-明日(14日)勧告通り実施を閣議決定し来週中にも法案提出の方向-
公務員連絡会福田議長ほか委員長クラス交渉委員は、11月13日午後4時15分から総務省で鳩山総務大臣と交渉を持ち、2009人勧の取扱い状況などについて大臣の見解を質した。これは、勧告日の8月11日に提出した要求書に対する回答を求めて行われたもの。
これに対して大臣は、「明日、第3回給与関係閣僚会議を開き、給与・勤務時間について勧告通り改定する旨の決定がなされるもの」とし、明日(14日)、2009人勧を勧告通り実施する閣議決定を行う見通しであることを明らかにした。これに対して福田議長は、勧告通りの閣議決定については評価したものの、人事院に対してより一層の地域の民間給与を反映させる方策の検討や来年の勧告時に地域別官民給与の実態を公表するよう要請する点を「到底容認できない」として強く抗議した。
明日の閣議決定を受けて政府は、勤務時間法・給与法・退職手当法改正法案の策定作業に入り、来週中には法案を閣議決定し、国会提出する予定。公務員連絡会は、大臣交渉後に開いた企画・幹事合同会議で、①14日を全国統一行動日として各構成組織ごとに時間外職場集会等を実施すること②会期が迫り厳しい情勢にあるが関連法案の早期国会提出と成立を目指して取組みを進めること、など今後の取組み方針を確認した。
<総務大臣交渉の経過>
13日午後4時15分から総務省で行われた交渉の冒頭、公務員連絡会側が2008人勧の取扱状況を質したのに対し、鳩山大臣は次の通り見解を示した。
(1) 本年度の国家公務員の給与改定については、去る8月11日に人事院勧告を受け取って以来、関係府省間で検討を進めてきたところであります。総務大臣としては、国の財政事情をはじめ国家公務員給与を取り巻く環境がきわめて厳しい中、給与関係閣僚会議において、労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重すべきとの立場で意見を申し上げてまいりました。
(2) その結果、明日、第3回目の給与関係閣僚会議を開いていただくことになり、そこでは、給与及び勤務時間について勧告どおり改定する旨の決定がなされるものと思います。給与関係閣僚会議で決定がなされれば、その後の閣議において政府として取扱方針が決定されることになると思います。
(3) 職員の皆様には、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上に努めていただきたいと思います。
これに対して福田議長は、次の通り大臣回答に対する見解を述べ、政府が人事院に地域別官民比較の公表などを要請することについて強く抗議するとともに、①一刻も早い関連法案の国会提出と成立に努力すること②納得性の高い人事評価制度を構築するよう努力すること③超勤縮減に努力すること④地方分権改革の第2次勧告に向けて十分意見交換すること、などを申し入れた。
(1) 公務を巡る情勢が厳しい中、所管大臣として、今日まで完全実施に向けて努力していただいたことに感謝申し上げたい。ただ、明日予定される閣議決定の中で、昨年に続いて、官民比較方法見直しの検討を人事院に要請すると聞いているが、これは本来、今進めている給与構造改革終了後(平成22年度)、その結果を踏まえて人事院において検討されるべきものである。にもかかわらず、本年、政府が人事院に検討を要請することは、労働基本権制約の代償機関に対する「政治」の圧力そのものであり、われわれとしては到底認められない。強く抗議する。
今後、政府は閣議決定を踏まえて、勤務時間法改正法案、給与法改正法案、退職手当法改正法案の作成作業に入ることとなるが、タイムリミットも迫っており、一刻も早い国会提出と会期内成立に最大限努力するよう要請する。
(2) 新たな人事評価制度の本格実施については、現在リハーサル試行が行われているが、その結果を十分検証し、納得性の高い評価制度が円滑に実施されるよう、政令策定に向けて努力いただきたい。
勤務時間勧告の実施は、公務の勤務時間を民間にあわせるものであり、ワークライフバランスの観点からも、きわめてタイムリーな、かつ重要なものだと考える。ただ、所定勤務時間が短縮されたとしても、超過勤務が現状のままでは意味がない。政府には、超過勤務縮減に一段と力を入れてもらうよう要請しておきたい。
国家公務員制度改革推進本部のもとに設置された「労使関係制度検討委員会」の審議が始まったが、政府としてその検討を急ぎ、公務労使関係の抜本改革に着手し、団体交渉で賃金・労働条件を決定するシステムを確立するよう強く要求する。
(3) 鳩山大臣は分権改革担当大臣でもあるので、地方分権改革に向けた第2次勧告についてひとこと要請しておきたい。わたしどもは、地方分権改革を積極的に進めるべきだと考えている。しかし、地方分権改革推進委員会で検討されている国の出先機関の見直しについては、単なる出先機関の縮小と総人件費削減に過ぎないのではないかという危惧を持たざるを得ない。大臣には、①まず国と地方自治体の役割分担を明確にし、国民生活の観点から事務・事業の精査を十分行った上で国の出先機関のあり方を検討すること②見直しに当たっては、政府が雇用と労働条件の確保を明確に保障すること、などについて特段の努力を要請しておきたい。この件については、第2次勧告を受けて、改めて大臣に要請したいと思っているので、よろしくお願いしたい。
これに対して大臣が「要望は承った」としたことから、議長は「ただいまの大臣の回答は、組織に持ち帰って報告し、公務員連絡会としての態度を決定する」とし、交渉を締めくくった。