自治労は11月19日公立病院に関する今後の地方財政措置のあり方について「公立病院に関する財政措置のあり方検討会」で検討されていることから地域医療を確保する観点から総務省に対する交渉をおこなった。
自治労公立病院改革対策本部から加藤副委員長、中島健康福祉局長、松井健康福祉局次長、平川健康福祉局次長他が参加し、 細田大臣官房審議官に要請を行った。
http://www.jichiro.gr.jp/news/2008/11/081119.html ←自治労本部ホームページ
【要請書】
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【交渉報告】
冒頭、加藤副委員長より、「7月の交渉時に久保自治財政局長はガイドラインの目的は地域医療の確保であると述べられた。公立病院に関する財政措置のあり方検討会のまとめが25日に出るようだが、地域医療確保の観点から財政措置を検討して頂きたい」と要請趣旨を述べた。
これに対し、細田審議官は以下のような回答を行った。
「ガイドラインの目的は地域医療確保であると私も理解している。交付税についてだが、交付税は使途制限がなく、繰り出し基準も抽象的なものとなっている。自治体立病院は自治体がつくっている病院であり自治体の判断が原則だ。特別交付税の拡大は検討会でも、産科、小児科、救急も含め検討がされている。病床利用率に応じた交付税措置は、使われていない病床も交付税を目的に維持している実態があり許可病床数ベースは問題が多いという意見が多く出ており、検討中である。無床の診療所は、小さいため有床とは違うと考えている。へき地医療支援機構については、若干特別交付税を措置しているが、都道府県の主体的な機能の強化が課題だ。自治医科大学は定数を20年度から現状の100人を110人に増員し、今年度さらに3人増の113人で申請中だ。自治医科大卒の医師の地域への定着は都道府県の創意工夫ある取り組みをお願いしたい。公立病院の建物については災害拠点病院もあり、そこでは病院債で割り増しをしている。病院の収入は診療報酬で決まるという限界のある厳しい状況の中で地域医療を守ることが求められており、ガイドラインはこのためのものだ。ネットワーク化は鍵となるが、都道府県で温度差、取り組みの差があるのが実情で、いろんな機会を通じて県がきちんと考えていただきたいと話している」
これに対し、自治労側は、
「交付税については、基準通りの繰り出しが病院会計にされていない不満が強い。病床利用率については、地域の医療需要よりも医師不足のため利用率が上がらないという場合もあることについて理解し、配慮すべき。ネットワーク化については、基幹病院に患者が集中し負荷がかかる一方で周辺の病院に患者が行かないなど問題が発生している事例もあり、検討にあたっては地域の事情にあったものとするよう配慮してもらいたい。へき地医療支援機構は、県費を入れながらやっているところもあるが、その機能はかなり都道府県格差がある。病院建設にかかる減価償却が病院経営を圧迫している現実があるので、改善方策について検討できないか」と重ねて要請した。
この後、指定管理者制度が導入された病院の事例を挙げながら指定管理者制度の問題点について意見交換し、今後とも自治労として地域医療や公立病院の実態について改革の要請や提言を行っていくので積極的に取り上げて欲しい旨要請し、終了した。
【高嶋参議院議員による公立病院にかかる総務省ヒアリング】
11月14日高嶋参議院議員(総務委員会委員長)による公立病院にかかる総務省ヒアリングが参議院議員会館内総務委員長室内で行われ、梅村参議院議員などが参加した。総務省側は自治財政局地域企業経営企画室濱田室長が対応した。主な内容は以下の通り。
高嶋議員が、改革プランに対する総務省の対応を質したのに対して、濱田室長は、「総務省としては、原則としてチエックするつもりはない。ただ、特例債の申請があれば、内容についてチエックしている。各自治体のプランはある程度まとまってからHPで公表する」と応えた。
また、高嶋議員が、経営形態について質した中で、濱田室長は、「指定管理者制度はいかに良い管理先を探すのか、ということ。
職員が入れ替わるような『乗っ取り』型の指定管理では、自治体の負担が大きくなる危険性がある。その辺りは自治体に伝えている。
一部適用のところについては、少なくとも全適までは検討してほしい。行政行動原理と病院経営は合わないと考えている。いろんな選択肢をもって検討してほしい」と応えた。
以 上