-大臣は「労使関係制度検討委員会で議論を急ぐ」などと回答-
公務労協の労働基本確立・公務員制度改革対策本部は、11月25日、内閣人事局の設置に関わって、甘利公務員制度改革担当大臣に別紙の「国家公務員制度改革推進本部顧問会議報告に対する申入れ」を提出し、申入れ内容の実現を迫った。
この申入れは、14日に推進本部顧問会議が労働基本権制約の下で人事院の権限を内閣人事局に移す内容の「報告」を甘利大臣に提出したことを受けて実施したもので、福田本部長以下、構成組織委員長が参加した。
冒頭、福田本部長が、以下の通り述べ、甘利大臣の見解を質した。
(1) 11月14日に開催された第4回顧問会議は、前日の13日のワーキンググループにおける論点整理を踏まえ、これに対する高木顧問・連合会長をはじめとする欠席した委員から出された意見書を含めた報告を大臣に託したものと承知している。
この報告は、とりまとめに至る経過はもとより、とくに内容について、労働基本権が制約される現行制度において、その代償措置を蔑ろにするものであり、極めて問題がある。
(2) 報告を受けた内閣人事局に係る法制上の措置について、大臣は、20日の参議院・内閣委員会において、対応についての考え方を明らかにしているが、今週には行われると言われた総理と相談の上での判断にあたり、
○ 勤務条件に関わる事項の人事院権限については、労使関係制度検討委員会の検討結果を踏まえて措置すること。
○ 公正・中立性を確保する機能については、報告に基づく拙速な対応をはからず、十分かつ具体的さらに専門的な検証と検討を行うこと。
○ 幹部職員の人事制度の検討については、他の職員と一体的に構成されている現行制度を前提とした対応に留意すること。
(3) 以上について、私どもとの交渉・協議、合意に基づき進めることを求め、大臣の見解を伺いたい。
これに対し甘利大臣は、次の通り答えた。
(1) 労使関係制度検討委員会でこの議論を急ぐよう、私が出て行ってお願いしようと思っている。労働基本権の整理ができれば、この問題はすっきりする。
(2) WGの報告について、顧問会議の議論を含めた意見をいただいたが、労働基本権の制約の下で、代償措置の根幹を揺るがさずに何ができるか、人事院が今行っていることを含めて内閣人事局がいろんなことを行うことが可能ではないかということについて報告されたものと思う。内閣人事局は、公務員が全体の奉仕者として、公正・中立に選抜されることが担保される基準を作るし、加えて人事院の事後チェック機能はきちんと持ってもらう。
(3) 自分も労働大臣をやっていたので、皆さんのご懸念はよく分かる。すべては、いまだこれからなので、現行制度の下で何ができるかは人事院と協議してみたいと思っている。生煮えのまま決まることにならないようにしていきたい。
これに対して福田本部長は「この問題には2000年以来の長い経過があり、特に、労働基本権問題については、連合とともに対応してきた4次に及ぶILO勧告がなされている。拙速にならないように進めていただきたい。公務員制度改革は労働基本権の問題だけではないが、しっかりと平仄を合わせてほしい。労使関係制度検討委員会も12月上旬には2回目が開かれることになっている。拙速でなく、しかも十分中身のある議論が必要だ。局面によっては、重大な判断と覚悟を持って臨むことになるという決意を明らかにしておく。大臣には、改めて、私どもの申入れに基づき、誠意ある政治判断をお願いしたい」と、また岡部自治労委員長は「ぜひ生煮えでない結論をお願いしたい。公務員制度改革は、労働基本権に止まらない大きな課題だ。与野党合意で成立した基本法であり、先送りしてはいけない」と、さらに大臣の見解を質した。
これに対し甘利大臣は、「拙速でも先送りでもない内容にしたいと思っている。基本法に工程が示されているのでそれに基づいて進めていく。基本法は国会の意思であり、政府はそれに縛られており、それに従って進めて参りたいので、宜しくお願いする」との考えを示した。
最後に福田本部長が「中身のある公務員制度改革になるよう、大臣の努力をお願いする」と重ねて要請し、申入れ交渉を締めくくった。
以上