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【本部情報】総務省交渉および給与能率推進室長申し入れ(現業・公企統一闘争)

10月9日、2008現業・公企統一闘争の山場に向けた取り組みの一環として、総務省交渉並びに給与能率推進室長申し入れを実施した。

前半、総務省交渉には、自治労側からは南部現業局長、中村現業評議会議長代行、森下現業評議会事務局長、松本労働局次長など、現業評議会を中心に9人が出席、総務省側からは島田給与能率推進室課長補佐、新田行政体制整備室課長補佐、永井公務員課課長補佐など7人が出席した。
 
交渉の冒頭、中村現業評議長代行があいさつ、要求書を手渡したのち、南部現業局長が今回の要求の趣旨について、要求項目に添う形で説明し、総務省に対して誠意ある回答を求めた。これに対する総務省の回答は次のとおり。

1.技能労務職員の給与については、人事委員会勧告の対象とはならず、労使交渉を経て労働協約を締結することができるなど、法の適用関係が他の一般行政職員等と異なるところである。しかしながら、この場合においても、地方公営企業法第38条第3項の規定が準用され、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与等を考慮して定めるものとされている。近年、技能労務職員等の給与については、同種の民間事業の従業者に比べ高額となっているのではないかといった国民等の厳しい批判があるところであり、各地方公共団体において住民の理解と納得が得られるものとなるよう、総合的な点検を実施し、適切に対処するよう、総務省としても要請をしている。引き続き、各地方公共団体において、技能労務職員の職務の性格や内容を踏まえつつ、民間の同一又は類似の職種に従事する者との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正な給与制度・運用となるようにすることが必要と認識している。

2.研究会の「中間取りまとめ」については、総務省では本年4月から「技能労務職員の給与に係る基本的考え方に関する研究会」において、有識者によるご検討をいただいているところである。そもそもこの研究会は、労使双方にとって、給与決定に当たって拠るべき明確な基準がない現状を踏まえ、基本的考え方を整理するとともに、その具体的な反映手法や住民等への説明責任等について、研究しようとするものである。研究会では、去る8月22日には、これまでの検討を踏まえた「中間とりまとめ」を公表した。これとあわせて意見募集を行ったが、「中間取りまとめ」の内容は「労使自治に対する不当な介入が危惧される内容」と御指摘されるようなものではないと考えている。前回、9月16日の研究会においては、「中間取りまとめ」に対する地方公共団体の人事当局の意見を伺った。さらに、次回の研究会は10月27日を予定しているが、自治労も構成団体のひとつである「公務公共サービス労働組合協議会」の意見も聴き、議論を進める予定である。また、検討の経過については、引き続き、総務省のホームページで公表するなど、情報提供に努めて参りたい。

3.賃金センサスを用いた給与水準の比較については、総務省では技能労務職員等の給与と民間事業の従事者のデータとの比較について、昨年7月に、平成18年4月1日現在の都道府県と政令指定都市との比較結果を公表した。また本年4月には、平成19年4月1日現在の指定都市以外の市区町村を含めた比較結果を公表している。その結果をみると、市区町村においても、同一又は類似の民間事業の従事者のデータに比べて技能労務職員等の給与が高額になっている。民間事業の従事者のデータとしては、賃金センサスを用いているが、それぞれの技能労務職員等の職種と対応する民間の類似職種が完全に同一の業務を行っているものではないことや、民間のデータには雇用期間が短期間の非正規社員等の技能労務職員等とは雇用形態や勤務形態が異なる労働者のデータが含まれていること等から単純に比較することはできないことは私どもとしても認識している。ただし、この比較結果も踏まえ、各地方公共団体において、その給与のあり方についてよく議論していただきたい。

4.地方公共団体の民間委託については、コスト削減の観点だけではなく、サービスの質の維持向上を図っていくことが重要であると認識している。また、民間に委託した公共サービスについて、最終的に責任を負うのは委託を行った地方公共団体であるということは当然のことであり、このことを十分に認識し、委託業者が当該公共サービスを適正かつ確実に実施できるように監督等の措置を講ずることが必要である。総務省では、新地方行革指針等において、各地方公共団体に対し、地域の実情に応じて民間委託等を推進していくよう助言させていただいているが、委託した事務事業についても行政としての責任をきちっと果たしうるよう、適切に評価・管理を行うことをあわせて要請している。今後とも、各地方公共団体に対し、コストとサービス両面から、いろいろな形で議論をして、委託した事務事業の適切な評価・管理がなされるよう必要な助言をしていきたい。

これに対して自治労側は森下現業局次長から、①自治体の中での労使交渉は民間事業者の賃金とのバランスも考慮して行っており、決して地公労法7条のみをたてにとっているわけではない、②研究会の中間報告はわれわれからすれば労使自治に踏み込んでいるとしか受け取ることはできない、③自治労としては賃金センサスが中間報告に基準のひとつとして盛り込まれていることを危惧しており、スタンスを明確にしてほしい、④最終責任が自治体にあることを明確にした上での民間委託をすべて否定しているわけではなく、われわれが積み上げてきたサービスの質の向上と「単純労務」とはいえないものになっている業務に内容を否定しようとしている総務省の姿勢を問題にしているのである、と指摘した上で、評議会三役から現場の実情を伝えた。中村議長代行は、総務省はこの間の交渉で現業職員の賃金について「住民の理解が得られるものに」と回答しているが、自治体当局は「総務省から『ラスが高い』との指摘がある」と主張していることの矛盾を指摘し、どちらなのか明確にするよう求めた。また田中副議長は賃金センサスについてデータの信憑性にそもそも問題があることを指摘した上で、不適正なデータを公表することで社会的な混乱がおきかねないことを指摘、あわせて給食調理員が食育や保護者への調理指導などを実施している状況を伝え、業務についての認識を改めるように求めた。新居副議長は清掃職場でおこなわれているふれあい収集、分別の指導、学校や保育所等での環境教育などを説明した上で、民間にこうした業務を行っている「同一職種」は存在しないことを指摘し、環境行政を担っている自負によって清掃業務を行っている立場からは安易に「同一職種」との均衡を求められることは納得できないことを伝えた。

総務省側はこれに対して、「ラスパイレス指数」というものは地方の一般行政職と国の行政職俸給表(一)を比較するものとして給与水準の比較に用いている。ご指摘の件は国の行政職俸給表(二)を適用される職員の方々と地方の技能労務職員とを比較をする場合に同じような計算の仕方をすれば数字は出し得るので、そのことを言っているのだと思うが、国の行政職俸給表(二)を適用される職員の方々と地方の技能労務職員の方々の職務の内容が必ずしも同種同等といえないため、われわれは一般行政職で使っている「ラスパイレス指数」と同様に扱ってはいないし、一般行政職と同じようなラスパイレス比較は、これまでもしていない。「単純労務」については、たしかに公務の特殊性があり、各地域に比較できる民間の事業者がいない、あるいはいるとしても少数であるという事情が、比較する上での難しさだと思っている。もともとそうした問題意識を持ってこの「研究会」を立ち上げ、比較のために用いる指標にはどんなものがあるのか、研究をしている。職務の責任や困難度に応じた給与の設定について、労使交渉を経て適正な水準になるようにするにはどうしたらよいかという問題意識で研究会を立ち上げ、議論していることをご理解いただきたい、と回答した。

交渉の最後に南部現業局長は、「私たち自身も「単純労務」の名を払拭するために長年「現業職場活性化運動」を積み上げ、自らの意識改革を通じて住民の皆さんの要望を聴き、地域に役立つ、やりがいのある仕事をしたいという思いで運動を進めてきた。にもかかわらず安易なコストのみの民間委託が進み、偽装請負もまた大きな問題になっている。今後は総務省として民間に委託された業務が実際にどうなっているのかの調査を行い、その上で直営職場の業務との比較をしていただきたい。さらに、失効した政令に縛られ、身につけた技能や経験を発揮できない実情を理解し、自治体における地域公共サービスの現状と現業職員の業務実態にふさわしい新たな法整備も検討していただきたい」と今後に向けた課題と要望を述べ、交渉を終了した。

引き続いて、自治労側に江崎労働局長、総務省側に小池給与能率推進室長が加わり、申し入れを行った。
冒頭、江崎労働局長は「研究会のありようは全国の仲間が危機感とともに注視している。将来的には非現業への波及も危惧され、きわめて深刻に受け止めている。最終報告をどのように活用しようとしているのか」と総務省の姿勢を正した。
これに対して小池室長は、同職種との比較が困難な事情や賃金センサスを使用する場合の問題点については、研究会でも課題として検討している。現在自治体では労使交渉を経て給与等が決定されているわけだが、地方公営企業法の規定でも「民間事業の従事者の給与を考慮して」とされ、これは非現業と同じく現業職場の皆さん方にも適用されている。最終的なまとめの位置づけとしては、現在、各自治体の交渉の現場で「考慮」するための適切な材料が存在しない状況を改善するため、選択肢としてこういう考え方もある、と示すものにしていきたいと考えている。そして、それを活用した結果、最終的に住民の方々に納得していただける給与水準となれば、それが一番望ましい、と回答した。

江崎局長は、①住民と首長が納得するものであれば総務省は干渉しないということか、②中間取りまとめは交渉のあり方にも言及しているが国から言われる筋合いのものではない、とさらに追求した。
これに対して小池室長は、交渉すること自体をとやかく言うものではなく、どういう水準で交渉していくのか材料が必要であろうということで研究会を開催している、民間との均衡は法律に明記されており、住民に説明できるものにしていくことが求められている、と回答した。
最後に江崎局長から、研究会最終報告についてはあくまでも「総務省が持っている材料」にとどめ労使自治に対する介入は行わないことを求め、申し入れを終了した。

総務大臣に対する要請書ダウンロード

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2008年10月22日 11:03に投稿されたエントリーのページです。

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