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【本部情報】確定闘争等推進のため総務省公務員部長交渉

10月23日、自治労は2008自治体確定闘争の推進等のため、総務省公務員部長交渉を実施した。総務省からは、松永公務員部長、髙尾公務員課長、小池給与能率推進室長ほかが、自治労からは金田書記長、江﨑労働局長、松本労働局次長ほかが交渉に出席した。

はじめに、金田書記長から、次の5点について、総務省側の見解を求めた。
(1)地方公務員の給与について、地域民間給与準拠の徹底の方針・政策を改め、地方公務員法第24条第3項の本旨にしたがい、5つの考慮要素を総合的に考慮した自治体における労使の自主的交渉の結果を尊重していただきたい。

(2)現業労働者の給与については、各自治体における労使交渉と合意を基本とし、労使自治への干渉・介入にわたる検討、助言等は行わないでいただきたい。

(3)所定勤務時間の短縮について、人事院勧告において来年4月の実施が勧告されたことをふまえ、各自治体においても速やかに実施されるよう、必要な取り組みを行っていただきたい。

(4)臨時・非常勤等職員の処遇等の改善のため、常勤職員との均等待遇の実現、雇用の安定にむけた取り組みを行っていただきたい。
とくに、人事院が非常勤職員に係る給与の適正な支給を求める指針を8月26日各府省に通知したことをふまえ、自治体においても同指針の内容を最低として臨時・非常勤等職員の給与等の改善がはかられるよう、所要の措置を行っていただきたい。
また、任期付短時間勤務職員制度の活用のための要件緩和などに取り組んでいただきたい。

(5)財政制度を通じた人件費に対する国の地方への関与を行わないでいただきたい。
とくに、退職手当債の発行、公的資金補償金免除繰上償還の実施の許可に際して、一律的な人件費の削減や特定項目の人件費の削減、適用給料表の変更等を条件としないでいただきたい。
また、地域手当、寒冷地手当など人件費に係る特別交付税の減額措置は、地方交付税の中立性を損なうものであり、地方自治を侵害するものであることから、厳に行わないでいただきたい。

これらに対して、松永公務員部長からは、次の回答があった。
(1)地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨に則り、地域の実情を踏まえつつ条例で定められるべきものである。具体的には、当該団体の規模や給与の実態を踏まえ、国家公務員給与や民間給与の状況等を総合的に勘案した上で、適正な内容とするべきものと考えている。今後とも、このような考え方に立って、必要な助言等を行ってまいりたい。
また、地方公務員に対する国民・住民の信頼を確保するためにも、地方公共団体の給与制度・運用について、住民の理解と納得を得られるよう、給与構造改革の速やかな実施や一層の給与適正化に向けた取組を要請しているところであり、引き続き必要な助言等を行ってまいりたい。

(2)地方公共団体の技能労務職員等の給与については、同種の民間事業の従業者に比べ高額となっているのではないかとの国民等の厳しい批判があるところであり、それぞれの地方公共団体において住民の理解と納得が得られるものとなるよう、総合的な点検を実施し、適切に対処するよう、要請している。技能労務職員の給与については、人事委員会勧告の対象とはならず、労使交渉を経て労働協約を締結することができるなど、法の適用関係が他の一般行政職員等と異なるところであるが、その職務の性格や内容を踏まえつつ、特に民間の同一又は類似の職種に従事する者との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正な給与制度・運用となるようにすることが必要と認識している。それぞれの地方公共団体においては、技能労務職員等の給与等について、総合的な点検を実施し、その現状、見直しに向けた基本的な考え方、具体的な取組内容等をわかりやすく明示した取組方針を策定・公表していただいているところであり、この取組方針に沿って、着実な見直しを行っていただくことが必要であると認識している。

(3)地方公務員の勤務時間等の勤務条件は、国及び他の地方公共団体の職員との権衡を図ることとされている。先般、来年4月を施行期日とする勤務時間の短縮について人事院勧告が出されたところであるが、この取扱いは今後内閣や国会の場において検討がなされるものであり、その結果を踏まえて、適切に助言してまいりたい。

(4)臨時・非常勤職員の給与その他の勤務条件等については、地方自治法、地方公務員法やこれらに基づく条例等に基づき、職務内容や職責に応じて、民間における状況等も勘案しながらそれぞれの地方公共団体が定めるべきものと考えている。
今回、人事院が各府省に通知した指針は、国における事務補助職員等の非常勤職員の給与について、それぞれの府省や官署によって均衡がとれていない状況を改善するために、一般職の職員の給与に関する法律第22条に基づき各庁の長が非常勤職員の給与を決定する際に考慮すべき事柄を統一的に示そうとするものと承知している。地方における非常勤職員は、その勤務形態や職務内容が多様であるとともに、任用に係る法体系も国と異なるものである。これらのことからすれば、今回の指針は地方公共団体に直接あてはまるものではないと認識している。
一方、任期付短時間勤務職員制度については、常勤職員と同様の処遇で本格的業務に従事することのできるものとして、平成16年から導入したところである。
制度導入から4年が経過したところであるが、活用している団体は限定的であることもあり、臨時・非常勤職員の任用の在り方を含めた地方公務員の短時間勤務の在り方等について検討するため、7月に研究会を立ち上げたところである。
今年中には議論を整理していただき、地方公共団体における質の高い効率的な行政サービスの実現に資するよう制度・運用の在り方を検討していきたいと考えている。

(5)地方債の基本を定める地方財政法第5条は、地方債を財源としないことを原則としつつ、将来に便益が及ぶ場合に、その便益の範囲内において、地方債の発行ができることとしているが、退職手当債は、この例外として、近年の地方財政の状況、団塊世代の大量退職や総人件費削減の必要性等を踏まえ、特例的にこの原則を緩和し、世代間の負担の公平に反しないよう将来の総人件費の削減により償還ができる範囲内において、許可しているものと承知している。
給与制度や運用が不適正な団体は、そうした不適正な制度や運用がなければ、それらに係る財政負担は縮小し、退職手当所要額はより少なくてすんだはずのものである。こうした部分にまで、退職手当債の発行を認めることは、世代間の負担の公平を著しく阻害するものであり、このようなものについて、退職手当債の許可に際し、制限を行うことは、給与等の不適正な運用に対する制裁又はペナルティーとして行うものではなく、地方財政法第5条の趣旨に基づいて、世代間の公平を図ろうとするものであり、必要な配慮である。
公営企業借換債と合わせて5兆円規模の公的資金の繰上償還については、地方財政の健全化による将来的な国民負担の軽減という観点から行われるものであり、他の地方公共団体に比べて財政運営上余裕があると認められるような定員管理や給与制度・運用を行っている地方公共団体についてまで認めることについて、国民の理解と納得が得られないものと考える。
特別交付税の減額措置は、国の支給基準を超えて給与を支給している地方公共団体については、他の地方公共団体に比べて財政運営上余裕があると認められることから、算定上の一要素としているものと承知している。このような減額措置は、不適正な給与支給に対する制裁という観点から行われるものではなく、特別交付税の公平な算定という観点から行われるものと理解している。

これらの回答に対して、金田書記長からは次のように質した。
(1)地方公務員法第24条第3項には、給与決定の基準としての考慮すべきものとして、生計費、国の給与、他の自治体の給与、民間給与、その他の事情の5要素が定められているが、今の総務省の考え方には地域の民間給与の要素だけが強調されている。法に則って5要素全体を総合的に考慮すべきと考える。自治体の方でも、誤解されている面があるので、5要素を考慮すべきことを明確にしていただきたい。因みに、愛知県職員の手当支給をめぐった名古屋高裁の判例では、5要素のうちの「その他の事情」も考慮して、均衡の原則の幅を広いものとして解釈したものとなっている。
今年の人事委員会勧告では、給与構造改革の経過措置期間中であることや特例減額措置後の公民比較ではプラス較差であったことなど諸状況を勘案し、マイナス改定を勧告しなかった、また国とは異なり公民較差を反映し引き上げ勧告を行ったところなどがある。これらの自治体に対しては、人事委員会の自主性・主体性を尊重し、それぞれの労使交渉に干渉にわたる助言等を行わないでいただきたい。

(2)労使交渉の方法については、それぞれの労使自治の世界である。総務省が設置した技能労務職給与研究会の中間とりまとめでは、労使交渉への干渉とも言える言及があった。今後の検討においては、改めていただきたい。
現業労働者にも、地方公営企業法38条3項で均衡の原則が定められている。これは、民間との均衡だけでなく、生計費、国との均衡、他自治体との均衡、その他の事情を言っている。
研究会の最終報告については、当初4月の地公部会との給与能率推進室長交渉でも室長は「(賃金の比較方法などについて)結論を一つの考え方で、固めることは考えていない。選択肢として提示する」と回答しているところである。再度、このことを確認しておきたい。
最終報告の取り扱いについては、その時期を見て協議させていただきたい。

(3)所定勤務時間については、人事院勧告を尊重し、地方への影響もふまえ、総務省として早期の閣議決定、法改正に努力していただき、所要の措置を行うよう重ねて要請したい。

(4)臨時・非常勤等職員の置かれている問題は、国・自治体を問わず、われわれ労働組合や国会からの要請など各方面からの指摘を背景として人事院は検討し、総務省も今回の研究会を立ち上げたと認識している。このような経過、動きを重く受け止めていただきたい。
国においては、8月に非常勤職員の給与についての人事院指針を出しているが、自治体においても、最低限、人事院指針レベルの内容を自治体の臨時・非常勤等職員に適用し、常勤職員との均衡を基本に、適正な支給をはかることとすべきではないか。国と地方の制度、実態の違いはあり、各自治体の自主的判断はその通りである。しかし、50万人以上と推定できる臨時・非常勤等職員の置かれた看過できない現状を考えれば、人事院指針を参考に自治体で活用できないものかと考えているので、是非、検討していただきたい。

なお、人事院の指針は、地方にはどのような形で情報提供しているのか。
任期付短時間勤務職員制度は、法の谷間にある臨時・非常勤等職員の法的位置づけを明確するための一つの回答であった。しかし、現実には自治体ではあまり活用されていないのはいろいろ問題点があるからではないか。任期付短時間勤務職員制度を活用・普及させるとするならば、①業務の対象に条件を設けない、②再度任用の手続きについて高齢者再任用と同様に「勤務成績等を勘案することで能力の実証をはかる」などにより簡素化をはかる、③生活関連手当・退職手当、昇給は常勤職員と権衡により支給を認めるなどが必要と考える。今回の研究会で是非、取り上げていただきたい。

これを受けて、松永公務員部長から次のように述べた。
(1)職員の給与については、従来の国公準拠を刷新し、地域の民間給与をより重視していただくことが必要であることが「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」の報告書で示された。これは、考慮すべき5要素の中で、国の給与に比重が置かれていた考え方を地域の民間給与への比重を高めるようにしたものであり、地方公務員法の趣旨をより的確に反映することとしたものである。人事委員会勧告は尊重されるべきものである。総務省としても、人事委員会が、その機能を発揮していただくために、従来から必要な助言を行ってきたところである。今後も、必要な助言を行ってまいりたい。

(2)技能労務職員の給与に係る基本的考え方に関する研究会において、有識者によるご検討をいただいている。この研究会は、労使双方にとって、給与決定に当たってよるべき明確な基準がないといった現状を踏まえ、基本的考え方を整理するとともに、その具体的な反映手法や住民等への説明責任等について、研究しようとするものである。8月22日に「中間とりまとめ」を公表し、あわせて意見募集を行ったが、その内容は「労使自治に対する不当な介入が危惧される内容」ではないと考えている。
前回9月16日の研究会においては、「中間とりまとめ」に対する地方公共団体の人事当局の意見を聴いた。さらに、次回10月27日の研究会では、自治労も構成団体である「公務公共サービス労働組合協議会」から意見を聴き、議論を進める予定となっている。
また、検討の経過については、引き続き、総務省ホームページで公表する等、情報提供に努めて参りたい。
最終報告の取扱いについては、ご意見があればお聞きしたい。

(3)(所定勤務時間について)ご要望は承った。

(4)地方における非常勤職員は、その勤務形態や職務内容が多様である上、任用に係る法体系も国と異なることから、国の非常勤職員の給与決定に係る考え方が地方公共団体に直接あてはまるものではないと考えている。
地方公共団体における臨時・非常勤職員の報酬等の処遇については、それぞれの団体において、その職務の内容等に応じて適切に決定すべきものと考えている。
なお、人事院の指針が出された8月26日に、「給与情報」(総務省給与能率推進室が国の給与関係で動きがあったときに地方公共団体に発信している参考情報)として、都道府県および都道府県市区町村担当課を通じて市町村に情報提供している。

任期付短時間勤務職員制度の対象業務に関しては、同制度が国にない例外的な制度として設けられたこともあり、業務対象を拡大することについて、研究会の委員間でも慎重、賛成の両方のご意見があり、研究会で検討の論点となっている。

再度任用の手続き等に関しては、任期付短時間勤務職員制度が本格的な業務を担う職員であることから、地方公務員法の成績主義の原則に基づいて、通常の職員と同じく「競争試験又は選考」がきちんと行われることは担保されなければならない。

任期付短時間勤務職員については、常勤職員並みの本格的な職務に従事するというその性質に鑑み、給料及び手当の支給を可能としているが、長期継続任用を前提としない期間の限られた任用であり、また、特定の業務に従事することが想定されることから、能力の伸長や経験等の要素を考慮する必要性は低いものと考える。そのため、再任用短時間勤務職員と同様、昇給しないこととし、また、生活関連手当あるいは人材確保のための手当についても支給しないことが適当であると考えている。
これらの考え方は、平成16年の運用通知にも示しているが、任期付短時間勤務職員の制度の性質上導かれるものであると考えている。

これらの説明に対して、江﨑労働局長は「必要な助言が、思い余って自治体への圧力にならないよう注意していただきたい。必要な助言といわれるが、われわれにはその範囲を超えると感じられることもある」と強く要請した。

最後に、金田書記長からは、「任期付短時間勤務職員制度が活用されないのは、理由があるからである。その理由を、よく検討していただきたい」、また「人事院指針について、その内容の意味するところが何らかの形で各自治体にとって参考となるような情報の提供ができないものか、と考える。その思いを十分に受け止めていただきたい」と強く訴え、交渉を終了した。

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2008年10月31日 12:10に投稿されたエントリーのページです。

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