政策ニュースレター第1072号
介護3施設についての議論が行われる
厚生労働省は11月21日、都内で社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、施設系サービスに係る2009年度介護報酬改定の議論を行った。連合からは、小島総合政策局長が委員として出席した。
今回示されたのは、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、口腔機能向上加算・栄養改善加算、栄養管理体制加算の論点。主な論点は下記のとおり。
【介護老人福祉施設】
○介護職員の手厚い配置を評価する加算の検討
○施設内における看取りの労力をより適切に評価する方法についての検討
○質の高い介護のための職員の手厚い配置を評価する報酬上の仕組みの検討
【介護老人保健施設】
○リハビリテーションマネジメント加算の本体報酬への包括化
○短期リハビリテーション実施加算の評価見直し
○在宅復帰支援機能加算の算定要件の見直し
○看取りの労力を適切に評価することの検討
○夜勤の職員配置に関して、配置の実態を踏まえた評価の検討
【介護療養型医療施設】
○リハビリテーションマネジメント加算の本体報酬への包括化
○短期集中リハビリテーション実施加算の評価見直し
【口腔機能向上加算・栄養改善加算】
○対象者の基準の明確化の検討
○口腔機能向上加算、栄養改善加算、アクティビティ実施加算の評価のあり方の見直し
【栄養管理体制加算・栄養マネジメント加算】
○栄養管理体制加算の基本サービス費への包括化
○栄養マネジメント加算の評価の見直しの検討
連合の小島委員は、まず「今回の介護報酬改定の目的は人材確保である。介護従事者のキャリアアップの仕組みの構築と、それに対する評価が大事だ」と述べた上で、特養と老健の人員配置基準について以下の発言を行った。
・各施設ともに当初想定された人員配置基準を上回って人を配置している所が多い。これは、そもそもの配置基準自体が実態に見合っていないこともあるのではないか。
・人員配置の見直しは、施設における労働条件の改善や、介護・看護の質の向上が期待される。
・配置基準を見直すとすれば、①一律の基準見直し、②複数の配置基準を設ける、③手厚く配置している施設に加算を行う、という3つの方法が考えられる。
・老健における夜間の看護職員の配置については、入所者の重度化が進んでいることを考慮すれば、老健における看護師の夜間配置の義務づけと、配置している施設を評価する必要があるのではないか。
人員配置基準については、配置基準よりも手厚い看護・介護職員の配置を評価してほしい、体制要件の変更も含めて考えるべきではないか、といった意見が出された。一方で、堀田委員(東京大学社会科学研究所特任准教授)は「職員の配置について、「手厚い配置」があれば質が高いと言えるのか。配置基準とはミニマムを決めること。求めればきりがない」と述べ、配置基準の見直しや評価のあり方について懸念を示した。
次回は介護療養型老人保健施設(転換老健)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等について議論される予定。次回の開催は11月28日の予定。
その他委員から出された主な意見(要旨)は次のとおり。
【介護老人福祉施設】
○人件費率を訪問・通所系並の人件費率60%に統一し、地域区分ごとの割増率を見直すべき。
○介護福祉士を一定割合以上に配置している施設の評価、定着に着目した評価を行うべき。
○人員配置基準を上回る事業所を評価するべき。
○看取り介護加算における、死亡場所による加算額の差を廃止するべき。
○看護・介護職員の配置については、加算により評価するのではなく、体制そのものの基準を検討すべき。
【介護老人保健施設】
○老健で行われているターミナルケアについて、評価の対象としてほしい。
○在宅復帰率については段階的な評価を可能とすべき。
○入所・退所時のケアマネとの連携の仕組みに工夫が必要。
【介護療養型医療施設】
○廃止されて本当に介護難民がでないのか。都道府県だけに計画を任せておいていいのか。
○介護保険によるリハビリと医療保険のリハビリの整合性をとることについては評価する。
【口腔機能向上加算】
○ライセンスを持っている歯科衛生士を活用してはどうか。
○介護保険と医療保険の両方から請求できるようなことにすべきではない。
○運動、口腔、栄養のアセスメントを義務化すべき。
○対象者の基準をはっきりさせてほしい。
【その他】
○介護報酬のアップに合わせて限度額も上げてほしい。
○有資格者の雇用を評価した報酬体系を設定し、有資格者の給与へ反映すべき。
○3%の介護報酬アップについては、それが人材確保に振り向けられていることが分かるようにすべき。
○介護サービス情報の公表制度について、利用者が求めている情報と公表内容にギャップがある。
以上