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【本部情報】第62回社会保障審議会介護給付費分科会

2009年度の介護報酬改定に関する「審議報告」が取りまとめられる

連合政策ニュースレター第1081号により標記内容の通知がありましたので報告します。

厚生労働省は12月12日、都内において第62回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、「平成21年度介護報酬改定に関する審議報告」を取りまとめた。
 
2009年度改定では、先の10月30日に政府・与党において「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」として、介護報酬改定率がプラス3.0%と決められたこともあり、次回(12月16日)の介護給付費分科会において各サービス毎の介護報酬改定率および単位が示され、即日「2009年度介護報酬改定」が諮問・答申される予定。

今回の給付費分科会では、前回の分科会で厚生労働省より示されたサービス提供責任者の配置基準見直しについて多くの意見が出たため、新たな案(案2)が示され、「審議報告(案)」とともに議論された。

新たに厚生労働省より提案された、サービス提供責任者の人員配置基準については、下記のとおり。
○現行のサービス提供時間(450時間)又は訪問介護員等の員数(10人)に応じた最低基準の考え方は維持

○常勤職員を基本としつつ、非常勤職員の登用を一定程度可能とする

○サービス提供責任者を複数配置する事業所において、原則として1人分のみの常勤換算を可能とする

○5人を超えるサービス提供責任者の配置が必要な事業所についても、その3分の2以上を常勤者とする


連合の小島委員は、サービス提供責任者の人員配置基準について、「原則は全てのサービス提供責任者が常勤専従であるべき」と述べた上で、新たに厚生労働省より示された案(案2)に対して、次のように発言した。
・頑張って常勤を確保してきた事業所の努力を評価するべき。
・一部を常勤換算化するのであれば、全てを常勤で確保している事業所には、例えば特定事業所加算の要件に含めるようなインセンティブを付けるべきではないか。
・常勤換算の部分についても、例えば1人が1時間勤務の8人で8時間というような細切れの配置は問題。常勤のサービス提供責任者の負担も増すことが考えられ、名義貸しの懸念もある。細切れの配置については歯止めをかけるべき。

厚生労働省は、常勤者を配置している事業所を特定事業所加算で評価すること、および細切れの配置について運用で歯止めをかけることについて、「前向きに検討する」と述べた。

サービス提供責任者については、稲葉委員(民間介護事業推進委員会代表委員)から「介護従事者の処遇を改善するためには、事業者の収支を改善する必要がある。そのためにサービス提供責任者の常勤換算の導入を行って欲しい。(案2では)収支改善の費用効果が薄れてしまう。サービス提供責任者はヘルパーとの兼務が認められており、実際ほとんどのサービス提供責任者は兼務しているのであるから、常勤換算化はそれほど大きな問題ではないと考える」との意見が出されたが、案2で見直しが行われることになった。

その他、各個別のサービス等の文言調整については大森分科会長に一任することが各委員によって了承された。

次回の社会保障審議会介護給付費分科会は12月26日(金)に開催され、各サービス毎の介護報酬改定率および単位が示された上で、「2009年度介護報酬改定」について諮問・答申が行われる見込み。

その他、各委員からの主な意見は次のとおり。
○委員からの意見・質問
●厚生労働省の答弁
<情報の公表について>
○「国が支援」という文言は、国による事業者団体への公表の義務付けになることを危惧する。
○処遇改善の検証については、厚生労働省が事後的に検証するもので十分。民間の他産業で、国が公表を支援している例はない。
○給与だけの情報公開になると、他の処遇改善状況が分からない。事業者団体が自主的に行うにしても、賃金情報ではなく、処遇改善情報にすべき。
○処遇等に関する情報」ではなく「処遇改善に向けた取り組みの情報」という文言にしてはどうか。
○介護従事者は賃金が改善されることを期待している。介護従事者に希望が持てる書き方をすべき。

<サービス提供責任者について>
○非常勤を当たり前とする制度設計でよいのか。
○前回案(案1)でやるにはまだ早いという気がする。案2で状況を見るのはどうか。
○情報の共有化が図られれば、常勤、非常勤どちらでもよいと思う。
○案2でやむを得ないと思うが、今後は案1のような方向で引き続き検討してもらいたい。
●常勤を基本としながら、ある程度弾力化する方向で見直しを行いたい。

<介護従事者のキャリアに着目した評価について>
○「勤続年数」を評価するというのは、同一の事業所での勤続年数のことか。
●同じ事業者の中で、A事業所からB事業所に異動した場合などは、「勤続年数」にカウントすることができる。

<夜間対応型訪問介護のオペレーターについて>
○オペレーターは管制官の役割をする重要な仕事であり、資格要件を安易に緩和するのはどうか。
●事業者に対して研修を行いたい。

<小規模多機能について>
○利用者を増やすために、国としてどのような方向に持っていこうと考えているのか。
●制度自体が理解されていない実態があるので、理解促進に努めたい。

<認知症について>
○前回改定で新たに導入されたサービスの検証について、認知症の拘束についての検証はどうなっているのか。

<福祉用具について>
○平成21年度中に早急に見直しを実施して欲しい。

<その他>
○介護保険料の徴収ついて選択制を導入する場合には、市町村と協議をすべき。
○介護報酬改定は安定した保険料の徴収があってこそ。振替にすれば徴収率は必ず下がる。
●福祉・保険行政は市町村行政抜きには考えられないことは承知している。
●市町村が反対するようなことは、厚生労働省として強行することはできない。来年4月から実施することは考えておらず、今後も引き続き市町村会と協議の場を設置して協議したい。

○介護報酬の改定率が上がるのであれば、その分の限度額も上げるべきではないか。
○利用限度額についても上げるべき。利用抑制が起こることを懸念する。
○改定率の上下は、報酬改定のたびに起こること。限度額のこともセットで考えるべきではないか。
●報酬を上げ下げする毎に限度額を上げ下げするのは、利用者にも不便になる。多くの利用者は利用限度額の6割程度。

○2006年度の改定時に導入された予防や、地域包括などの新しいサービスに要した費用がどの程度であったのかも明らかにすべき。
○介護保険制度が複雑になってきている。制度の簡素化も同時に行うべき。
                                           以上

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2008年12月16日 12:44に投稿されたエントリーのページです。

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