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【本部情報】第61回社会保障審議会介護給付費分科会報告

2009年度介護報酬改定に関する審議報告(たたき台)が示される
〔連合政策ニュースレター第1077号〕

厚生労働省は12月3日、都内で社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、『平成21年度介護報酬改定に関する審議報告(たたき台)』を示した。連合からは、小島総合政策局長が委員として出席した。

今回はたたき台の他、サービス提供責任者の報酬上の評価及び人員配置基準の見直しについて、厚生労働省より見直しの方向性が示された。見直しの主な方向性については下記のとおり。

【サービス提供責任者の報酬上の評価】
○手間のかかる初回及び緊急時における対応の評価する
○特定事業所加算の人材要件について見直し、加算を取得しやすくする

【サービス提供責任者の人員配置基準】
○現行のサービス提供時間(450時間)又は訪問介護員等の員数(10人)に応じたサービス提供責任者の規制は維持
○常勤は基本としつつ、サービス提供責任者を複数配置する事業所において、非常勤の者については常勤換算した数が常勤者数を超えない

連合の小島委員は、2009年度の介護報酬改定率が3%と決定されたことについて、「介護従事者の処遇を底上げするという意味で、3%の改定率で決定してしまうことに対しては疑問がある」と述べた上で、介護従事者の処遇改善、サービス提供責任者の報酬上の評価及び人員配置基準の見直し、たたき台について以下の発言を行った。

・処遇に関する情報の公表については、「国や事業者団体が一定のガイドラインを作成する」ことは必要。たたき台の文言から外すべきではない。
・介護従事者の勤続年数を評価の対象については、指標としては経験年数の方がよいと思うが、介護従事者の定着、雇用管理の改善という意味からも、勤続年数を評価の対象とするのは、適切な指標がない段階ではやむを得ない。
・サービス提供責任者の役割は重要であり、常勤が原則である。初回、緊急時に評価するということだが、非常勤のサービス提供責任者で緊急時に対応できるのか懸念がある。
・ サービス提供責任者を一部常勤換算することによって、経営の弾力化を図るということだが、常勤専従を配置することができず、サービスを提供できない事業所がどれ程あるのかを示すデータはあるのか。検証する必要があるのではないのか。

検証の必要性について、厚生労働省は「常勤専従のサービス提供責任者を確保できないために、どの程度サービスが抑制されているのかを示すデータはない。早急に調査を行いたい」と回答した。
 
最後に、今後の報酬改定の流れについて、大森分科会長は「改定率はプラス3%で決定しており、来年は要介護認定一次判定の見直しと変更もある。市町村の事務を考えると、年内に報酬改定について諮問・答申を済ませる方向で努力したい」と述べ、12月末までに報酬改定の議論を終えることを示唆した。
 
次回の社会保障審議会介護給付費分科会は、引き続き『平成21年度介護報酬改定に関する審議報告(たたき台)』について、12月12日に議論される予定。

その他、委員から出された主な意見(要旨)は次のとおり。

○介護報酬の改定率について唐突感があり、分科会として遺憾の意を表するべき。
○認知症については、軽度だからといって負担が軽くなることはない。
○「常勤者」の中には正社員ではない人もいる。「正規職員の割合」にすべきではないか。
○処遇に関する情報の公表について、ガイドラインの作成は自主的な取り組みを阻害するので、審議報告の文言から省いてほしい。
○常勤と勤続年数は質とは関係ない。適切な指標がないということであれば、今回は評価の要件としては有資格のみにすべき。
○大規模減算について、ケアマネージャーの40件を超える件数については逓減制とする方向で検討されていることとの整合性はどう取るのか。
○夜間対応型訪問介護事業所のオペレーター資格要件の緩和について、准看護師が入っていないのはなぜか。
○専門性やキャリアアップについては全体に共通することであり、サービスごとに異なるわけではない。
○介護職のキャリアアップや研修体制の構築については、国として行うべき
○人件費割合を見直すことには賛成だが、地域区分の見直しについても行うべきではないか
○介護療養型老人保健施設について、医療機関から入所した人が家庭から入所した人より全て重いというわけではない
○昨今の雇用環境を見れば、3%の改定率は評価してよいのではないか
○サービス提供責任者のように中核的スタッフとして位置付けられてきたものを安易に緩和するのはどうか
○サービス提供責任者の安易な非常勤化は許されない。「常勤換算した数が常勤者数を超えない」という基準では、常勤者が半分を超えればあとは常勤換算でよいということ。緩和するとしても、せいぜい4分の1、または2割であり、75%から80%は常勤とするべき。
○訪問介護の特定事業所加算の見直しにより、どれ程取得が見込まれるのか。
○介護従事者は希望する就業形態も多様化しており、ワーク・ライフ・バランスの点からも、質を担保しつつ能力の高い非常勤を活用することを考えるべき。
○地域包括支援センターの本体業務については、交付金の支給をしっかり行うべき。
○介護老人保健施設の支援相談員については、配置基準を緩和するより、多く配置しているところを評価すべき。
○人件費の見直しについては、3%のうちのどの程度が必要になるのか。
○認知症についてはエビデンスのない論理が横行している。認知症についての研究を早急に行うべき。
                                     以 上
介護人材の確保・介護従事者の処遇改善(案)
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サービス提供責任者の報酬上の評価及び人員配置基準の見直し
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平成21年度介護報酬改定に関する審議報告(たたき台)
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2008年12月05日 12:01に投稿されたエントリーのページです。

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