« 【朔風プレミアム】吹き荒れる解雇と労働者 | メイン | 【本日の来局者】札幌市労のみなさんです »

【本部情報】居宅系サービスの介護報酬に関する議論が始まる

第57回社会保障審議会介護給付費分科会報告

連合政策ニュースレターより

訪問介護の報酬・基準に関する論点をダウンロード


厚生労働省は10月30日に都内で社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、居宅系サービスに係る2009年度介護報酬改定の議論を開始した。連合からは小島総合政策局長が委員として出席した。
 
今回は居宅系サービスのうち、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、療養通所介護、通所リハビリテーション、事業所評価加算に係る介護報酬改定の論点が示された。主な内容は下記のとおり。
①訪問介護サービスにおける短時間の頻回訪問や、夜間訪問介護の推進等
②特定事業所加算の要件見直し
③サービス提供責任者の評価と配置基準の緩和
④事業所評価加算の要支援状態における維持の評価のあり方

連合の小島委員は、まず「介護従事者処遇改善法の趣旨に沿った介護報酬改定を行うべき。医療・介護の切れ目ないサービス提供が必要であり、訪問看護、訪問介護など居宅系サービスの充実に資する介護報酬を設定すべき」と述べた。その上で、個別の論点については、下記の発言を行った。

・訪問介護の短時間頻回訪問・夜間訪問介護の推進については、経営の安定化という視点だけではなく、ヘルパーなど介護労働者の処遇改善と利用者のニーズという視点からも検討することが必要である。
・サービス提供責任者の配置基準見直しについて、原則は常勤であるべき。利用者、従事者の安心という点からも、サービス提供責任者の役割をもう一度確認・評価する必要がある。また、複数のサービス提供責任者がいる事業所に統括的なサービス提供責任者を配置した場合、さらに評価してはどうか。
・療養通所介護の定員の見直し、療養室の面積基準緩和について、待機者緩和のために定員増・面積基準の緩和ということだが、療養環境の視点も含めて考えるべき。
・事業所評価加算については、維持も評価する方向で検討すべき。

サービス提供責任者の配置基準見直しについては、他の委員からも「非常勤になることで、利用者の安心が確保できるのか。どのように質を担保するのか」(田中委員・日本介護福祉士会名誉会長)、「サービス提供責任者の評価を明確に位置付けるべきであり、それは常勤であるべき。そうでなければ『名ばかり責任者』となる」(村川委員・日本社会事業大学教授)との意見が多く出された。一方で、堀田専門委員(東京大学特任准教授)は「資格の要件を設ける等して、サービス提供責任者の質を担保すれば、配置基準は非常勤でもよいのではないか」と述べた。厚労省は、「緊急時にサービス提供責任者が居宅介護支援専門員と連絡・連携が取れること等を要件としてはどうかと考えている。引き続き検討する必要がある」と答弁した。

今回に引き続き、次回も居宅介護支援等の居宅系サービスの介護報酬について議論される予定。次回開催日は11月14日の予定。

その他の委員から出された主な意見(要旨)は次のとおり。
【訪問介護について】
・生活援助の利用抑制が厳しく行われている結果として、利用時間が短時間化している。利用者のニーズではない。
・要介護5の人の在宅介護を支えるためには、短時間の頻回訪問が重要。
・3級ヘルパーの経過措置については、2009年3月末までと決まっているのは周知の事実。なぜ3年間延長するのか。

【訪問看護について】
・医療保険と同様に、退院時に訪問看護ステーションと共同でケアプランを作るなどの仕組みを導入して欲しい

【通所介護について】
・通所介護の個別機能訓練が明確ではない。
・介護従事者のキャリアアップについては、報酬以外の枠組みも考える必要がある。

【療養通所介護について】
・従事者不足だから定員増はおかしい。
・介護の尊厳を真っ向から支えるサービスであり、重要であるにも関わらず認知度が低い。
・サービスの普及を急ぐという視点から、面積が小さくてもまず普及を推進すべき。
・難病の人が通うということだが、医師もおらず、定員を増やしても対応できるのか。

【通所リハビリテーション】
・短時間集中リハの制度化を進めるべき。
・努力した事業所が報われる方向での検討をすべき。

【事業所評価加算について】
・特定事業所加算は継続すべき。
・状態の「維持」の評価と「改善」の評価についてバランスの取れた弾力化を。
・「維持」や「改善」というのは、チームでケアマネジメントした結果。
・利用者の視点に立った見直しとはどのようなことか。

【その他】
・介護報酬が上がることは賛成だが、保険料が上がることには賛成できない。
・単純に介護報酬を上げるのではなく、適正化も行うべき。
・介護従事者、経営者の給与水準を公表する仕組みを創設すべき。
・小規模が経営難だからといって、全ての小規模事業所に報酬をつけるのはどうか。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2008年11月04日 11:15に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「【朔風プレミアム】吹き荒れる解雇と労働者」です。

次の投稿は「【本日の来局者】札幌市労のみなさんです」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36