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【本部情報】第60回社会保障審議会介護給付費分科会

介護従事者の処遇改善を図るための報酬上の評価について議論される

連合政策ニュースレター第1075号で標記の内容で報告がありましたので通知します。

厚生労働省は11月28日、都内で社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、前回に引き続き施設系サービスおよび認知症関連サービス、介護従事者の処遇改善を図るための報酬上の評価について議論を行った。連合からは、小島総合政策局長が委員として出席した。

今回示されたのは、認知症対応型共同生活介護、認知症対応型通所介護、認知症短期集中リハビリテーション等、介護療養型老人保健施設(転換型老健)、介護従事者の処遇改善に関する論点。主な論点は下記のとおり。

【認知症対応型共同生活介護】
○認知症ケアの質の向上を図ることの評価の検討
○看取り対応の評価についての検討
○退去後のサービスの利用に関する相談支援を行う場合への評価の検討

【認知症短期集中リハビリテーション】
○中等度〜重度の認知症である者へのリハビリテーションの対象者拡大
○老健以外への実施施設の拡大の検討

【介護療養型老人保健施設】
○医薬品費・医療材料費等の実態をふまえた評価の見直し
○医師の提供するサービスについて実態をふまえた評価の見直し
○入所者の入所前の所在別の割合の差を用いた施設要件について特例を設けることの検討

【介護従事者の処遇改善】
○専門性を有する介護従事者を多く雇用する事業者に対する報酬上の評価
○一定以上の勤続年数を有した者の割合に着目した評価の検討
○常勤職員の割合に着目した評価の検討

【介護従事者の給与水準等の処遇に関する情報の公表】
○給与情報の公表については事業者による自主的な公表、情報公表の一定の義務化の選択肢が考えられる
○処遇改善の方法としては、給与以外に有給休暇等の労働条件、教育訓練等も想定されることについて、これらの情報も含める必要があるのではないか

会議の冒頭、厚生労働省より第4期計画期間における第1号被保険者の介護保険料基準額の推計値について、説明があった。現在の第3期(2006年〜2008年)では、加重平均で月額4,090円の介護保険料となっているが、第4期(2009年〜2011年)では暫定値で約4,270円となり、180円程度増加する見込み。
 
保険料の徴収方法について、石川委員(東京都稲城市長)は「徴収方法の変更について、現在の方法は市町村と合意の上で決められたもの。市町村の意見を無視して口座振替との選択制を導入することは許されない」と発言し、保険料の支払い方法に選択制を導入することに反対の意見を表明した。
 
厚生労働省は、「長寿医療制度では選択制が可能である一方、介護保険では利用できないのは被保険者から見てどうか」と述べた上で、混乱が起きないよう検討したいと回答した。
 
その後行われた報酬改定の議論において、連合の小島委員は介護従事者の処遇改善を図るための評価について、以下の発言を行った。
・ 介護事業所の介護サービスの「質の高さ」を図る指標としては、介護従事者の「資格」や「一定以上の勤続年数を有した者の割合」に着目して評価する方向でよいのではないか。
・ 介護従事者が離職する理由の1つに「人間関係」が挙げられる。雇用管理改善のためにも、従事者の定着に着目した「勤続年数」の評価はよいのではないか。
・ 処遇に関する情報の公表については、一定の義務づけが必要ではないか。今回の報酬改定は「介護従事者の処遇改善」のために3%の改定率が決められたのであるから、実際に処遇改善につながったのかどうか、事業所は公表するべき。

情報の公表については他にも、「介護従事者の給与は喫緊の課題。国民の目に見える形で検証できることが必要」(石川委員)とする意見がある一方、「公表を義務づけるのは非現実的であり実効的ではない。反対である」(堀田委員・東京大学社会科学研究所特任准教授)とする意見もあった。
次回の社会保障審議会介護給付費分科会は12月3日の予定。

その他委員から出された主な意見(要旨)は次のとおり。
【認知症対応型共同生活介護】
○夜間対応について2ユニットで1人は大変。1ユニットで1人にするべき。
○職員の給与が他と比べて低いのはなぜか。
○入所者の要介護度が2.6ということだが、軽度要介護者の住居になっているのではないか。
○入院時・外泊時の報酬算定が認められておらず、入院で不在にするとその間算定できないことが経営を圧迫しているのではないか。
○職員の配置について、専門職を配置することは考えていないのか。
○要介護度が軽度の報酬が高く設定されている。重度へのインセンティブが働かない。

【若年性認知症対策】
○市町村の介護保険事業計画では若年性認知症への視点が欠落している。
○加算の結果、利用者負担が上がっており、限度額の関係から利用抑制も起こっている。

【介護療養型老人保健施設】
○従来型老健にほんの少し足された程度の報酬ではやっていけない。
○転換前と転換後で入所者像が変化していないが、これは転換型老健でも医師が必要ということ。

【介護従事者の処遇改善を図るための報酬上の評価】
○勤続年数を評価するということだが、新設された事業所に不利になるのではないか。
○3%の報酬改定で2万円の給料アップというような期待がある。厚生労働省として早くスタンスを示し、対応すべき。
○処遇改善の中には給与以外の工夫も考えられる。改善の多様性をふまえた評価を行うべきではないか。
○介護の「質の高さ」をはかる指標については研究する必要がある。
○勤続年数は指標が開発されるまでの暫定的なものとすべき。
○常勤割合は介護の質とは関係ない。
○専門性を有する従事者を抱える事業所を評価することは、評価要件としてよいのではないか。
○「質の高さ」については、個人のレベルと事業者のレベルは分けて考えるべきではないか。
○質の高さ=資格ということになっているが、資格を設けることによって、この分野で働こうとする人への壁を高くしているのではないか。

【介護従事者の給与水準等の処遇に関する情報の公表】
○給与実態の調査が難しい。事業者でも分からない。
○検証は処遇全体として行われるべきで、給与だけを見て行われることのないようにすべき。
○今回の改定が単に事業者を潤すのみであってはならない。報酬の一定割合を人件費として位置付けるべきではないか。
○改定後に事業所、施設の給与が幾らなのか、検証は必ず行うべき。
○まずは自主的にでも公表を促すべき。ガイドラインを策定し、段階的に広げ、将来は一定規模以上の事業所には当然求めるなどしてはどうか。

【介護サービス事業者の事業運営の効率化】
○サービス提供責任者について、厚生労働省としてどう考えているのか、具体的に示すべき。
○常勤スタッフを軸にすべき。安易な緩和はすべきではない。
○事務負担はもっと軽減すべき。
○サービス提供責任者の評価が先にあってもよいのではないか。
 
                                       以上

第4期計画期間における65才以上の者の介護保険料基準額の推計値について
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2008年12月02日 17:10に投稿されたエントリーのページです。

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