-各自治体における労使交渉の尊重を強く求める-
公務員連絡会地公部会は、11月13日15時から、幹事クラスによる総務省公務員部給与能率推進室交渉を行った。総務省からは、小池給与能率推進室長、島田課長補佐らが対応した。
最初に藤川事務局長が、14日に給与法・勤務時間法・退職手当法の取扱いを協議する給与関係閣僚会議と、それらの取扱いを決定する閣議が予定されていることから、2008年地方公務員給与決定などに関して、以下の5点について総務省に質した。
(1) 閣議決定を受けた総務事務次官通知(自治労情報/2008年11月14日)の基本的な考え方と取扱いはどのようなものになるのか。また、人事院勧告、各人事委員会勧告を踏まえた給与改定については、地方公務員法第24条第3項の趣旨をふまえ、自治体における労使の自主的交渉の結果を尊重するべきである。さらに、公営企業職員や現業職員の給与については、団体交渉による協約締結権があることを尊重した対応をすべきである。
(2) 首長が一方的な給与カットを行う事例が相次いでおり、認められない。十分な交渉・協議と合意に基づくものであるべきと考えるがいかがか。
(3) 臨時・非常勤等職員の処遇改善に向け、人事院指針を参考にしつつ、常勤職員との均衡を原則とするよう、自治体への助言等を行う必要がある。
(4) 地方公務員の人事評価制度の見直しにあたっては、拙速な対応を行わないことを求めるとともに、「地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会」の検討にあたって、地公部会の意見反映の場を設定していただきたい。
これに対して、給与能率推進室からは、次の回答があった。
(1) 給与改定等の取扱いに関する事務次官通知については閣議決定後、速やかに自治体に向けて発信する予定。昨年と同様に、国の人事院勧告の取扱いを基本として、地域における民間給与の状況等を勘案し、適切に対処することとしている。人事委員会勧告の尊重が基本であり、給与決定の原則は、地方公務員法第24条第3項に書かれているとおり。地域の実情をふまえ、総合的に勘案して適切な内容になるよう、必要な助言は行っていく。また、技能労務職員や企業職員については、労使交渉を経て労働協約を締結できるなど、法の適用関係が他の一般行政職員等と異なるものであるが、その給与については、職務の性格や内容を踏まえつつ、地域における民間の同一又は類似の職種の給与との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正な制度・運用を引き続き求めていく。
(2) 独自の給与削減については各地方公共団体において、十分な議論を経た上で条例改正をしているものと認識している。
(3) 自治体に任用される臨時・非常勤職員は、その勤務形態や職務内容がさまざまであり、任用に係る法体系も国と異なる。人事院の指針は、自治体に任用される非常勤職員等に直接あてはまるものではない。
(4) 研究会の最終報告は今年度中に出される予定であり、研究会の内容については、必要な情報提供は行ってきた。引き続き、これまでと同様に対応していく。
これらの回答に対し、地公部会は、以下の指摘を行うとともに、適切な対応を強く求めた。
(1) 民間賃金の反映のみが強調されている。公務員賃金が高いとの批判に対しては、総務省として毅然として対応すべきである。
現業職員には、公務員として住民に対する責任が強く求められており、民間においてまったく同様の職種はないのではないか。「技能労務職員の給与に係る基本的考え方に関する研究会」の最終報告に向けて、地公部会との交渉・協議を強く求める。
(2) 給与削減は首長の恣意的なパフォーマンスであることが多く、組合との十分な協議は行われていない。人勧尊重が基本スタンスであるならば、総務省として的確な対応を求める。
(3) 国の非常勤職員には、正規職員との権衡原則が規定されている。地方公務員については職務の内容と責任に応じるとする職務給の原則があるが、実態として、それすら守られていない。均衡の原則を自治体に対しても示すべきである。
(4) 国が人事評価を本格的に実施したからといってそのまま自治体でできるものではない。地方公務員法改正案がこのまま成立しても、十分な準備期間がない場合、円滑な実施はできない。
これに対し、給与能率推進室は、次のとおり回答した。
(1) 行政サービスについては、民間にない部分があること、全く同一といえない部分があること、自治体としての責任などについては理解する。しかし、民間賃金は法律で定められているとおり重要なひとつの目安であり、これとの関連で説明責任を果たしていく必要がある。公務員賃金が高いとの批判に対しては、集中改革プランの実施状況を公表し、給与・定員などについて各自治体で努力していることは説明している。
技能労務職員の給与に係る基本的考え方に関する研究会報告については、随時、地公部会との間で必要な対応を行っていきたい。
(2) 人事委員会勧告を尊重することが総務省としての基本的なスタンスであり、各自治体の事情により判断されているものと考える。
(3) 臨時・非常勤職員の職務内容、報酬は各自治体で異なるが、職務給原則が適正に反映されるのであれば、臨時・非常勤職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員との均衡は図られるはずである。
(4) 研究会では、地方公共団体における人事評価の任用面での活用について、国の施行状況をふまえつつ、方向性と活用する上での留意点について整理している。国で実施していることを踏まえた準備を進めることを各自治体に対してすでに助言している。ただ、実施に向けての懸念や難しい問題を抱えていることについては十分承知している。
この回答に対し、とくに、臨時・非常勤職員の均等待遇を基本スタンスとし、自治体条例に明記させるなど、総務省の積極的な対応を強く求めるとともに、その他の課題について継続した交渉・協議を申し入れ、終了した。