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【本部情報】臨時・非常勤等職員の均等待遇と安定雇用を求める総務省要請報告

臨時・非常勤等職員の均等待遇と安定雇用を求める決起集会については、すでに道本部ホームページと、機関紙「自治労北海道」には記事として掲載済みですが、自治労本部から総務省への要請内容についての詳細が届きましたので掲載します。

臨時・非常勤等職員の均等待遇と安定雇用を求める決起集会と前段の総務省要請報告

11月12日東京で「臨時・非常勤等職員の均等待遇と安定雇用を求める決起集会」を開催しました。、当日の参加は、39県本部147人でした。それに先立つ11日に、臨時・非常勤等職員全国協議会として、総務省要請を実施しましたので、その内容について〈別記〉でお知らせいたします。要請書については〈別紙〉ご参照ください。

〈別記〉

11月12日の「臨時・非常勤等職員の均等待遇と安定雇用を求める決起集会」に先立ち、11月11日16時より、臨時・非常勤等職員全国協議会として自治体の臨時・非常勤等職員の安定雇用と労働条件に関する要請書を提出し、総務省交渉を実施した。

自治労からは、松本労働局次長、合田組織局次長をはじめ、臨時・非常勤等職員全国協議会の全国幹事が出席、また総務省からは植村公務員課理事官、島田給与能率推進室課長補佐、田村公務員課課長補佐らが対応した。

冒頭、金森議長が要請書を手渡し、要請の主旨について説明を行い、改善の方向について前向きな回答を求めた。

これに対して植村理事官が、重点項目とした要請書の1、3、4について次のとおり回答した。
① 短時間勤務職員については、1999(平成11年)年4月27日の地方公務員制度調査研究会報告で、各種検討の必要性が述べられた。その後、各般の状況を踏まえながら、検討が進められた結果、2003(平成15)年年12月25日の地方公務員制度調査研究会報告で、任期付短時間勤務職員制度について、制度の創設について盛り込まれ、それを受けて、任期付短時間勤務職員制度を制度化したところである。しかし、任期の定めのない短時間勤務制度については、国家公務員制度における検討の動向なども注視しつつ、慎重に検討すべきであるとされた研究会の報告と検討過程をふまえ、ハードルが高いというのが現状である。任期付短時間勤務職員制度も、地方公務員制度としては初めて国にない任用制度を導入したもので、その導入自体いろいろな困難と思われた点をクリアして制度化したことは理解していただきたい。なお、任期付短時間勤務職員制度については、制度導入から4年が経過したものの、その活用も限定的であることから、更なる活用を図るために、地方公務員の短時間勤務の在り方等について検討するため、自治労本部からも労働局長に委員として参画いただき、7月に研究会を立ち上げたところである。今年中には議論を整理していただき、地方公共団体における質の高い効率的な行政サービスの実現に資するよう制度・運用の在り方を検討していきたいと考えている。

② 人事院が各府省に通知した指針は、国における事務補助職員等の非常勤職員の給与について、府省や官署によって均衡がとれていない状況を改善するために、一般職の職員の給与に関する法律第22条に基づき各庁の長が非常勤職員の給与を決定する際に考慮すべき事項を統一的に示そうとするものと承知している。地方における非常勤職員は、その勤務形態や職務内容が多様であるとともに、任用に係る法体系も国と異なるものである。これらのことからすれば、今回の指針は地方公共団体に直接あてはまるものではないと認識している。

③ 2007(平成19)年11月に東京高裁において言い渡された中野区非常勤保育士の地位確認等請求訴訟の判決においては、地位確認と賃金支払請求は棄却され、損害賠償の一部が認容されたものと承知している。しかし、同様の裁判における最高裁の判例においては、期限付きで任用されている非常勤職員は、任用期間終了をもって職員としての身分を失うことと解されており、期限付きの任用を反復して更新されても、期限の定めのない任用に転化することはないとされている。本判決においても、こうしたこれまでの最高裁の判例の考え方に沿って判断がなされたものと考えている。法の整備を求めた部分も主要な論点ではなく傍論部分であると理解している。いずれにしても、本判決においては、任期の終了後、再度任用されることを期待させるような特別の事情があったと判断され、損害賠償が認められたものであり、各地方公共団体においては、本来、臨時的・補助的な業務に従事することが想定されている臨時・非常勤職員の制度に沿った適切な運用を行っていただく必要があると考えている。

この回答を受けて、合田組織局次長、金森臨時・非常勤等職員全国協議会議長はじめ全国幹事が、大きな割合で自治体の業務を担っている臨時・非常勤等職員のおかれた実態と、その任用制度にずれがあると指摘して、以下のとおり総務省の見解を質した。

① 今ある任期付短時間勤務職員の制度に制約があって導入が進まない。特に任期の壁は大きい。任期付短時間勤務職員で再任に厳格な試験や選考が必要となると、ハードルが高い。仕事に対する安定感もなく、それでは生活の安定がない。

② 自治労の調査でも、働いて食べていけるといわれる年収200万円を超えない臨時・非常勤等職員が40万人いるのではないかと推計されている。人事院が示した指針については、自治体で働く臨時・非常勤等職員の唯一つ適正賃金の水準を示すものである。自治体に対して、十分な活用を働きかけていただきたい。
 
また、臨時・非常勤等職員の一時金や退職金支給をめぐり支出が適正かを問う住民訴訟の判決が相次いでいる。それらの判決の中では、給与条例主義にもとづき、明確な条例化を前提に、実態として常勤的に働いている臨時・非常勤等職員に一時金や退職金を支給することを認めている。また指針でも一時金の支給を求めており、自治体で働く臨時・非常勤等職員にとって一時金や退職金の実現に、地方自治法203条が壁になっている。地方自治法203条、204条を改正するか、自治体に条例準則を示すことが必要ではないか。

③ 雇用の安定は重要で、毎年3月に任用期間終了を前に不安を感じている。

これに対して植村理事官は、以下のとおり回答した。
① 臨時・非常勤職員の任期は1年単位であり、任期付短時間勤務職員の任期は制度上3年ないし5年とされている。任期付短時間勤務職員の再任用については、公務内でも公務外でも職を希望されている方が同じ能力であれば等しい条件の中で選考や試験を経て選ばれることが必要である。客観性を担保した上で、選考基準で実務経験をより重視するような工夫ができないことはないと考えるが、客観性の担保とのバランスが重要である。

② 地方自治法上、非常勤職員には、給料及び手当ではなく報酬を支給することとされている。これは、非常勤職員に対する給付が、役務の提供に対する対価であることに基づいているものであり、常時勤務を要する職員に対して給付される生活給や長期にわたる職務の従事における昇任等を前提とした給料及び手当の制度が適用される余地はないことから、特に制度改正は必要とは考えていない。
なお、任期付短時間勤務職員については、勤務の形態は非常勤的ではあるが、常勤職員並みの本格的な職務に従事するというその性質に鑑み、給料及び手当の支給が可能である。

合田組織局次長が、「自治体には責任をもつべき仕事があり、多くの臨時・非常勤等職員がその最前線で、質の高い公共サービスを維持するための人材として働いている。そのことを踏まえて、人材確保や生活の安定という観点から制度改善を求めたい」とまとめの発言。
さらに、松本労働局次長から、「格差の問題や非正規労働の問題に社会的関心が高まり連合も重点的なとりくみとしている。公共サービスの中にもそうした労働者がたくさんいることを受け止め、総務省には努力を要請したい」と発言した。

それに対して植村理事官は、「課題があることは認識している。臨時・非常勤職員の課題については様々なところからご意見を聞いている。自治労の立場から見て納得いただける結果が出せるかどうかはわからないが、課題の解決に向けて努力をしていきたい。」と答えて交渉は終了した。

                                          以 上

〈別紙〉
                                  2008年11月11日

総務大臣
 鳩山 邦夫 様

                         全日本自治団体労働組合(自治労)
                           中央執行委員長  岡部 謙治
                      自治労臨時・非常勤等職員全国協議会
                             議     長  金森 多恵
    
 自治体の臨時・非常勤等職員の安定雇用と労働条件に関する要請書

 貴職の地方自治確立と地方公務員の労働条件改善に向けた努力に敬意を表します。
 今日、自治体に働く臨時・非常勤等職員は50万人を超え、多くは自治体の最前線にあって地域における公共サービスを担っています。その業務は「基幹的・恒常的」であり、今や臨時・非常勤等職員の存在なくして公共サービスが提供できない実態にあります。
 しかし、臨時・非常勤等職員の賃金・労働条件は、常勤職員との間に大きな格差が存在しています。さらに、雇い止めの不安は常につきまといます。
 現行の臨時・非常勤等職員については、法が想定していた状況とはあまりにも乖離があり、実態を踏まえた法的整備の必要性が強く望まれるところです。1999年の地方公務員制度調査研究会でも制度改善の検討が提言された経緯を受け止め、実態にあわせた法整備を求めるとともに、均等待遇の実現を図るよう、下記のとおり要請します。

                       記

1. 地方公務員制度調査研究会報告において中長期的課題とされた「任期の定めのない短時間公務員制度」について、自治体における実態を踏まえ、早急に検討すること。

2. 格差是正の観点から、常勤職員との均等待遇原則にもとづき、臨時・非常勤等職員の職務の種類、経験・習熟度合いによる賃金・労働条件となるよう必要な措置を講じ、年齢別最低賃金制度の確立を図ること。

3. 人事院が非常勤職員に係る給与の適正な支給を求める指針(給実甲第1064号「一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の非常勤職員に対する給与について」)を本年8月26日各府省に通知したことをふまえ、自治体においても同指針の内容を最低として臨時・非常勤等職員の給与等の改善がはかられるよう、所要の措置を行うこと。

4. 中野区非常勤保育士再任用拒否事件の地位確認請求訴訟(東京高裁―平成18年(ネ)3454号)の高等裁判所判決が、反復任用された非常勤職員に対する実質面に即応した法の整備を求めたことを受け止め、雇い止めなど民間パート労働者に比して著しく労働者に不利益な現状を是正するため、自治体が任用する臨時・非常勤等職員に対し、労働者保護を目的とした法制度の整備を図ること。

5. 臨時・非常勤等職員を共済組合制度の適用とすること。また、臨時・非常勤等職員への社会保険制度の適用を徹底するよう、自治体への働きかけを行うこと。

6. 労働時間に比例した年次有給休暇の付与や不払い残業の一掃など臨時・非常勤等職員の労働条件の改善を自治体に働きかけるとともに、「偽装請負」など法令違反の動きに対し、適切な助言を行うこと。

7. 通勤費の性格は費用弁償であることから、上限なしに支給できる旨を再度各自治体に対し通知すること。

8. 仕事と家庭の両立支援策拡充の観点から、臨時・非常勤等職員についても育児休業と介護休暇を取得できるよう、地方公務員の育児休業等に関する法律の改正を行うこと。

                                        以 上 

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2008年12月03日 19:10に投稿されたエントリーのページです。

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