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【本部情報】地公部会が地方財政確立等で総務省・財務省に要請

公務員連絡会地公部会は12月5日、地方財政確立等に関する総務省、財務省への要請を実施した。総務省要請には地公部会書記長クラス、財務省には幹事クラスが参加した。両省へは、①地域公共サービスの実態に見合った財源保障、②地方税財源確保のための制度改革など地方自治の確立、③自治体の自主的・主体的な財政健全化の支援、④地方公務員の総人件費の十分な確保の実現を申し入れた(別紙1,2参照)。
 
要請の概要については以下の通り。

<総務省要請の経過>
総務省への要請は13時30分から実施された。総務省からは久保自治財政局長が対応し、地公部会からは企画調整委員クラスの金田自治労書記長、岡本日教組書記長、岸川自治労連書記長、大出高教組書記長、藤川地公部会事務局長が出席した。
 
冒頭、金田企画調整委員代表から「三位一体改革以降の地方財政の大幅な圧縮に加えて、昨今の景気後退による地方税等の減収見込みなどにより、地方財政は一層危機的な状況にある。一方、医療・福祉・介護、教育、環境など地域公共サービスの質は確保されなければならない。危機的な地方財政の現状をふまえて、地方自治体の一般財源の確保、国と地方の税財源の見直しと政府予算編成を要請したい」と述べた後、別紙の5つの項目について要請した。
 
これに対して、久保自治財政局長は、次の通り回答した。
(1) 地方財源不足は、今年度は5.2兆円であったが、来年度は2桁に上る見込みである。この地方財源不足は、法律にもとづき国と地方の「折半ルール」で地方の財源対策債と国の一般会計加算で補填せざるを得ないのではないか。こうした状況下、現在、総務省としては、地方歳出を改めて適切に見積もり、必要な行政需要は基準財政需要総額にきちんと算入することによって、この間圧縮してきた地方財政計画額の増額をすべきではないか、と考えているところである。ただし、どこまで実現できるかどうかは分からない。皆さんの知恵と応援も是非いただきたい。

(2) 地方分権改革の要請は、その通りである。道路特定財源の一般財源化については、地方道路整備臨時交付金約7,000億円に、どこからか3,000億円をプラスして道路を中心に関連インフラ整備に使途する1兆円の交付金とする、他に地方交付税は予算編成過程で増やしていくとの内容で、週明けの政府・与党協議にかけられる予定となっている。一般財源化とは、税と地方交付税にすることである。自治体にとっては、使途が制限される特定財源や交付金よりも、一般財源の方が使い勝手がよいはずである。また、地方交付税は、地域間の格差是正をはかるためにも有効である。しかしながら、道路特定財源は、暫定税率を維持することにしているため、ユーザー・税負担者からすれば道路以外の需要に使途するのであれば、暫定税率を引き下げるべきとの主張があるため、一般財源化することに困難な面があることも事実である。

(3) 財政健全化比率以上の自治体に対して、財政措置の支援策を、とのことについては、健全化の努力をしない自治体に支援をし、健全化の努力をしている自治体に支援をしないということにもなり、なかなか難しい問題がある。ただし、健全な財政運営をしているにもかかわらず、特別会計との関係でどうしても支援しなくてはならないケースもあり、例えば病院を抱えているようなケースについては、支援策を講じようとしているところである。どういうケースがあるか、知恵をいただき、研究してまいりたい。
 
最後に、金田企画調整委員代表より、「自治体では賃金カットも横行している。人件費の適正な水準も確保されるよう、財源確保に努力していただきたい。本日は、地方財政について総務省とわれわれが、ほぼ同じ認識であることが了解できた。お互いに最大限の努力をしていきたい」と述べ、要請を終えた。

<財務省要請の経過>
財務省への要請は、江﨑地公部会事務局次長をはじめ幹事クラスが出席し、13時から実施された。財務省側は、主計局の藤井主計官(総務・地方財政担当)が対応した。
 
冒頭、江﨑事務局次長が申入書を手渡し、「地方にとって厳しい状況が続き、大変疲弊しているなか、来年はさらにその厳しさが増すことが確実となっている。地域医療の確保をはじめとして自治体では必要なサービスを提供するための財源の確保が最大の課題である」として、要請の趣旨を説明した。
 
財務省からは、以下の回答があった。
(1) 夏以降、アメリカ発の金融危機によって経済情勢は悪化し、大幅な税収減に直面している。必要な行政を行うために、国・地方ともにどうやって財源を確保するのかは確かに大きな課題である。麻生内閣は、当面の景気対策と、持続可能な経済政策のための中期プログラムの策定とを行うとしているが、当面の対策に向けた予算編成については、これから総務省との議論になる。

(2) 三位一体改革で削減された地方交付税の復元を、地方団体をはじめ各方面から求められるが、2003年以降、税源移譲とは別に地方税が5.3兆円増収してきた。メカニズムとして、地方税収が増えれば交付税は減る。確かに小泉内閣からの行財政改革によって地方財政計画は抑制されてきたが、マクロの地方財政としては地方税でカバーされているものである。一般財源水準および一般財源比率としては、2008年はここ10年間でもっとも良好な状態にある。個別自治体の財政状況は、総務省の管轄である。

(3) 道路特定財源については、本日与党内で、道路を中心に関連インフラ・ソフト事業に充てる新たな交付金とすることが合意されている。対象事業は広がった。また、地方の道路整備に充てられていた総額は減少しないようにする、というのが基本の考え方である。

(4) 税源移譲については財政制度等審議会の建議にもあるが、地方税のウエイトを高めると、財源の偏在性が大きくなる。地方税を充実させるのであれば、どう財政格差を埋めるのかの具体的な議論が必要になる。偏在をならすための水平的調整は、例えば法人2税の方式が有効と考えている。

(5) 自治体財政健全化については、財務省として答えるものはない。

これらの回答に対し、地公部会は以下のとおり財務省を質した。
(1) 99年以降、地方財政計画の人件費は減少を続け、その減少額は1兆4千億にのぼる。地方公務員にとっては、どこまで厳しくなるのかとの大きな不安と不満がある。
(2) 良質でいいサービスの提供とそのための人材の確保のための視点を持って人件費を考えてもらいたい。
 
これに対し、財務省は、以下のとおり回答した。
(1) 財政制度等審議会での議論については、ここ何年も公務員の人件費がメインテーマとなってきた。6年間の行革努力は評価できるものと考えるが、地方公務員と国家公務員との比較だけではなく、地域民間との比較が必要である。これは人事院への問題提起でもある。
(2) 地方の思いについては理解できる。これから総務省とよく協議していきたい。

最後に、「公共サービスの提供にはなによりもマンパワーが必要だ。地方財政担当として、地域の公共サービスを守る立場で奮闘してほしい」と重ねて要請し、終了した。

(別紙1) 総務省への申入書
                                  2008年12月5日
総務大臣
 鳩 山 邦 夫 様

                            公務員連絡会地方公務員部会
                                   議 長  佐 藤 幸 雄

               地方財政確立等に関する申入れ

貴職の地方自治確立、地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
地方財政は、国主導による景気対策に起因する地方債の増加や、三位一体改革以降の財政圧縮などによる5.1兆円の地方交付税削減により極めて厳しい状況となっています。さらに、金融危機に端を発した急速な景気後退は大幅な税収減につながり、地方法人税等の地方収入も大幅な減少となる見込みです。このままでは、来年度の予算編成ができない自治体も現出しかねないほどの地方財政危機となるのは明らかです。

一方、年金・医療制度の劣化や景気後退により国民生活の不安感は増すばかりです。特に、この間追及されている規制緩和・構造改革路線は、医療・福祉・介護、教育、環境など安心・安全の国民生活と直結する地域の公共サービスの質の低下を招いています。

地域の公共サービスを削減する政策からの転換をはかるとともに、危機的な地方財政の現状を踏まえて、地方自治体の一般財源の確保、国と地方の税財源の見直しと政府予算編成が求められます。
 
貴職におかれましては、地方自治と地方分権を推進する立場から、下記事項の実現に向けてご尽力頂きますようお願いします。

                         記

1.地方財政計画の策定については、自治体との協議のもとに、地域の行政需要を的確に反映させ、地域公共サービスの実態に見合った財源保障を行うこと。とくに、三位一体改革で削減された地方交付税の復元をただちに行うこと。

2.抜本的な地方分権改革を早期に実現し、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方自治の確立を図ること。とくに道路特定財源の一般財源化については、地方へ財源の移譲を行うよう制度設計を行うこと。

3.自治体財政健全化法の運用については、国の関与は最小限に止め、自治体の自主的・主体的な財政健全化を基本とすること。また、財政健全化比率以上の自治体に対し、行政水準を維持・確保するための財政措置等の支援策を講じること。

4.地方分権、少子・高齢化、地域医療確保、環境保全などの公共サービス水準を維持・向上させるため、地方公務員の総人件費(定数・給与)の十分な確保を行うこと。


(別紙2) 財務省への申入書

                                  2008年12月5日
財務大臣
 中 川 昭 一 様

                           公務員連絡会地方公務員部会
                                 議 長  佐 藤 幸 雄


                地方財政確立等に関する申入れ

貴職の地方自治確立、地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
地方財政は、国主導による景気対策に起因する地方債の増加や、三位一体改革以降の財政圧縮などによる5.1兆円の地方交付税削減により極めて厳しい状況となっています。さらに、金融危機に端を発した急速な景気後退は大幅な税収減につながり、地方法人税等の地方収入も大幅な減少となる見込みです。このままでは、来年度の予算編成ができない自治体も現出しかねないほどの地方財政危機となるのは明らかです。
 
一方、年金・医療制度の劣化や景気後退により国民生活の不安感は増すばかりです。特に、この間の規制緩和・構造改革路線は、医療・福祉・介護、教育、環境など安心・安全の国民生活と直結する地域の公共サービスの質の低下を招いています。
 
地域の公共サービスを削減する政策からの転換をはかるとともに、危機的な地方財政の現状を踏まえて、2009年度政府予算案編成においては、地方自治体の一般財源の確保、国と地方の税財源の見直しが必要です。
 
貴職におかれましては、地方自治と地方分権を推進する立場から、下記事項の実現に向けてご尽力頂きますようお願いします。

                         記

1.各地方自治体において、少子・高齢化、地域医療確保、環境保全など地域公共サービスの維持・改善が可能となる財源が確保できるよう、地方税と地方交付税を合わせた一般財源の総額を確保すること。 
とくに、三位一体改革で削減された地方交付税の復元をただちに行うこと。

2.抜本的な地方分権改革を早期に実現し、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方自治の確立を図ること。とくに道路特定財源の一般財源化については、地方へ財源の移譲を行うよう制度設計を行うこと。

3.自治体財政健全化法の運用については、行政水準を維持・確保するための財政措置等の支援策を講じること。

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2008年12月06日 18:09に投稿されたエントリーのページです。

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