第8回研究会は、12月22日(月)14:30〜16:30、総務省8階会議室で行われた。今回は研究会としては最終回であり、「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」(案)の全体を通じた議論がされた。
今後の対応の方向性について、自治労委員から主張した主な点は、次の通りである。
1. 非常勤職員の任期を「原則1年以内」とすることについては、法律上の規定がない中で、この研究会以外の場で「1年」と示したものはあるのか。その影響を懸念せざるをえない。任期はその職の性格や期間によって異なるため、任用期間のルールは自治体が判断すべき事項であることから、これをここで記述すべきではない。
2. 任期付短時間勤務職員の再度の任用について、「改めて公募等により、競争試験又は選考による能力の実証を経た上で」としているが、必ずしも公募による必然性はなく、3年間の職務実績と能力の実証をもとに、本人の希望で再度任用すべきではないか。
3. 任期付短時間勤務職員の給与について、2004年通知の繰り返しを述べているだけである。任期付短時間勤務制度の積極活用を提言しようとしている研究会の立場、および、3年から5年の範囲で任期の弾力化を今後はかっていくとすれば、能力の伸長や経験の蓄積等の要素も考慮する必要性も高まる。次のステップを見据えて、給与についても新たな制度拡充を述べるべきである。
また、他の委員からは、主に次の点が意見として述べられた。
1. 任期を1年と明記することによって、例え多くの自治体でこれまで1年としてきたとしても、雇い止めなど、想定している以上の影響が懸念されるのではないか。
2. 任期については、非常勤の職というのがどういうものであるのか、また、常勤職員との違いから考える必要もあるのではないか。ただ、労働基準法から見ても、1年と考えることに違和感はない。
3. 臨時・非常勤職員の再度の任用について、解雇権乱用法理が適用されないこととあわせ、「任期の定めのない常勤職員と実質的に異ならない状態と認められるような実態にならないよう」としているが、最近の裁判事例では、むしろ保護されるべき対象との考えも出されている。
4. 任期付短時間勤務職員の再度の任用について、それまでの実績が度外視されていいのか。
5. 再度の任用については、「新たに任用」されるのであるから、実績を考慮する必要性はない。むしろ、試験の内容など現場での運用面で対応できるのではないか。
6. 「一定水準の専門性を担保する資格や実務経験が必要とされる業務」についても任期付短時間勤務職員を任用できるようにするとの考え方が示されているのであるから、給与について、制度設計時の「能力の伸長や経験の蓄積等を考慮する必要性は低い」との考えを示すのはいかがなものか。従来どおりであることに違和感がある。
7. 職務によっては、専門性を考えた場合には能力の伸長を考慮する必要性は確かに低いように思う。
報告書全体について、自治労委員から主張した主な点は、次の通りである。
1. 研究会報告は、私たちの考えとは大きく異なるものとなった。研究会の結論としては受け止めざるをえないが、なぜこれだけ臨時・非常勤等職員が増えてきたのか、公務の実態をまずは直視すべきだ。実態はすでに制度を超えている。
2. 任期付短時間勤務職員制度についても、現行制度の解説に留まってしまっている。これでは、導入のインセンティブは働かない。結果として、この研究会では解決しきれない大きな問題があることは明確である。
また、他の委員からは、主に次の点が意見として述べられた。
1. 現在の雇用情勢から、地方公共団体における臨時・非常勤職員の任用について住民・国民の関心の高まりが予想されることが記述されているが、公務においても、きちんと雇用は守られるべきであることの意図を明確にしてもらいたい。
2. 民間では、パート労働法はじめ、いくつか労働者保護法制ができてきている。しかし、「民間と公務は違う」というだけで、任用される側への目配りが足りないものとなってしまった。任期のない短時間公務員への記述もほしいところである。
3. 現行のルールを自治体は守るように、との報告で終わってしまっているのではないか。
4. 実態がさまざまあるのはわかるが、現行法体系のなかでの対応をどのように求めていくのか、というのが研究会の目的であり、また、それが限界でもある。この研究会ではなく、公務員制度全般のあり方として、もっと大きな視点からの検討は別途必要であろう。
最終的に、本日の議論も踏まえ、報告書の文言修正等について座長あずかりとし、研究会を終了した。なお、本報告書については、年明けに公表される見込みとなっている。
研究会・総務省ホームページ資料: http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/tanjikan_kinmu/index.html