の例を参考に、詳細に書いておくべきではないか。
8.特別職非常勤職員(地公法3条3項3号)、一般職非常勤職員(地公法17条)、臨時的任用職員(地公法22条)のそれぞれに適する職種や業務などの例示をすべきではないか。
9.専門性が高い業務を担う特別職非常勤職員(地公法3条3項3号)と、任期付短時間勤務職員の職種、業務による仕分けについても考え方を示すべきではないか。
10.任期付短時間勤務職員制度について、人事管理上の観点からの記載はあるが、雇用される側からのメリットなどを記載すべきではないか。
11.任期付短時間勤務職員制度の再度の任用の手続きの記載で、「改めて公募に応募し、競争試験又は選考による能力の実証を経た上で」 とあるが、「改めて公募に応募し」という記載は再検討できないか。
最後に、座長からは、「次回は12月22日に開催し、最終回である。事務局から「報告書(案)」を出してもらい、議論していただく」として、議事を終了した。
下記HPには第7回研究会配布資料は、現在のところ掲載されていません。
近日中に掲載される見込みです。
研究会・総務省ホームページ資料: http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/tanjikan_kinmu/index.html