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【本部情報】介護報酬の地域区分に関する見直しの方向性が示される

第56回社会保障審議会介護給付費分科会開催報告


連合政策ニュースレター第1048号で標記内容の報告がありましたので通知します。

10月9日に第56回介護給付費分科会が都内で開催され、介護労働者がキャリアアップできる仕組みづくりに関する論点が提示された。また、介護報酬の地域別単価(地域区分)と中山間地域の事業所加算について見直しの方向性が示された。

介護労働者がキャリアアップできる仕組みづくりについては、有資格者の手厚い配置等を要件とする「特定事業所加算」のあり方、事業所の管理者、訪問介護のサービス提供責任者等に係る任用要件のあり方等が論点として挙げられた。

介護報酬の地域区分(地域別単価)に関する見直しについては、サービスごと・地域ごとにみた人件費比率の実態をもとに、現行のサービス区分けと単価の上乗せ率等を見直す方向性が示された。
 
中山間地域の事業所に対する加算については、現行の「特別地域加算」に含まれていない地域で小規模の事業所を対象にした新たな加算を設けること、移動コストについて加算を拡大する方向性が示された。
 
同分科会に出席した連合生活福祉局・飯倉部長(小島総合政策局長の代理)は、「介護従事者処遇改善法の趣旨を踏まえて介護報酬改定を行うべき。キャリアアップのためには働きながら研修を受講できる職場環境の整備と経済的な支援が必要。

介護労働者の賃金が確実に改善したかどうか検証できるよう事業主に情報提供を求めるべき。訪問介護のサービス提供責任者が果たす役割を積極的に評価を検討すべき。地域区分の見直しについては実態をしっかり分析すべき」と意見した。

なお、その他委員からの主な意見は以下のとおり。次回は10月30日(木)に開催される。
 
【同分科会での主な意見】
○キャリアアップに向けた研修を全部自己負担で受講させるようなことで果たして良いのか。公的助成を充実して実効性あるキャリアアップの仕組みをつくるべきだ。

○ホームヘルパー1級や2級の人たちや介護職員が介護福祉士の資格を取得するために働きながら研修を受けるというのは大変だ。研修中は収入がなくなるし、代替人員が確保できなければ研修を受講できない。これらの問題を解決しなければ、大変な思いをして600時間の介護職員基礎研修等を受講するよりは、他産業へ転職する方を選んでしまうのではないか。

○介護福祉士の養成過程に600時間の介護職員基礎研修を導入した趣旨について理解を深めるべきだ。

○人材育成でモデルになるような事業所をつくったとして、その経営が成り立つ介護報酬になっているのかどうか議論すべきだ。

○人材育成という観点からの適切な賃金水準、賃金カーブの在り方について、しっかり議論すべきだ。実態を踏まえれば単純に公務員の福祉職俸給表を参考にするということではないはずだ。

○介護サービスの質は賃金の高低とは無関係だ。賃金を上げるために加算を増やすのなら、同時にサービスの質も高めてもらわないと困る。しかし、賃金が下がったらサービスの質も低下するだろうということは言える。

○賃金水準を引き上げようと施策を講じても、パート労働者は年収103万円を超えて働かないのではないか。これを踏まえると、訪問介護の介護報酬を一律に引き上げるべきではない。

○訪問介護の特定事業所加算は算定のハードルが高い。人材要件、重度化要件は緩和していただきたい。

○特定事業所加算は主に大手が算定しているのではないか。人材確保対策としては、特定の事業所に加算を増やすよりは、全体の底上げをはかる方が望ましい。

○経験年数というものは事業所内に閉じた評価であり、介護報酬上での加算要件には馴染まない。

○事業所が特定事業所加算を算定すると利用料も高くなってしまい、利用者の立場からは負担に対する不安がある。

○利用者負担の問題は、高額介護サービス費や介護扶助をきちんと使えるようにする等、低所得者対策のなかで解決すべきだ。

○加算を増やしたがために、支給限度額を超えてしまうような事態を招いてはならない。そこで、重度化対応の加算相当分は支給限度額の積算において軽減算出する等の工夫を取り入れてはどうか。

○長期的には、介護サービスの質を評価する手法が必要であり、研究を進めるべきだ。

○訪問介護や通所介護事業所の管理者に任用要件がまったくないのは問題だ。

○様々な要件が事業者の柔軟な経営を妨げてはいないか。頑張ろうとしている新しい事業者を応援できるような要件であるべきだ。

○地域区分の見直しは必要だが、今後中期的に、生活保護の例を参考にする等してより実態に即した見直しの検討を進めるべきではないか。また、東京23区の人件費には東京都による補助が含まれているはずだ。

○地域別単価の算出式にある人件費比率の設定において、サービス提供責任者やユニットリーダー等の配置も加味すべきではないか。

○現在の人件費比率40%、60%という設定は実態にあっていない。国は措置時代のように踏み込んだ人件費比率を設定すべきだ。東京特別区は2桁の上乗率が必要ではないか。

○実際の人員配置に応じた介護報酬の評価を取り入れていただきたい。手厚く人員を配置するインセンティブが必要だ。

○中山間地域における移動に対しては、本来は介護保険財源ではなく他の予算措置でカバーすべきではないか。

                                             以上

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2008年10月20日 13:38に投稿されたエントリーのページです。

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