-基本法12条の「便益及び費用」、「自律的労使関係」のあり方などについて議論-
10月22日、国家公務員制度改革推進本部(以下「本部」という)の労使関係制度検討委員会(以下「検討委」という)第1回会議が、本部所在の中央合同庁舎4号館で開催された。検討委は、本部令第2条に基づき設置されたもので、国家公務員制度改革基本法第12条の国家公務員の労働基本権及び附則第2条の地方公務員の労働基本権について、調査審議し、本部長(内閣総理大臣)に意見を述べることとされ、労働側委員として山本幸司連合副事務局長、福田精一国公連合委員長、金田文夫自治労書記長が参加した。
会議には、政府側から甘利公務員制度改革担当大臣、鳩山総務大臣が出席した。
冒頭、甘利担当大臣は、「時代を画する公務員制度改革がスタートし、その中で労使関係の改革が欠かせない。活発な審議をお願いしたい。法制上の措置は平成23年6月までに行うこととされているので、それに間に合うよう、その1年前ぐらいまでにはまとめていただきたい。私も本部の中心となって取り組むのでよろしくお願いしたい」と、鳩山総務大臣は「今般の改革は、職員が能力を高めつつ、誇りと責任を持って職務を遂行できるようにするために行うものである。改革に当たり、費用、便益について国民の理解を得ていくことが大事だと思う。国、地方の公務員を所管する総務省としても委員会審議に協力していく」とあいさつした。
続いて今野浩一郎学習院大学経済学部教授を座長に、高橋滋一橋大学大学院法学研究科教授を座長代理に選出、会議は公開としインターネット中継を行うことなどを確認し、「基本的検討項目・基本法に基づく工程表について」の審議に移った
(関係資料についてはホームページhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumuinsuisin/kentou/index.html参照下さい)。
審議の中で福田委員は「協約締結権付与に伴う便益及び費用をまず審議して、その後、具体的制度設計を行うというのではなく、一体的に議論していただきたい。職員の雇用や勤務条件に大きな影響を及ぼす府省間配置転換が交渉・協議なしに今日に至っていることや来年度から本格実施される能力・実績主義に基づく人事管理が求められることなどを踏まえてスピード感のある審議をお願いする」と、山本委員は「基本法12条の結語は『自律的労使関係制度を措置する』ということであり、そのために全体像を提示して国民の理解を得る必要があるということだ。つまり、公務員に民間労働者と同様に労働組合法上の権利を付与するための具体的措置を検討することが課題だ」と、金田委員は「専門調査会報告は、「人勧制度を廃止し、非現業職員に労働協約締結権を付与し、労使が責任ある労使関係を築くこと」を提言しており、そうした方向で検討すべきだ。地方では給与の特別カットが7割にも及び代償措置は機能していない。今回の改革を機に信頼感と責任感ある近代的労使関係を築き、効率的・効果的な行政サービスを構築することが重要だ」との考えを表明した。
そのほかの委員からは①国民の理解を得るためにもまずは費用と便益を示すことが重要、②費用と便益については民間企業の実例を整理した資料を出して欲しい、③自律的労使関係の中身はいろいろある。国家公務員は勤務条件法定主義だが、独法は自律的運営であり違っている、などの意見が述べられ、最後に今野座長が「費用と便益については、厳密には、A制度ではこう、B制度ではこう、ということになるが、当委員会が、一般的な議論を行うことは必要ではないか。事務局に資料を準備してもらうが、委員の皆さんにも情報提供をお願いしたい。次回の進め方については、私と事務局で相談したい」と取りまとめ、第1回会議を締めくくった。
なお、次回は、日程調整の上、いつ開催するかを決めることとなった。
公務労協は、労働側委員と連携しつつ、協約締結権の付与を通じた交渉に基づく労働条件決定制度の確立と自律的労使関係制度の実現に向けて、取組みを強めていくことにしている。