-これまでの「上限目安時間360時間」の検証と上限規制を求める-
公務員連絡会は、11月19日、10時30分から労働条件専門委員会による人事院交渉を実施し、別紙1の「新たな超過勤務上限目安時間設定についての意見」を申し入れた。この交渉は、11月7日に人事院から別紙2の「超過勤務の縮減に関する指針の見直し(他律的業務に係る上限の目安時間の設定)について(案)」が提案されたことから、これに対する意見を取りまとめてその実現を迫ったもので、人事院側は、松尾職員団体審議官付参事官、役田職員福祉課補佐らが対応した。
冒頭、石原労働条件専門委員長が「意見」の趣旨を説明した上で、各専門委員から次の通り、人事院に対する要請を行った。
(1) 720時間という数字を設定すると、そこまでは働いていいということになりかねないし、拘束力がないと実効性も確保できない。
(2) 国土交通省で当局側は、災害対応は「他律的業務」に該当するとして、360時間の適用さえ行ってこなかった。人事院として厳しく指導すべきだ。
(3) どうして「720時間」なのか、根拠を明確に示すべきだ。拘束力がなく、それを超えてもいいということになると、過労死ラインも超えてしまう。国がそれを認めれば、地方自治体への影響が大きい。
(4) 720時間では提案文にある「職員の心身の健康の維持」という言葉と結びつかない。精神疾患による休職者が増えている実態があり、その背景に定員削減の下での長時間の超過勤務があることは間違いない。「720時間」という数字そのものが問題だ。
(5) これまで「他律的業務」を分けてきたが「通常業務」との相乗効果があるし、「ねじれ国会」の下、国会質問への対応が非常に厳しくなっている。人事院もこうした問題に対応してもらわないといけない。
(6) 人事院は、これまでも上限規制をやろうとしていないが、理由は何か。法制上できないのか。代償機能を発揮する観点で積極的な対応が必要だ。
これに対して、人事院からは、「行政サービスを提供しなければならないので、人事院規則で規制しても事実上難しいという判断であり、法制上できないということではないと思う。上限を設定しても、超える場合が出てしまうのが実態である。しかしながら、現状については問題と思っており、4月から在庁時間縮減の取組みを始めたところであるし、本年の勧告時に他律的業務の上限目安設定などを報告している」との考えが示された。
最後に石原委員長が「本日提出した意見や指摘事項について十分検討し、超過勤務の縮減につながる措置を講じていただきたい。次回は、前向きな回答をお願いする」と要請したのに対し、松尾参事官が「ご意見は原課に持ち帰って検討し、次回交渉でお答えしたい」と答えたことから、これを確認し、本日の交渉を終えた