森本議員(自治労協力国会議員)が国会で質問(11月13日)
11月13日、衆議院・総務委員会で、森本哲生議員(自治労協力国会議員)が自治体財政健全化法に基づき、自治体決算状況が公開されたことを踏まえ、自治体財政の悪化要因などについて総務大臣の認識を質した。
主な質疑で、森本議員は「90年代の地方債を財源とする国の景気対策による普通建設事業費の急増と今日の公債費の急増が要因であり、人件費は財政悪化の直接的な要因とはいえないのではないか。本来の要因は他に別のところにあるにもかかわらず、真っ先に人件費が削減されてしまう」とし、自治体財政悪化の要因と人件費の関連について質した。
これに対し、鳩山総務大臣は、自治体財政の悪化要因について「地方税、地方交付税の減少やバブル経済崩壊後の景気対策に自治体財政が動員され、地方債の元利償還金が圧迫していることや、国・地方通じて社会保障の義務的経費が急増しており、地方の一般歳出が大幅に削減している。一方、(人件費は)ラスパイレス指数を見ても随分低下しており、地方の人件費は今や財政を不健全にしている主たる要素で全くあり得ない。それだけのスリム化や賃金カットを行っており、他の要素が中心となって(財政健全化法の)早期健全化基準に該当する自治体が出てくるのかなというふうに思う」との認識を示した。
また、森本議員は、財政健全化法の早期健全化基準のあり方について、「財政悪化が深刻な状況にならないよう留意しながら、あくまでも自治体が自主的・主体的に財政健全化を行うべきものであるが、実際には、財政基準に過剰に反応して、必要な公共サービスまでも切り込まざる得ない状況をもたらしているのではないか」として、認識を質した。
鳩山大臣は、「(早期健全化基準等の基準に)該当しないように、行政サービスを低下させるというようなことが起きるとするならば、それは非常に悲しいことであって、そういう例がものすごく多い、例えば基準のひとつが厳しすぎて、そのために行政サービスの質が落ちるというようなことが相次ぐということであれば、当然見直すことは必要になってくると思いますが、今のところは、与えられた基準というものを見ながら考えて判断しているところ」との認識を示した。
このほか、森本議員は、財政再生基準にかかわる財政措置の拡充の必要性、夕張市の財政再建問題などについて、質問を行った。
質疑の詳細は別添をご参照ください。
11月6日、夕張市財政再建について総務省への要請は下記の通りです
自治労(夕張市財政再建対策委員会)は11月6日、夕張市財政再建について総務省へ要請を行った。自治労側は、徳茂副委員長(対策委員会委員長)、金田書記長、友利政治政策局長、石上北海道本部企画総務局長、和田空知地方本部委員長、厚谷夕張市職労委員長が参加した。
総務省は久保自治財政局長、関口財務調査官、桜田専門官が対応した。
はじめに徳茂副委員長より、要請書に基づき「財政再建計画のもとで、行政サービス水準を維持するためには、それを支える職員のがんばりがあって実現できることである。計画を進めていくにも、経済的基盤となる賃金・労働条件が現状のまま推移すれば、人材の流出を止められないという状況にある。こうした夕張市の危機的な状況を理解いただき、国として処遇の改善も含め、計画の見直しについて早急な対応をお願いしたい」と述べた。
続いて厚谷夕張市職労委員長が、「現在、108人の職員で行政執行を進めているが、大幅な賃金カットのなかで、なんとか職員ががんばっている。しかし、将来の展望が全くもてない状況にあり、再建計画に取り組むなかで、さらに職員を失うと今後の計画自体が崩壊しかねない。公営住宅4000戸の管理を職員1人でみていることや、人材の補充が必要な技術職など採用の見通しが立たないことなど、少ない人員のもとで住民へのサービスに十分時間を割けない厳しい現状にある。行政水準を維持するためには、それを支える職員の存在があってこそ成り立つものである。夕張市の2009年度予算編成が迫っているなか、改善策を盛り込んでいただき、希望のもてる再建計画になるよう国としても努力をお願いしたい」と強調した。
これに対し久保自治財政局長は、「先日、総務大臣と夕張市を視察したところ。巨額の赤字を早く解消することが、住民の福祉の維持・増進に結びつくものであり、早期に財政再建団体から脱却することが大切と考える。一方、財政再建計画が開始してから、職員が努力され、厳しいなかで行政水準の維持を職員が支えていることは十分認識している。また、北海道から再建計画の見直しの要望があることも承知している。これまでも必要に応じて再建計画の修正を行ってきたが、早期に赤字の解消をめざすという目標のなかで、何ができるのか検討する必要がある。全国的に夕張市の財政再建は注目されており、夕張市の財政再建を失敗させるわけにはいかないとの認識。北海道や夕張市からも話を聞いていきたい」と回答した。
また、関口財務調査官は、「北海道を通じて再建計画の見直しについての要望が寄せられている。早期の財政再建が目標であり、見直しを進めた場合、再建計画期間がどうなるのか見極める必要がある。北海道と夕張市の意見を聞き検討していきたい」と答えた。
最後に、自治労から「大幅な人口減による市税収入の減と、景気の後退による税収減に伴う地方交付税の減額が懸念されている。歳入が一定限定されるなかで、再建計画を無理に進めていくと計画自体が破綻してしまう。自治体組織が危機的な状況にあることをご理解いただき、来年度予算へ処遇の改善策を盛り込んでいただくよう、国としても助言いただきたい」とし、今後も継続した意見交換を求め、要請を終えた。
コメント (2)
『国政絡みで地方を非常に苦しめている』と認識していて、なおも『行政サービスを低下させるということが起きるするならば、それは非常に悲しいこと』と認識している鳩山大臣に一言。
「わかっていて、何の対策もなしか!」
結局、麻生首相やこの大臣も含めて、日本という国の舵取りはできないのだと改めて確認できた。
さっさと解散しないかなぁ……
投稿者: 留萌市労連 坂本 | 2008年11月18日 17:04
日時: 2008年11月18日 17:04
坂本さま
投稿ありがとうございます。
本当ですね。日々何も進まずにだらだらと、総理や大臣の座に居座っているような気がします。
早期解散総選挙を望まずにはいられません。
しかし、鳩山大臣が
「地方の一般歳出が大幅に削減している。一方、(人件費は)ラスパイレス指数を見ても随分低下しており、地方の人件費は今や財政を不健全にしている主たる要素で全くあり得ない。それだけのスリム化や賃金カットを行っており、他の要素が中心となって(財政健全化法の)早期健全化基準に該当する自治体が出てくるのかなというふうに思う」
と回答したことは大変意義深いことです。
自治労本部、道本部、地本、夕張市職労が、総務省に要請したことの成果であると考えます。
このことを盾に、さらに前進していきます。
投稿者: 道本部 | 2008年11月18日 23:17
日時: 2008年11月18日 23:17